anosa
17歳のきみへ。
なんだかんだと時は過ぎ、あれからかなり私の心境がかわったかと言われれば、そうでもないなと思う今日この頃をすごしている。人はなかなかにそう簡単には変わるものはないのだなとしみじみ思う。少し変わったことといえば、メイクを覚えて顔が変わったこととか、いまだに付き合っている彼氏の歯とか、当時聞いていた音楽が懐かしみを帯びたことくらいか。
まあ、ようは大したことないのだと、君が死ぬほど恐れていた変化ってやつは。
けれども今は、自由だったあの平穏な日々が懐かしい。
君はもっと遊んでおくべきだよ、と今になっては思う。自由なんてものはすぐにでも消えてしまう淡いものなのだからと。何を背負っているのか知らないがそんなものは、三年後の私は覚えていないくらいにはちっぽけなことなのだからと。未来なんてどうとでもなるのだと。
「好きだよ。」という言葉があるだろう。
君がその期間で考えた、不確実でありながら抱いたそれは、今でも大切に守られているけれど。しかしその感情はいつか色あせてしまう。それでも私は今でもそれを守り続けることにしている。過去の君の大切なものだから、なかなか壊すことはできないだろうから。
安心したかな。これでも結構努力をすることになるのだぞと忠告してあげたいけれど、まあ君なら大丈夫なのだろうな。だから「好きだよ」という言葉の端々に毒が実はついていることを私だけが知っていたとしても、教えてあげない。
私は元来意地悪だし、それをきっと理解していることだと思うからね。