ep. 19 : 13個?
「さあ、休むだけ休んだら、すぐに家作りを始めよう!」
エラは休んでいるエルフたちに仕事を始めようと叫んだ。
ちなみに、さっき休むように言ってから5分も経っていない。
「エラ様。」
「ん?何?」
「こちらにいるエルフの方々は、私たちをここまで早く運んでくださるために、何日も本当に多くの苦労をされました。どうせ私たちが場所を確認し、土地を家作りに適した状態にする作業には、こちらにいる方々は必要ないので、もう少し休ませてあげるのはどうでしょうか?」
地面に座って休んでいるエルフたちを見ると、明らかにまだ完全に回復していないようだ。
「うーん…それじゃあ、今戻った者たちはもう少し休んでいろ!」
「ありがとうございます!姐さん…!」
少し休んだおかげで、さっきよりはエルフたちの返事に力が感じられる。
「この森にいたメンバーの中で、アルデンは門を守り、残りの3人は俺と一緒にドワーフを持って、俺たちの家を建てる場所まで素早く移動する!」
「はい!姐さん!」
「ちょ…ちょっと待ってください。エラ様…私たちを持って行くとおっしゃいましたか?」
エラの言葉を聞いたドワーフたちがびくっと驚いた。
「うん、ここから少し距離があるから、君たちの速さでは無理だよ。」
「それは大丈夫なんですか?正直、ここに来るのもかなり怖かったです。」
普段ドワーフが速く移動するといえば、馬車に乗って移動するくらいだろう。
エルフのように素早く動くこともできず、動くこともないドワーフがここまでエルフの速さで移動してきたので、怖かったのも無理はない。
僕も昨日エラにおぶられて移動したから、その恐怖を理解できる。
「ここに来るのは、エルフの方々が引く荷車に乗って来たからなんとか耐えられたが、私たちをそのまま持って行くのは危険すぎないかと思います。」
「大丈夫、たった5分の距離だ。昨日広志もそんな感じで移動したから心配しないで。」
「そうか、広志…大丈夫だったか?」
「…気をつけて行ってこい!」
「大丈夫かどうか聞いてるのに。」
「僕は良い経験だったと思っている。」
「それがどういう意味…大丈夫かどうかで答えてくれ……。」
「もう!時間を無駄にせず、さっさと行こう!俺みたいに二人ずつ持ってついて来い!」
「エラは待つのがうんざりしたのか、突然アドソンさんと他のドワーフの衣服の襟をつかみ、走り出した。」
「ちょ…ちょっと…!エラ様!!!少し待ってください!!エラ様!!!!!!」
アドソンさんを皮切りに、ドワーフたちの悲鳴が森に次々と響き渡った。
「…僕たちは入ろう、アルデン。」
「はい、兄貴。」
アルデンと一緒に店に入ると、すぐに後ろからモヒカンも店に入ってきた。
「兄貴、カップ焼きそばはありますか?」
「あるよ、今食べる?」
「はい。ここに残っていた奴らから『おいしい』と念話で聞いたので食べたくなりました。」
「そうか、1個7ブロンだよ。そして……」
「13個ください。」
「…13個?」
「はい、さっき帰ってきた奴ら全員が食べたいと言っています。」
「…わかった…13個……。」
「さっき何か言おうとしませんでしたか?」
「ん?何が?」
「『1個7ブロンだよ。そして…』って言いませんでした?」
「…ああ、マヨネーズもあげるからかけて食べてみて。」
「お!それですか?もう聞いて知っています。」
調理オプションはわざと言わなかった。
いくらカップ焼きそばとはいえ、正直18個は面倒くさい。
「13個なので、13シルバーお支払いします。作ってください。」
(……知っていたのか。)
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