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ep. 12 : 親分の責任感

3人のエルフが勝手にやっているのを見て、僕は再び店内に入った。


「ねえ、あんた、変なものがいっぱい売ってるけど、どれも初めて見るものばかりだね。」


店内に入ると、エラが販売品を眺めていた。


「あ…、異世界...つまり扉の向こうから来たものだから、ここにはないものばかりよ。」


「じゃあ、何か食べてみようか?ドアの向こうの食べ物ってどんな感じなのか気になるな。」


「そうする?」


「おすすめは?」


「あまりお腹が空いてないならお菓子を食べて、お腹が空いたらラーメンを食べればいいよ。」


「部下たちの前で大声で叫んだせいか、ちょっとお腹が空いたわね。」


「じゃあラーメンだけど...もしかして辛いの得意なの?これどう?」


女神に食べさせた激辛焼きそばを勧めた。


辛いものが好きな僕としては、辛さの魅力を感じてほしい。


「いいや、辛いのは苦手だ。」


「辛いのもそれなりに美味しいんだけど、挑戦する気はないの?」


「挑戦するつもりはなくて、昔、辛いものをくれた店を全部ぶっ壊したことはある。」


…辛いのは無理そうだ。


「じゃあ、これはどう?」


他のカップラーメンを一つ手に取り、エラに見せた。


「何それ?」


「焼きそばだよ。」


「…さっきも焼きそばだったけど、これも辛いのか?」


「これは辛くないから心配しなくていいよ。」


「お前は好きなのか?」


「好きだし、よく食べるよ。美味しいよ!」


「そうか、じゃあ一個ちょうだい。お前も食べるんだから大丈夫だろう。」


エラは僕がよく食べるということで、ひとまず大丈夫だろうと思っているようだ。


「ラーメンの値段は7ブロンで、調理まですると1シルバーなんだけど、調理してあげようか?」


「うん。」


「じゃあ、調理してくるから、あそこのテーブルに座って待っててね。」


店をエラに任せ、僕は家に帰ってカップ焼きそばを作った。


エラに店を任せたとき、他の客が店にやってきてエラを見たら、エルフのエラを見て怖がるかもしれないが、とりあえず今はエラも客だ。


だから、来るか来ないかわからない他のお客さんのためにエラに隠れろとは言えない。


「まあ…隠れろと言っても聞いてもらえないだろうけど…。」


悪口を言われなければ幸いだ。


(…このくらいなら、もう水を捨てていいんじゃないかな。)


いつの間にか焼きそばがほぼ完成した。


麺を茹でた水を捨て、ソースを入れ、よく混ぜた。


「エラは箸を使えないよね?」


箸の代わりにフォークと一緒に完成したカップ焼きそばを手に、扉を越えて異世界のお店に戻った。


「できたよ。」


「えっ、もうできたの?」


「うん。」


テーブルに座っているエラに、完成したカップ焼きそばを持っていった。


「早いね。」


「もともと早く食べられるように作られた食べ物だからね。」


「うーん…匂いは悪くないけど…。」


エラはカップ焼きそばを手に取り、あちこち見回した。


「ちなみに、温かいうちに食べるのが一番美味しいから、早く食べた方がいいよ。」


「そうか、わかった。」


食べるのが遅いと不味くなることを知ってから、エラはフォークを持ってカップ焼きそばを口に入れた。


「うーん。正直、こんな色の麺料理は初めてで、ちょっと不安だったけど、悪くないね。」


「だろ?」


「うーん…おいしいね…うーん…。」


「ちょっとゆっくり食べなさいよ。」


エラは僕の言葉を聞くでもなく、素早くカップ焼きそばを口に運んだ。


.

.

.


エラは胸焼けするか心配になるほど素早く焼きそばを吸い込んだが、幸いにも無事に完食した。


「おいしく食べた?」


「あー、これは美味しいね…。」


「実は上にマヨネーズをかけて食べるともっと美味しいんだけど、今は…。」


「えっ!?もっとおいしく食べられるのに、どうして教えてくれなかったの?」


焼きそばに満足したのか、いつもと違って緩んでいたエラの表情が再び険しくなった。


「落ちてしまったから、あげられなかったんだ。だから顔色を崩さないで…。」


「チッ…!無いのは仕方ないわね。次からは用意しておけよ!その…マヨネーズ…?というやつ。」


「うん、わかった。次回は用意しておくね。」


次回は用意しておくという僕の言葉に、エラは満足げに再び表情を緩めた。


「よし、いくらだったっけ?」


「1シルバーだよ。」


「あー、俺、金貨しかないんだけど大丈夫?」


「あ…!」


この世界では金貨1枚は銀貨10枚の価値を持つ。しかし、残念なことに、ちょうど昨日、ランディさんに今まで取引してきた銅貨と銀貨をすべて金貨に変えてほしいと頼んだ。その結果、今僕が持っている銀貨は6枚しかない。


普段お客さんがいないので、このような問題が起こるとは思わなかった僕のミスだ。


「小銭は後で渡してもいいかな?」


「小銭がないの?」


「うん。」


「ちょうどよかった。俺たちは銀貨なんて持ってないし、正直持っていたくもないし、いちいち小銭を払うのは面倒だから、エルフが食べるものは全部ツケでつけるのはどう?月に一度、俺が金貨で払うから。」


「他のエルフが食べるものまでお前が払うの?」


「ああ、俺が親分なんだから、食べ物は俺が責任を持つべきだ。俺が一番金持ちだし。」


(意外と責任感のある姿もあるんだね。)


今まで親分の権威を享受して威張っている姿ばかり見ていたから、こういう責任感のある姿を見るのは新鮮だ。


「じゃあ、一人あたりいくらまで制限しようか?」


「制限するな。」


「無制限って、いくら金持ちとはいえ、大丈夫なの…?」


「エルフは食べ物にケチをつけたりしない。そしてこの店から全部取り上げても、いくらも出ないだろうし……。」


「じゃあ、食べ物じゃない場合はどうするの?」


「食べ物以外も売ってるの? ここは食堂じゃなかったの?」


「今は食品中心だけど、実際には雑貨店だから何でも売っているよ。」


「でも今は食べ物しか売ってないんだよね?」


「うん、今は。」


「じゃあ、今は食べ物だけにして、他はあとで状況を見てからにしよう。」


「分かった。そうしておくわよ。」


基本的にツケはお断りだけど、エルフは金持ちだし、ここでずっと過ごすからツケにした方が楽だろうと思って、今後エルフが食べるものはツケにしておくことにした。

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