1.プロローグ
これからよろしくお願いします!
ここは、通称マヌカの世界にある、セントアイラ王国のべーベル伯爵の領地。
その中で一番立派な建物の中で、ふたつの生命が誕生していた。
その建物の中で響くのは、赤ちゃんの泣き声とメイドの声だけ。
「おぎゃー、おぎゃー」×2
「旦那様、元気な双子のお嬢様です!」
今ここに、『創造の賢者』と『生産・付与の賢者』が産まれた。
時は遡る。
キキッー
車の急ブレーキ音。しかし、それは間に合わなかった。
危険な道だった。一歩踏み間違えれば、崖から真っ逆さま。
車は崖から落ちた。中にいる人が助かるはずがない。
中にいた、女子高校生の二人は受験合格をお祝いして、家族みんなで旅行中だった。
その二人の名前は、茉莉と奈々といった。
女神様はその二人を見逃すことはしなかった。
単に刺激が欲しかっただけなのかもしれない。
しかし、そこには確実に祝いの旅行で命を失った二人が不憫だという、女神様の優しさがあった。
女神様はその力で二人を呼び寄せた。
「あれ…私達死んだんじゃ?」
最初に起きたのは、茉莉だった。
それからすぐに奈々も目覚めた。
「ええ、死にましたよ。」
非情にも女神様が二人にそう告げる。
「じゃあ、なんで動けるの?!ここはどこなの?」
奈々がそういった。
「とりあえず、落ち着いてね。そうですね、ここは天界です。
天界は神々が住む所で、私が貴方たちを呼び寄せたのです。」
「天界なんかに呼び寄せてどうするの!」
「貴方たちを転生させていただきます。」
「拒否権は?」
「ないですね。」
「そこで何をすればいいの?」
「自由にしていただければ。別に産業革命起こしてもいいんですよ。」
「そこでですね、貴方たちに好きな能力を与えましょう。本来はこんなことしないんですが、異世界モノ?でしたっけ、そういった小説にそんな内容がありまして、やってみたいと思った次第です。」
「えっと、創造の力とかって貰えるんですか?」
「ええ。」
「じゃあ、私は生産とか付与の力が欲しいな。」
そうして、茉莉は創造の力、奈々は生産・付与の力を手にしたのである。
「ついでに今まで通り呼びやすいような名前にしておくね。向こうの知識は向こうに行った時に頭に入る様にしておこうかな。神殿に行けば私に会えるわ。それじゃあ、マヌカの世界に行ってらっしゃい!」