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会津旅行

作者: ムルモーマ

旅の道中をそのまんま文字起こししてるだけだから、エッセイというか備忘録っていうか。

 会社の最終出社日を迎えて、3月丸ごとの有給消化期間中に旅行に行こうと思った。

 2月に4万円ほどの現金を落としていて、浪費は控えようかとも思っていたけれど、この何も気にしなくて良い期間を何もせずに過ごす方が損失だと思ったから、やっぱり旅行とかに行く事にした。

 まず、一人旅で良い場所となるとかなり限られてしまうのは、数年前に塩山に旅行に行った時に痛感していたので、誰かと一緒に行こうと思った。

 けれど、その誰かは勿論就職している訳で、そうなると土日に限られる。

 でも、そうなるともう予約は完全に埋まっていた。

 誰かと行くなら4月以降。まあ、それで良いかと思っていたけれど、上記のこともあって休日も完全にslackやらを気にせずに旅行出来るチャンスは3月しかないというところで、やっぱり3月中にでも一人で旅行に行こうと決めた。

 行き先は会津にした。理由としては単純に会津大学に通っていたから、6年振りにまた訪れてみようと思ってみたのが理由だった。

 泊まる宿は南会津に取った。

 東京から会津に行く道筋としては大まかに二通りある。一つは新幹線も通っているメジャーな道沿いに郡山まで行って、そこから会津若松に舵を切るルートで高速バスもそちらを採用している。もう一つは、浅草からの東武線でより奥の山岳地帯を突っ込んでいき、ダイレクトに会津にまで通じるルート。

 これまで二度ほどその東武線を使っての大学時代の帰省やら旅行やらをした事があって、外を眺めるのが結構好きだった。そして、秘境っぽさがある南会津に訪れてみたかったという部分があった。

 4月にも旅行に行く事を鑑みて、そこまで色々と求めずに決めた。平日で条件を強めなければ、なら一人旅でもぼちぼちと宿はあった。

 一人旅もすると決めてから2日後に行く事になった。


 会津は5月になっても雪が降る事がある。防寒着、コートをリュックに詰めるとそれだけでパンパンになったが、後は下着程度しか持っていくべきものしかなかったので、そんなリュックでアパートを出て浅草に着く。

 11時発の特急で会津田島までの道のりを楽しもうと思って特急券を買おうと券売機を見たら、もうほぼ満席という表示が出てビビった。平日の電車なのに……。買えはしたが、これに乗れなかったらかなり危なかった。

 サンマルクで朝飯を食べて時間を潰し、デパ地下で弁当を眺める。崎陽軒のシウマイ弁当を食べた事がないような気がしたのでそれにした。

 特急に乗り、指定された席は一人用の端数の席という感じの場所だった。まあ、一人ならそれで良いんだけど……、という気分になる。

 発車数分前に車内販売がない事を告げられ、そして飲み物を買っていない事に気付いた。

 すぐ近くに自販機もなく、買う事も適わずに出発した。

 途中から老人8割、春休み中の学生2割といった感じで人が乗ってきて、すぐに満席になり車内が賑やかになる。

 沢山の人が入ってくる隙に自販機で飲み物を買う事も出来、それから弁当を開いた。

 ロングセラーの安定感がある、普通に美味しい弁当だった。

 建物が少なくなっていき、畑が多くなっていく。

 関東平野の終わり際に鬼怒川温泉に着き、そこで乗客の大半が降りていった。そして、そこからは山の中を突っ切っていき、電波の届きも悪くなった。

 外を眺めるのにも飽きてしまうと、漫画アプリの一つが丁度全話解放していた漫画にドハマりしていたので、電波が時折切れる状況でもそれをひたすらに読んでいた。本も持ってきてはいたのだが、旅行中開く事はなかった。


 山の中をひたすらに貫く列車の中で時折外を眺めても、雪は多少日陰に残っているばかりのままに会津田島にまで着いてしまう。

 東京での格好のままでも普通に問題ない温度で、リュックをパンパンにしてでも分厚いコートを持ってきた事を後悔した。

 日本酒の試飲の自販機があって、2つ程飲んだ。垂れ口という酒は刺身に合いそうなイメージがして、花泉という酒は大吟醸の通り、そのまま飲んでとても美味しい酒だった。

 この頃、漫画に影響されてワインを分かんねえなぁと思いながら時折飲むようになっていたけれど、少しずつ、そういう酒に対する味覚も鋭くなっているのかもしれないと思うと少し嬉しかった。

