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第9話 聖羽のその後

「猟牙くんも行っちゃった……でも私だけ残されて一体どうしたら……」


 神女(しんにょう) 聖羽(あきは)は独り言ちその場に座り込んだ。できるだけ死体が見えない場所まで移動したが血の匂いが充満している。


 実は既に何度も吐いてしまっていた聖羽だが、それでもまだ胃から何かが込み上げてくるようで顔色も良くなかった。


「これは一体何があったのだ!」


 その時、両開きの大仰な扉が勢いよく開かれ中に女の騎士が飛びこんできた。


 聖羽の顔に緊張が走る。当然だが王も王女も騎士たちも全滅している状況に女騎士は愕然となっていた。


「そなたは――」

 

 女騎士の目が聖羽に向いた。その小さな肩がビクッと震えた。


「召喚された異世界人の一人か? 怪我はないか? 一体何があったのだ?」


 しかし意外にも女騎士はまっさきに聖羽の身を心配してくれた。近づき腕を取りまじまじと見てくる。


「け、怪我は大丈夫です」

「なら良かったが……」

 

 女騎士が安堵した直後ぞろぞろと騎士は勿論、どことなく上の立場にいそうな人間も入ってきてこの惨状に驚愕していた。


 なにせせっかく召喚したクラスメートは勿論、国王と王女が殺されてしまっているのだから場が騒然となるのも当然だろう。


「まさか、お前がこれを?」


 大臣を名乗る人物が聖羽にそう聞いてきた。こんな状況だ。聖羽も疑われても仕方ないと思っていた。


 とは言え本当に自分のせいにされても困るので聖羽はある程度ボカしながらも、もう一人のクラスメートがやったんだと答えた。


「――調べましたが確かに死体の数と召喚された人数が合いません」

「一人足りない形ですね」

「むぅ、しかしいくら強い力を持つ異世界人とは言えたった一人でここまで……」


 再び大臣の目が聖羽に向けられた。


「娘。名前は何という?」

「えっと、シンニョウ・アキハです。私たちの国では家名が先となります」

「なるほど。ならばアキハよ。お前のステータスを教えてくれ」


 大臣に聞かれアキハは戸惑った。その様子に大臣の目が光る。


「何だ? 言えない理由があるのか? さては――」

「あ、いえ。ただ私はまだ儀式が終わってなくて。だからステータスを知らないのです」

「何だと?」


 大臣が驚き、そして兵士に頼み神官を一人連れてきた。


「ステータスならこの者が見れるから見てもらうがいい」

「えっとそれは王女様だけが出来るのではないのですか?」

「……そこまで多い訳では無いが鑑定持ちは他にもいる」


 大臣が答えアキハは目を丸くさせた。しかし同時に得心も行った。ステータスが当たり前にある世界なわけだが、よく考えてみれば王女がたった一人で国の人間全てに儀式を行うというのも無理がある。


(やってることは鑑定という力で見るだけだったんだ……)


 同時にアキハは王女の言っていた嘘にも気づくことが出来た。儀式によって力を目覚めさせると王女は言っていたが実際はステータスの内容を確認しただけだったのだ。


 そして神官の手でアキハのステータスが判明するわけだが。


「これは――た、大変です。この方が持っているスキルはなんと【救済の大聖女】です!」


 そして神官によってアキハのステータスとスキルが判明したわけだが、これにより大臣を含めた多くの者が驚いた。


「まさか大聖女の力をお持ちとは先程は大変失礼致しましたぁあああ!」

「えぇえぇええぇえ!」


 ステータスが判明した途端大臣の態度も変わった。深々と頭を下げ許しを請うてくるその姿に戸惑いが隠しきれない。


「大丈夫ですから頭を上げてください」

「おお! 流石大聖女様は心が広い――ではその慈悲深さに甘える形となりますがお願いします大聖女アキハ様! 王も王女も失った国をどうかその力でお導きください!」

「えぇ――」


 こうしてアキハは大聖女として崇められる事となり、なし崩し的に王国のために力を振るう事となるのだった――

これにて第一章は終了となります。次回から第二章!ここまで読まれて少しでも今後が気になる、面白かったと思って頂けたなら下の☆による評価をして頂けると嬉しく思います。☆は最大で5つ最低で1つ付ける事が可能です。今後の参考にもなりますのでどうぞ宜しくお願い致します。またブックマークがまだだった!という方がいましたらこの機会にして頂けるとより一層の励みになります!

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― 新着の感想 ―
[一言] 何となく主人公は委員長は高位のスキル持ちだろと当たり付けてたのと、せっかく召喚したのに、全滅はで、いかされると読んでたかな。 まあしかし、王とその後継の王女並びに、高位の騎士や魔法使い・神…
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