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スラムギーク、ビリオネア!!  作者: 夕野草路
歌姫の計画[The Project of Diva]
181/204

――――



 エンは明らかに不満そうな顔をしていた。

 しかし、彼に選択肢は無かった。

 結局、彼らはPKer狩りを引き受けた。


「普通に、助けてあげるって言ったら良かったんやない……?」


 よっちゃんは問う。


「なんのことかなー?」


 ツムギが答える。


「白々しいわぁ。あの名簿を見れば、流石にウチでも分かるんよ?」

「あ、やっぱり気付く?」

「あれだけ露骨ろこつやとなぁ……」


 よっちゃんは、

 そこに載っていたPKer全員の脚用がエンと良すぎるのだ。

 エンが有利と言う意味で。

 近距離主体のPKerたち。

 力任せに隠したのプレイヤを殺害《PK》して回っていた連中だ。

 彼からしたら、そんなPKerはカモでしかない。

 巧みに武器を持ち変えて、手玉に取るだろう。

 そして、PKerを倒せば結構な額の金が手に入る。

 エンにとってみれば、むしろ金を稼ぐチャンスなのだ。


「ほら。円卓騎士うちの立場もあるからね。大っぴらに大量殺人犯に手を貸すのもさぁ」

「大迷宮の大量PKなら、龍ちゃんにPKされて済んだんやないん? あれ以来、まだPKしとらんみたいやしなぁ……」

「そうだけど、一応、【計画】史上初だしね」

「だったら、どうして助けたん?」


 よっちゃんの問いかけに、ツムギは目を細める。


(うわっ……。この顔、なんか企んどる顔やん……)

 

「まさか、あんなに面白いことになってるとは思わなかったからさぁ……」

「面白い?」

「ほら。エンが連れてた女の子、いたでしょ? アレだよ」

「ほんまになぁ。エラいりようやったなぁ。最初にうた時、本物と勘違いしてしまったやんなぁ……」


 よっちゃんは笑う。

 しかし、ツムギは言った。


「あ、アレね。本物だよ」

「……へ!?」

「うん。エンと一緒にいたあの女の子、本物だよ。本物の星零せいれいの歌姫」

「なんやて!? って、そんなわけあるかい!」


 びしっ、と突っ込みを決めるよっちゃん。

 しかし、


「どうしたの?」


 と真顔で首をかしげるツムギ。

 彼女は言う。


「冗談じゃなくて、本物なんだよ。だから、エンくんたちを助けたんだよ」

「ほんまに?」

「ほんまに。本物の星零の歌姫」

「そ、そんな……。う、ウチ……、歌姫様にどえらい態度をとってもうた……」


 神殿によっちゃんの絶叫が響き渡った。

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