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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第二章 暗殺者の異世界ライフの始まり編

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第14話 俺が殺した

「お、おいおいリョウガ!」

「――どうせ、いずれ、わかる」


 そうとだけ伝えた。頭は困り顔だが俺にそれを隠すつもりがないからな。


「ふ、ふざけるな! 頭は仲間を殺した奴をうちで面倒見るってのかよ!」

「そうだそうだ!」

「納得いかないぜ!」

「頭が出来ないなら俺がぶっ殺してやる!」


 あの娘は当然だが周りの連中も騒ぎ出し石を投げてくるのもいた。頭が止めようとしているが全員頭に血が上っているのか興奮状態でこのままじゃあ収拾がつかないだろう。


 だから俺はその場で近くの壁を殴りつけた。轟音がしポッカリと壁に穴が空いた。途端にその場が水を打ったように静かになった。


 こういうときに一番手っ取り早い方法だ。明らかに実力差のある相手を目の前にしては警戒心が先ず働き自然と静かになる。


「――ゴホンッ。見ての通りだ。リョウガはつえぇ。もっといえばあのブラッドベアもたったひとりで倒した程だ」


 静かな中で盗賊たちがヒソヒソ話しだした。あのブラッドベアがここまで効果があるとはな。


「――だから頭はそいつを連れてきたってのかい! 仲間の仇も取らずに怖気づいて!」

 

 この静寂の中であの娘だけが反論したか。


「なんとでも思ってくれて構わん。どっちにしろ先にリョウガに手を出したのはこっちだ。反撃されてやられたからって文句は言えねぇんだよ」


 当然だと俺は思う。頭はそのあたりはよくわかっているな。盗賊という仕事をやっている以上常に死と隣り合わせなわけだが、それをしっかり理解しているだけでも多少は評価できる。



「俺たちもその場で殺されてもおかしくなかったが見逃してもらったんだ。アジトに連れてきたのはそのお返しみたいなもんだ」


 この頭の説明に周りが納得しているかは微妙なところだが、かといってさっきみたいに反論するのはいなかった。いやあの娘だけは終始納得いかない顔してるか。


「それと、今回リョウガが倒したブラッドベアの素材は俺たちが引き取らせて貰うことになった。喜べお前らこれは結構な稼ぎになるぞ!」

「マジかよブラッドベアの素材だって!」

「毛皮はもちろん肉も内臓も高値で取引されてる魔獣じゃねぇか」

「手も珍味として扱われてるんだぜ」


 また盛り上がりだしたな。単純な連中だ。しかし熊の手が高級というのはこっちも一緒なんだな。


「リョウガが素材を分けてくれたおかげで大分警戒心も解けたな」

「――あくまで、譲っただけ、だ」

「もちろんわかってるって」


 頭が苦笑して答えた。素材は別にただでゆずったわけじゃない。色々教えてもらえる約束はしたがそれはあくまで仲間が俺を襲った侘びのようなものなので考慮する必要もない。


 とは言えこの世界の貨幣価値もまだよくわかっていないからな。量も多い。そのまま俺が持ち続けるよりは盗賊とは言えこいつらに譲った方が上手いことやってくれるだろう。


 後は俺がここを出るときに素材分の路銀を受け取ればいい。買い叩かれる可能性もあるがそこだけは手間賃として多少は目を瞑る。


 もっとも俺は相手の表情や口調で嘘は見抜ける。あまりにぼったくるようならその時はまた考える必要がある。


 とにかく今はこの世界の情報を知ることだ。盗賊と聞くと大丈夫か? と思うのもいるかもだが寧ろ盗賊だからこそ情報に詳しいとも言えるからな。


 悪事を働くにも知識は必要だからな。だから俺にとっては都合がいい。

 

「寝場所はここを使ってくれ。洞窟の中でジメッとしてるがそこは勘弁して欲しい」

「問題ない。雨風が凌げれば、十分」

 

 暗殺者として育てられた俺は寝る場所を選ばない。快適な環境など寧ろ勘を鈍らせる、とも良く言われたっけな。


「情報なんかは直接俺が教えるよ。ただ読み書きは――頼んだぜ」

 

 一緒について来ていた妻に頭がお願いしていた。だが相手は不満そうだ。


「正直気が進まないけどね。だけどそれがあんたの考えなら仕方ない。教えるよ」


 一応教えてくれるには教えてくれるようだな。


「ということだ。とりあえずは読み書きと発音の勉強が先だろうな。状況を確認しながら情報も伝えていきやすぜ」


 頭がそう言って笑った。確かにそれが無難だろうな。


 こうして俺はしばらく盗賊たちと過ごすことになったわけだが――

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