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ep. 15 : 新しいもの

「おい、お腹すいた。」


少なくとも2,970歳年上から兄貴と呼ばれることを受け入れることにすると、エラは急にお腹が空いたと言った。


「ご飯食べてないの?」


「みんなで焼きそばを食べようと思ったんだけど、作り方がわからなくて、お前が来るまで待ってたんだ。」


「容器にレシピが書いてあるのに…。読めないのね。」


ラーメンを売っていても、異世界人にインスタントラーメンを茹でるのはちょっと難しいかもしれないと思った。


(レシピをいちいち書かなきゃいけないのか…面倒くさいな…。)


しかし、売る人ごとにレシピを説明するわけにはいかない。


「焼きそばを5個買うから、お前がここで作ってくれ。」


「…ここで?」


「作ってるのを見ないと、お前がいないときに俺たちが食べられないだろ?」


「そうだね…もしかして、やかんはある?」


.

.

.


アルデンは念話で森のすべてのエルフを店の前に呼び寄せた。


「一つだけ作ってくれ。 残りは俺たちで練習するから。」


「わかった、じゃあまずやかんに水を入れて沸騰させるんだけど……。」


「【フローラ】がやかんを浮かせて、【セレス】が火をつけ、【マヤ】がやかんに水を入れ。」


僕の言葉を聞いたエラは、すぐにエルフたちに役割を割り振ってくれた。


すると、エルフたちはエラの言葉通り、やかんを空中に浮かせ、魔法で水を作り、やかんに入れた後、やかんの下に火を噴き出し始めた。


「わぁ……。魔法をこんな風に使うなんて、不思議だね……!」


「なんだ。魔法で水を沸かすの初めて見たのか?」


「うん、俺たちの世界には魔法がないからな。」


「うわー……じゃあ、殴りたい時は必ず近くまで行って殴らなきゃいけないの? めっちゃ不便だな……。」


「……なんでお前は発想がそういう方向に行くんだ。」


「兄貴! 水が沸騰してます!」


.

.

.


沸騰したお湯を入れ、麺を茹でた後、水を捨てた。


麺が茹で上がるのを待つ間、あらかじめ家に帰ってフォークと箸、そしてマヨネーズを持ってきた。


「これからどうするの?」


「あとは、中に入っていたソースを入れて混ぜるだけだよ。」


麺を混ぜるために、先ほど持ってきた箸を取り出した。


「あれは何?」


「箸ってやつで、これで麺を混ぜるために持ってきたんだ。」


「麺は必ずそれで混ぜないといけないの?」


「そうじゃなくて、一度もフォークで焼きそばを混ぜたことがないから、使い慣れた箸で持ってきただけだよ。たぶんフォークでもうまく混ぜられるから気にしなくていいよ。」


「…そうなの?」


麺とソースを箸でよく混ぜて、完成したカップ焼きそばをエラに渡した。


「これで完成だよ!」


「マヨネーズはないの?」


「さあ。」


先ほど食器と一緒に持ってきたマヨネーズをエラのカップ焼きそばにかけた。


そしてその間、他のエルフたちはすでにカップ焼きそば作りに挑戦していた。


「おい!これをかけるともっと美味しいよ!」


エラはマヨネーズをかけた焼きそばを食べて興奮しているようだ。


「おいしいって言ったでしょ…あと、ちょっとゆっくり食べてね。」


「うわー!美味しい!!!」


エラは聞くそぶりもせず、再び素早く焼きそばを口に入れた。


.

.

.


エルフたちの食事が終わった。


幸い、他のエルフたちもマヨネーズをかけた焼きそばが気に入ったようだ。


エルフたちの初めてのカップ焼きそば作りは成功だった。


レシピが難しいわけでもないので、失敗する方が難しかったのだろう。


僕は、エルフたちが使った食器を元の位置に戻すために家に戻った。


皿洗いは、食事を終えたエルフたちが魔法で解決してくれた。


水で渦を作り、食器を洗うという方法だった。



異世界の人々は水道設備がなくても自由に水を使うことができ、ガスがなくても自由に火を使うことができる。


「食器洗い機のように魔法を使うことさえできるのだから、これくらいなら技術の進歩は必要ないのでは?」


女神は僕たちの世界の方が技術が進んでいると言っていたが、ここで使う魔法は僕たちの世界の技術よりも便利なようだ。


女神が目指す技術の進歩というものが、果たしてこの世界に必要なのだろうかという根本的な疑問を抱いた。


「必要だから、神様が僕に頼んで発展させようとしているんだろうな。」


家で食器を片付け、再び異世界の店に戻った。


店内にはエラがいて、他のエルフは見当たらないところを見ると、再び周囲を警戒するために森に行ったようだ。


「おい。」


「ん?」


「さっきの木の棒2本あるでしょ?」


「…もしかして箸のこと?」


「そうそう、箸、俺も使ってみようかな。あれはどうやって使うんだ?」


エラが急に箸に興味を示した。


「急に?どうして?」


「新しいものだからか面白そうだね。」


「それだけ?」


「俺たちのように長く生きていると、もう新しいものに触れることがないから、新しいものがあると興味を持つのよ。」


先ほどのアルデンから推測するに、エルフたちは最低でも3,000年は生きている。だから、もうこれ以上新しいことはないだろう。


「じゃあ、教えてあげるから、一度使ってみてくれよ。」


再び家に戻り、箸とお皿2つ、そして豆を持ってきた。


「ここをこうして…手をこうして……。」


エラに箸の使い方を教えてあげた。


「おお~簡単だね~!」


一度教えただけなのに、エラはすぐに箸の使い方を覚えた。


やはり身体能力の高いエルフだからか、すぐに覚えてしまった。


「じゃあ、今度は箸でお皿の上の豆を一つずつつまんで、別のお皿に移してみろ。」


「あ~それくらいは簡単だ~。」


微笑みながら大したことないと言ったエラは、その後約2時間の間一粒も豆を拾えなかった。

最初から今まで見ている方はいますか?

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