 もうそろそろチェックインの時刻だと思って宿の場所を確認すると、最寄駅が違ったので遅れる事を連絡してから30分程待って電車に乗った。

 ローカル鉄道は首都圏の運賃の3倍くらいで、かなり高く感じたが、多分首都圏の安さが異常なのだろう。


 最寄駅にまで着いて、10分程歩いて宿に着く。

 東武線の温泉街は何というかどこも似通っていて、5割以上の宿は潰れて廃墟のまま残っていて、質なのか運なのかで残った宿が今もその廃墟に紛れて綺麗さを保ちながら続けている、といった印象だった。

 平日、自分の他に泊まるのは、どうやら就職が決まった大学生の家族連れが一組だった。

 指定された夜飯の時刻まで1時間半くらい。少しだらりとしてから温泉に浸かる事にした。

 24時間掛け流しのその温泉は結構熱く、少しぬめりが出てきていた。……いつ掃除してるんだろう。

 ただ、温泉は完全に独り占めで、そこで本当に仕事も何にも気にせずにのびのび出来るのは、アパートとかに篭っているだけでは絶対に味わえない開放感で、それだけで旅行に来た甲斐があったと思えた。

 長風呂はそこまでせずに風呂を出て、何とはなしに体重計に乗ってみると78kgを記録していた。

 あれ……? ここ暫く測ってなかったとは言え、75kg以上にはもうなってなかったと思うんだけど……。

 流石に受け入れられなくて、取り敢えず体重計の方がおかしいと思う事にした。

 夜飯は、会津の郷土料理がメインだった。ニシンの山椒漬け、棒鱈煮、イカ人参、なます、それから地酒。

 会津の郷土料理って、貴重な海産物の干物やらを山の恵みと組み合わせて如何に美味しく頂くか、ってイメージだなぁ、と思ったり。

 追加で鮎の塩焼きと何の魚か忘れたけど、魚のフライ。カレー塩で。

 地酒をもう一つ頼んでみるくらいにはどれも美味しかったけど、いつまで経っても米が来なかった。ずっと待ってて、待ち飽きた家族連れの方が聞きにいって、そこでやっと自分にもどうかと聞かれた。

 どうやら、米は言わなきゃ来ない仕組みだったらしい。

 その時にはもう全部食ってたので、結局米は食わずに、こづゆっぽいお吸い物だけ頂いて終える事にした。


 部屋に戻ると、酒も飲んだからか一気に眠くなってきた。

 ソシャゲの日課だけこなしてもう寝てしまう事にしようと、最後にトイレに入って19時台に明かりを消したが、そのトイレで少し目が覚めてしまったのか、一気に深い眠りに就く事は出来ずに結局起きてしまった。

 こりゃあ夜更かしコースじゃねえかな……。そう思いながら、マンガをダラダラと読んだ後、23時頃また一人で温泉に入り。

 明日は結構早いからもう寝ようと思うも、一度寝た事が災いして中々寝付けず。ついでに言うと、布団が分厚いの一枚で温度調節が出来ず、エアコンを消しても熱いレベルで汗だくになって夜中に何度も起きた。


