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ep. 14 : 兄貴…?

8人のエルフを見送った翌日


僕は今日も扉から異世界に入った。


「…来ましたか?」


「あっ…驚いたな!アルデンか?」


「はい、アルデンです。」


扉を開けるとすぐに出迎えてくれたのは、昨日気絶したまま放置されていたアルデンだった。


「ここで何してるの?」


「扉を守っています。」


アルデンは扉のすぐ前に座り、扉を睨みつけている。


(扉を守るには、扉だけでなく、周りも見た方がいいんじゃない?エルフ独自の方法があるのだろうか?)


疑問を感じたが、あえて聞かないことにした。


「そうか…。でも、もう少しどいてくれないか? 商売の準備があるんだ。」


「はい、邪魔にならないように扉のそばにいます。」


僕は持ってきた販売品を整理し、その間、アルデンは扉の横にじっと立っていた。


(…何か変だな)


「ねえ、アルデン?」


「はい?」


「ちょっと聞いてもいいか?」


「はい、言ってください。」


「この世界ではみんなタメ口が基本だと思ってたんだけど、違うの? 神殿や貴族、王族以外には敬語は必要ないって聞いてたんだけど。」


「はい、僕もそう思っています。」


「…でも、どうしてあなたは僕に敬語を使うの?」


昨日もエラを除くエルフたちが僕に敬語を使ったが、それは僕が審判だからだと思ってた。


「ええっ…。姐さんとは気軽にタメ口で会話する仲なのに、僕が兄貴にタメ口を使うわけにはいきませんよ。」


「兄貴…?僕のこと?」


「姐さんと気軽にタメ口を交わす仲でもあるし、エルフをこの森に住まわせた森の主でもあるから、兄貴です。」


「…もしかして年齢は?」


「3,000から面倒なので数えてません。」


少なくとも100倍はある。


「…俺に兄貴なんて言わないでよ。」


「なぜですか?」


「いいからやめてくれ。」


少なくとも2,970歳年上の人に兄貴なんて言われたくない。


「…ところで、今までエラとタメ口で話す人はいなかったの?それとも今までそういう人に兄貴と呼びながら敬語で話してたの?」


「今までそんなことはありませんでした。僕たちにとって姐さんは王というより親分のような存在ですが、外では姐さんはエルフ族の女王としてもてなされているんです。それで一般の人間は姐さんに会う機会もないし、会う機会があっても、まず僕たちを経由して礼儀作法を叩き込まれるんですよ。」


(エラが女王だったのか…?)


女王に初対面でタメ口を使ったのかと思い、エラに少し申し訳なくなった。


「エラが女王だったなんて知らなかった…。でも、エラは僕がタメ口を使っても、全然嫌な顔をしないけど?」


「外で勝手にそう呼ばれているだけで、姐さんもそんな扱いはあまり好きじゃないんです。」


「そうなの?そんなの結構好きだと思ってたのに?」


「今はあまり会わないですが、昔はよく他国の王様に会うことがあったんです。姐さんはそういう堅苦しい席が苦手で、会うたびに相手国王の前でイライラして、王様が姐さんを女王様と呼ぶたびに罵倒していた記憶があります。」


「いや… 一国の王様の面前で罵倒するなんて…それはちょっと危険じゃない?」


「どうせ僕たちに勝てる国はないので、関係ありません。僕たちは扉を見つけて守ればいいと思ったからやらなかっただけで、心さえあればこの大陸を支配することもできたはずです。」


できるのにやらないのがむしろ怖い。


「…それにしても、なんでお前らはエラに会う人に礼儀作法を叩き込んだんだ?エラはそういうのが嫌いなんでしょ?」


「姐さんとタメ口で話している人に、僕たちがタメ口で話しかけるわけにはいかないですからね。僕たちが特に敬語を使いたくない人に敬語を使わざるを得ない状況が起こる可能性があるから、あらかじめ礼儀作法を叩き込んでおいたんですよ。」


(エラのせいじゃなかったんだ…。)


僕が考えていた答えは「ろくでもない奴が姐さんにタメ口をきいているのは見ていられない!!」だったんですが、思いもよらない答えが返ってきました。


「まあ…。とにかくエラは王ではないってことだよね?」


「はい。僕たちが国を建てたわけでもないのに、王様がいるわけがないじゃないですか。」


「まあ。あんたがもしこの森を俺たちに売ってくれたら、ここにエルフの国を建てることができたかもしれないね。」


突然エラの声が聞こえてきたので振り返ると、いつの間にか店内に入っていたエラが見えた。


「あら~、エラ女王様、いらっしゃいましたか~?」


「死にたいのか?こいつが一日見ただけで調子に乗ってるね。」


エラが女王と呼ばれるのが嫌いだと聞いて、一度ふざけてみた。


「いつからいたの?」


「王の面前で罵倒するところから…アルデン!お前はなんでそんなことまで、こいつに全部話しているのか?」


「兄貴が、なんで兄貴に敬語を使うのか聞いてきたからです。」


「兄貴なんて言うなと言ったのに…。」


「仕方ない、君はこの森の主人であり、俺たちがここに住むための過程で俺と対等な立場で交渉したから、上下関係上、それが正しいんだ。」


「いや、いくらなんでもお前らに兄貴と呼ばれるのはちょっと…。」


「嫌ならお前も俺の下に入ってきて俺に姐さんと呼べばいい。」


それは嫌だ。


「…慣れてみるよ。」


受け入れたくないならエラを姐さんと呼べばいいという言葉に、兄貴という呼び名を受け入れることにした。

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