表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第二章 暗殺者の異世界ライフの始まり編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/187

第21話 最近のセラの行動

「最近セラがみんなのことをコソコソつけまわっているんだけどさ。ありゃ一体なんだい?」


 それはセラに気配を消す為の訓練方法を教えた次の日のことだった。ミトラが不思議そうに俺に聞いてきた。


「――ま、あいつなりに強くなろうとしてのことだろう。好きにさせておけばいいさ」

「ふ~ん。そっか、なんだかんだでしっかり指導してくれていたんだね。ありがとう」


 笑みを浮かべミトラが俺にお礼を言ってきた。なんとも妙な気持ちだ。俺は礼を言われる義理なんてないし、寧ろ恨まれてて当然のはずだというのにな。


「お前たちは盗賊だって言うのに変わった連中だな」

「はは。何だい改まって」


 ミトラがそう笑っていたが、俺が来てから盗賊業も全くしなくなってるわけだしな。まぁどっちにしろ俺には関係ないことだが。


 ミトラとそんな話をして更に三日経ち今度はセラが急にいなくなったという話になった。


「リョウガ。お前、セラを見てないか? 朝から誰も見てないってんだ。外はこんな雨だってのによぉ」


 ゴーガンが困ったように後頭部をさすっていた。しかしセラの居場所か。さっきからずっとゴーガンの後ろにいるのはまさにそのセラだと思うんだがな。


「そうだな。ま、大丈夫だろう。案外近くにいるかもしれないぞ」

「それで見つかったら苦労しないんだがなぁ」


 セラはゴーガンの背後にいる。そして俺に向け口元で人差し指を立てていた。肩の上のモナもウシシと笑っていた。ふむ、しかし意外と早かったな。まぁモナまで一緒になって出来るようになるとはおもわなかったが。


 それからしばらくしてゴーガンの大きな声がした。セラが驚かしたんだろう。


 そしてその日の夕方のことだ、歩いている俺に向けてナイフが投げられた。俺は難なく躱し投げられた方向に目を向けると小さな影が飛び出してきた。モナだった。


 モナは俺に飛びかかり爪で引っかかってきた。なるほどモナも利用して攻めて来たか。


「悪くないが甘いな」


 確かにモナは素早いが俺の動体視力は並ではない。モナの攻撃程度軽く捌ける、がこの動き――モナは俺への攻撃が通じないと思ったのかそのまま俺の後方に向けて疾駆した。


 すると前方から五本のナイフが投擲された。


「気配を消しての投擲は悪くはないが攻撃が素直すぎるな」


 そう返しつつ俺は後方に飛びナイフを避ける、が足にベチャッとした感覚。


 右足に何かが絡みついていた。これはトリモチみたいなものか。どうやらモナになにか持たせておき逃げる同時に地面に仕掛けさせたようだ。


「覚悟ッ!」


 気配を顕にしたセラが俺に向けて突撃してきた。そして喉目掛けて突いてきたが速度が甘い。俺はそれを難なく受け止めた。


「くそ! また駄目だったか!」

「……いや、今躊躇しただろう?」


 俺がそう問いかけるとセラが、「え?」と零した。目が泳いでいるぞわかりやすいな。


「俺は遠慮せず殺す気で来いといっていた筈だが」

「で、でも本当に刺したらお前、死ぬじゃん」


 セラがそんなことを言い出し俺としては意味がわからなかった。殺すつもりで来いといわれて殺すの躊躇してどうする? そもそもこいつは俺を殺したがっていたはずだ。


「お前、俺を恨んでるんだろう。だったら何を迷う必要がある?」

「う、うるせぇな! 今殺したらもうリョウガから教われなくだろう! だからだよ!」


 やれやれ、それが本音だとしたら俺も随分と舐められたものだ。


「お前が本気を出したところでやられたりしない。俺だって殺されるつもりはないからな。お前の配慮は余計なお世話でしか無い」

「う、うぅ……」

「ウキィ……ウキッ! ウキャ!」


 セラが俯き悔しそうに呻いた。それを見ていたモナが俺に向けて荒々しく鳴いた。何か怒ってるようだが、ふぅ全くヤレヤレだ。


「ま、最後の一撃は頂けないがそれまでの動きはだいぶ良くなっていたな。この仕掛けも悪くない」

「え? ほ、本当か!」


 パァッと表情を明るくさせセラが近づいてきた。極端な奴だ。


「キャッ!」

「キィ!?」


 その時だ。大きな雷音がしてセラとモナが悲鳴を上げた。セラに関しては俺の腕にしがみついてきている。


「雷程度でその有様じゃ強くなんてなれないぞ」

「う、うるさいな。苦手なんだ、ひゃ!」


 腕にしがみついたまま俺の顔を見上げたセラが顔を真っ赤にさせてパッと離れた。全く落ち着きのない奴だ。


「い、今のは雷に驚いただけだからな!」

「何の話だ?」


 セラが何をそんなにムキになっているかわからない。それよりも雨脚が更に激しくなっているのが気になった。


 俺は足に絡みついているソレを剥がし洞窟の出入り口に向かった。雨の様子を見る為だ。セラも一緒についてきている。


「雨、止みそうにないね」

「ウキィ」


 セラとモナが空を見上げながらそんなことを言っていた。確かにそのとおりだがこの音は――


「……ちょっと出てみるか」

「は? な、何言い出すんだよ突然!」


 ん? 俺のつぶやきに反応してセラが突然慌てだした。


「雨が降るまではここにいるって言っただろう! 私にも戦い方教えるって! それなのに約束破るのかよ!」

「……いや、俺はただ外の様子が気になるから出てみるってだけだが」

「え? あ――」


 またセラの顔が赤くなった。全く何を勘違いしてるのか。


「しかしわからないな。お前は俺の事が嫌いなんだろう? 出ていこうが出ていくまいが関係ないだろう」


「そ、それは……確かに嫌いだけど、あんたが教えてくれたことはちゃんと身につけたいというか……」


 モゴモゴと口を動かすセラ。本当によくわからん奴だ。


「まぁいい。見てくる」

「あ、私も行く!」

「いや、この雨だぞ?」

「これぐらい大丈夫だって」

「ウキッ!」


 セラがそう言ってきかなかった。モナもセラが一緒なら自分もという気持ちらしい。


 まぁいいか。別に来たいというのを止めるつもりもない。俺はモナを肩に乗せたセラと一緒に外の様子を見に行くことにした――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