 そんな感じで翌日、多少の寝不足感がありつつも起きる。

 汗を洗い流す為に温泉にまた入る事も考えたが、寝不足感が勝ってそのまま朝食に。

 朝食は普通の温泉宿っぽいそれだった。

 10時前にチェックアウトをして、外に出る。

 やや肌寒いが、コートまではやはり要らない暖かさ。完全に防寒具要らなかったな、と重いリュックを背負いながら後悔。

 少し待って電車に乗る。会津鉄道ではネコの駅長が居たようで、電車もそれで色々と装飾されていた。何か映画もやってるんだとか。

 会津若松の一歩手前、七日町で降りる。鶴ヶ城には行かず、土産物を買いながら会津若松に歩いていく。

 6年経ち、コロナもあったとは言え、大学時代に自転車でぶらぶら巡った記憶とそう変わらない街並み。

 寄った事のある店も、大半はそのままあった。

 そして、七日町で降りた一番の理由として、大学時代にいつか入りたいなー、と思いつつ一度も入らなかったケーキ屋に入ってみたかったというのがあった。

 入ってみると、外観からの想像よりも、思ったより地域に密着している感があるようなケーキ屋で、中のイートインでさっくりケーキを食べて出た。

 そういや、ケーキ屋のイートインでケーキ食べたのいつ振りだったっけな……。こっちの駅前のケーキ屋、イートインやめちゃったし。コロナ以後初めてだったかもしれない。


 一番良く寄っていた、大学時代のアパートの最寄りのスーパー。肉も野菜も値段は意外と都会とそう変わらない。

 安くてデカい銭湯。変わらず建っていたアパート。

 それから地酒屋に寄って試し飲みセットを買い、農協に寄って土産を追加で色々と買って宅配で実家に送り飛ばす。

 そういや……野菜は農協の方が安かったからそっちでいつも買ってたんだよな。青虫とか付いてる時も良くあったけど。レンチンしても青虫が生きてた時はビビった。

 数回寄った事のあるトンカツ屋で昼飯にしたかったけど、今日は定休日だった。

 大学の前にあるパチンコ屋がグレードアップしていて、駐車場が立体化していた。

 大学前にあって、それもまた入った事のないイタリアンに入る事にした。

 こっちのイタリアンも、外観の印象よりは高級でない店だった。


 6年振りに大学に入ると、もう春休みに入っていたからか、とても閑散としていた。

 食堂に居る人も数人程度。外にある看板ではまだ授業はリモートでやるって書いてあったけど、流石に人が居なさ過ぎた。

 購買に寄ると、都内でも早々ないレベルのコンピュータ関連の書籍が並んでいた、けれど特に買うものはなく退散。

 まあ……来たところで自分はゼミのない研究室でほぼほぼ一人でプログラム組んで卒論出したレベルで、教授とも関わりは大半なかったし、部活にはあんまり良い思い出がないしで、結局やる事なんて無いんだよな。

 少し散策して帰る事にした。


 大学時代に時折寄っていたラーメン屋でラーメンを頼むと、今見るとただの家系だった。

 それから高速バスで帰る事にする。

 二泊三日でも良いかな、と思っていたけど、お金もぼちぼち使ったし、それに何よりコートを背負いながら歩く事にとても疲れていた。3月だというのに、かなりの汗も掻いていた。

 今思えば、コインロッカーとかにリュックを預けておけばここまで疲れる事もなかったのだろうけど。

 ついでに尻ずれも起こしていて、歩くのがきつくなっていた。

 調べてみると2万歩程歩いていて、高速バスの中では結構寝ていた。


 関東平野に戻ってくると、もうどこにも山など見当たらず、アパートからマンションからビルばかりが高速道路から見えてくる。

 バスから降りて、尻ずれの対策をして、行きの未払金ーー東武線が途中から電子マネー不可区間に入った事によるものーーを払う。

 これ、多分一度途中で降りた扱いになってるし、それからも何度か乗り降りしてたから、行きと帰りで倍近くの運賃の差額が出ているのを思うと、少しげんなりした。

 でもまあ、高速バスでの旅よりは余程心地良いものだったけど。


 帰宅してシャワーやら浴びてから体重計に乗ったら73kgくらいだった。ほっとした。

 エッセイ書いておこうと思ったけれど、疲れがどっと来て、24時前に寝る。

 6年振りに行ってみた会津は、東京で暮らしてきた身とすると、住みやすそうな場所だと思えた。

 風情もあるし、飯も美味くて色々あるし、そして家賃は東京よりかなり安いはず。

 ただ、それは3月に行ったからだろうとも思う。大学時代、冬は雪がとんでもなく積もってるし、夏もコンクリートジャングルでないのに、東京と同等以上に暑いしで、気候はかなり厳しい場所でもあると知っている。

 ついでに映画館は郡山まで行かないと無い。

 まあ……また住む事はないだろうけど、観光としては数年後に行っても良いかなと思った。

1泊2日で大体3万円くらいの出費でしたね

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