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転生悪魔の異世界革命~上級悪魔に転生した俺は、全てを憎み世界を破壊する~  作者: みなもと十華@3/25二作同時発売


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第18話 急転

 アベルの計画した爆撃機は、改良型爆撃機の飛行試験を行い、エンジンのパワーも飛躍的に向上した。機体の軽量化と強度アップにも成功し、大型の爆弾を搭載できる性能を獲得した。

 これにより航空機量産化の目途が付き、魔王軍特殊航空連隊の計画も加速度を上げて進み始めた。


 この世界で初めての航空機の名は、魔王軍爆撃機『ガルマーⅡ型』だ。

 アベル……佐々木透矢がもたらした、この世界には存在しない技術によって生み出された、革新的な最新兵器である。



 そして、パイロットとなる若者を集め、航空機の操縦を基礎からみっちり教え込むことになる。

 この世界には存在しなかった乗り物である為に、最初は誰もが怖がり要領を得なかった。

 そこで、唯一この世界で航空機を知っているアベルが、一から丁寧に教え込んでいったのだ。


 アベルは、全てが計画通りに進んでいることに満足していた。


 パイロットの教育も順調に進み、あとは水平爆撃の訓練により命中精度を上げるのみ。

 爆撃機も続々と製造され、空軍の完成もあとわずか。

 敵に戦闘機が存在しないのだから、航空機近接戦闘ドッグファイトもありえない。制空権は魔王軍が一方的に支配し、敵に爆弾の雨を降らせることができる。

 完璧な計画である。




 そして計画は進み、爆撃機も100機ほど完成した。パイロットの訓練も順調に進み、水平爆撃の精度も上がってきた頃、その知らせは突然に訪れた。


 魔王崩御である。


 それは、現魔王アバドニア・ルシフェルに代わって、娘のサタナキア・ルシフェルが新魔王になるということだ。

 魔王の病気が公式に知らされていなかった為、アベルを含む極一部の者以外は驚き大混乱となった。




 そして、国葬が盛大に行われ、続けざまに新魔王の戴冠式を行い、正式にサタナキアが魔王となったのである。


 魔王領は、新しい魔王の誕生に沸き返ると思われたのだが……。大方の予想は大きく外れ、魔王軍の組織に大激震が訪れることになった。



「はあ!? 軍務大臣と総司令官と総参謀長が謹慎処分だと!」


 アベルは、その知らせを聞いた時に目を疑った。

 サタナキアは現状の組織に手を加えることなく、何もしないものだと思っていたからだ。

 まさか彼女が独裁者のように権力を振るい、気に入らない幹部を次々に飛ばすとは思えない。何かの間違いではないかと目を疑うのも無理のない話だ。


(まさか……あのコミュ障で大人しいサタナキアが……。一体、中央で何が起きているんだ……)


 アベルの脳裏に気の弱そうなサタナキアの姿が浮かぶ。


(俺がトップに上り詰めた暁には、あの腐った大貴族どもを処分する予定だったが、今の時点で勝手に組織をグチャグチャにしたら、軍が機能しなくなってしまうぞ)


 アベルには、あのサタナキアに人事を取りまとめる能力が有るとも思えなかった。一体、あの小娘は何をするつもりなのだと。


「アベル様……」


 ローラが心配そうな顔でアベルを見つめた。


「ローラ、何でもない。ちょっと技術研究所に行ってくるよ」

「はい、ご用意いたします」



 ◆ ◇ ◆



 アベルが技術研究所に到着すると、更なる驚愕の事実を知らされることとなる。


「大変、大変だ! アベル君!」


 血相を変えたゲルハルトが、アベルのもとへ駆け寄ってきた。


「メフィストフェレス少将……じゃなく、ゲルハルトさん、何かございましたか? 幹部の謹慎の件でしたら……」

「違う! 違うんだ! 大変なんだ! 魔王軍技術研究所の予算が凍結されてしまったんだ!」

「は……?」


 あまりの衝撃に、アベルは絶句した。

 こうも立て続けに耳を疑う事態になるとは思いもしなかっただろう。

 これから空軍が完成し、魔王軍の快進撃が始まるはずだったのだ。それを予算凍結とは、まるで自国の軍隊を潰すような愚策である。


「一体、何が……」

「アベル君、どうしよう。我々の作った血と汗の結晶である爆撃機が、日の目を見ること無く忘れ去られてしまうかもしれない」


(どうする……一体何が起きているんだ……。もしかしたら、これは何かの予兆かもしれないぞ……。サタナキアは、とんでもないことを考えているのかもしれない……)


 アベルは知識を総動員し、士官学校で三年間にわたって彼女を見続け、その性格から次に考えそうなことを思案した。

 そして、一つの最悪の可能性に到達する。


「ま……まさか……いや、もしかしたら、彼女なら考えられる……」

「アベル君、何のことだい?」


 アベルは決意した顔で、ゲルハルトに向き合った。


「ゲルハルトさん、今すぐ爆撃機、爆弾、燃料、各種装備品、設計図など書類、あらゆる空軍に関する物を地下格納庫に隠しましょう! これは緊急事態になるかもしれません!」

「な、何が起きているんだい」

「急がなければ、我々の開発した爆撃機が敵の手に渡る事態になるかもしれません! 現状で完成している機体を全て隠し、開発の証拠も隠蔽するのです!」


 アベルは、ゲルハルトに説明した。

 自分が三年間にわたって、サタナキアと同級生であり親しくしていたことを。彼女の性格から、次に考えそうなことを。そして、その結果もたらされる最悪の事態を。


 ゲルハルトは黙ってアベルの話を聞き、全てを聞き終わってから深く頷いた。

 彼もアベルと似たようなところがあり、可能性の話に賛同する部分が多かったのだ。


「よし、私の権限で可及的速やかに行おう。全てを地下格納庫に隠し、入り口も見つからないように偽装することにするよ」

「ありがとうございます」


 メフィストフェレスはアベルの考えを受け入れ、少将の権限を使い独断で全ての隠蔽を実行した。



 アベルは王都デスザガートに戻り、サタナキアを説得しようかと一瞬だけ考えた。

 しかし、軍のトップ三人を無理やり謹慎させてしまったことからも、彼女の決意は固く説得は困難なのではないかと思った。そもそも元同級生といえど、魔王陛下となったサタナキアと、簡単に謁見できるとも思えない。

 無駄に時間を使っている内に事態が進行してしまうよりは、先に爆撃機関連の物を隠すのを優先しようと考えたのだ。


「俺が……俺があのような話をしたから……」


 アベルは頭を抱えた。

 そう、アベルは話したのだ。『玉座を狙うような不届き者の戯言などに耳を貸さず、殿下の思うようになされば良いのです』と。

 彼女にアドバイスしてしまったのは、紛れもないアベル自身であるのだ。彼女は、アベルのアドバイス通りに、彼女自身が思う理想の為に行動してしまったのかもしれない。




 全ての機体や装備の収納が完了し、パイロットや関係者にも箝口令かんこうれいを敷いた。

 ぎりぎり偽装工作が終わったところで、魔王から『その宣言』が発令された。魔王の権限により発令されたソレは、魔族中を震撼と動揺と混乱の渦に叩き込んでしまう。


 ドレスガルド帝国との間に停戦の条約が結ばれ、魔王命令により武装解除が宣言されたのだ。



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[一言] 魔王様、まさかの行動で驚き汗
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