72話 ロピのスキル
「さーて! チルちゃんの次は私だね!」
ロピは張り切っているのか肩を何度か回す。
「私も出来れば二人と連携が取れそうなスキルがいいなー」
チルと違ってロピはどのスキルが良いとかは無いらしい。
「それじゃ、いくよー! ほい!」
ロピも俺達に見えるようにプレートを見せてくれた。
武器強化(属性:雷 部位:石 C)
「「「……」」」
「いたッ!!?」
チルが無言でロピの頭にチョップする。先程のやり取りでスキルの考え方が変わったと言っていたが、流石にこの状況には納得いかない部分が有り、つい姉の頭に手が出てしまったんだろう。
ロピよ、なんて間の悪い……。
「姉さん、酷い……」
「私のせいじゃないよ!? でも、なんかゴメン……」
「ううん。姉さんが悪いわけじゃないから……」
なんとも、微妙な空気が流れてしまう……。
「まぁ、これはこれでバランスがいいかもしれないな」
「お兄さん、どういうこと?」
「前衛にチル。中衛にロピ。後衛に俺だな」
「確かに! なんかチームぽい!」
「私が前衛で二人を守れる……!!」
Sランクの俺、Bランクのチル、Cランクのロピの三人パーティでも小型一体倒せるか分からないけど、バランスは相当良くなったな。
そもそも、小型の討伐人数は五人くらいだし、それを三人で倒すのは流石に無理か……。
「でも、私の強化部位が石って、もしかして使い辛そう……?」
うーん、確かに武器を強化する訳でなく石を強化って結構使い辛そうだな。
「お兄さーん、どう思うー?」
「うーん、それについてはこれから三人で色々検証してみようか」
「姉さん、私も一緒に考えるね」
「うん! 私もチルちゃんのスキルについて色々考えるね!」
それにしても、ロピのスキル武器強化で属性雷か、いいなー。主人公ぽい!!
「よし! なら今からスキルを使う練習も含めて訓練するか」
「「賛成!」」
俺達は村から出て少し離れた場所でスキルの練習をする事にした。
「お兄さん、早く早く!」
「アトス様! 早くいきましょう!」
二人は早くスキルを試したいのか俺に早く来るように催促してくる。
「二人ともそんなに早く行かなくても大丈夫だよ」
「「はやくー」」
「聞いちゃいないか」
二人は俺の言葉が耳に入って来ないらしく、俺に走るように言ってくる。
しばらく歩き周ると辺りが木だけになったので、早速スキルを試してみる事にした。
「お兄さん、武器強化のスキルってどうやれば発動するの?」
「自分のスキルを意識すれば発動するぞ。例えば、ロピの場合は手を石に触れて、自分から石に雷を付与するイメージだな」
俺もスキルの事を調べていた時に知った事だ。
「チルの場合は腕に集中して強化するイメージを作る事だな」
「なるほど……」
「ちなみに、決まった掛け声とかは無いが、声に出す事によって、スキル発動をスムーズに出来るから、オススメだな。
俺もスキル発動の時は掛け声だすしな」
シクやデグは掛け声をしないでもスキルを発動していたな。
「アトス様、私やってみます!」
「あぁ、目の前の木を狙ってるみるといい」
「はい」
チルは一度深呼吸をしてから、木の前に移動して目を瞑り始めた。
恐らく腕に集中する為だろう。
チルの腕が少し発光している。
「……アームズ」
チルが言葉を呟いた瞬間にチルの腕の筋肉が盛り上がった。
「チルちゃん、スキル発動しているよ!」
「そのまま。木を殴ってみるといい」
「分かりました」
チルが木を殴る為に身体を少し沈めて、中腰の姿勢で木を殴る。
木を殴った鈍い音が聞こえ、チルの殴った木を見てみると、拳が木を貫きチルの腕が木に埋まってしまっている。
「……凄い」
チルは自分自身のスキル能力に驚いた顔をしている。
「凄いー!!」
「確かに凄いな……」
デグもチルと同じスキルだったが、デグの場合はDランクだったはずだ。
そのデグのスキルでさえ俺は凄いと思っていたのに、更に二つも上のランクだとしたら、この威力は当たり前なのかもしれない……。
「アトス様どうでしょうか?」
「凄いぞチル! 後はそのスキルをどうやって使うか考えて磨いていこう」
「はい!」
チルは自分自身でも驚く程の威力に身体強化のスキルを気に入ったらしい。
「はいはーい! 次は私ね!」
次はロピが手を上げて、前に出てきた。
「お兄さん、私の場合は石が無いと発動しないって事?」
「プレートの表示を見る限りそうだな」
「石探さないと」
ロピはチルに手伝ってもらいながら、地面に転がっている小石を何個か集めている。
「よーし! ならお兄さん私もやるよー」
「おーう」
ロピもチル同様集中する為に目を瞑る。そして、大きく深呼吸して呟く。
「雷付与!」
ロピの持っている小石からバチバチと音が鳴り、帯電状態になっている事が分かる。
「えいッ!」
持っている石を木に投げると、投げた石が木に当たって一瞬光が走り、当たった場所が焦げていた。
「えー? なんか私のスキル微妙じゃない?」
チルのインパクトが強かった為、石が当たった場所が少し焦げている程度だと微妙に思えるのは仕方ない……。
「うーん、よし! ロピ、俺にその付与した石を当てて見てくれ」
「そんな事出来ないよ!?」
「アトス様がやるなら私が!」
二人は慌てた様に止めに入るが、これからの事も考えると一度受けといた方がいいと思ったのだ。
「まぁまぁ、とりあえず一回だけ!」
説得の結果、付与した石を俺が一瞬だけ触る事になった。
「それじゃ、お兄さんいくよー。雷付与!!」
先程と同じで、石からバチバチと音が鳴り、帯電している。
「触るぞー」
「気をつけて下さい……」
俺は石を一瞬だけ触ってみる。手からいきなりの激痛がして俺は意識が遠のいて行き気絶した……。
意識を手放すまでに、二人が叫びながら俺に駆け寄ってきたのが見える。
俺自身もここまで強い衝撃を受けると思っていなかった為耐えられなかったのだろう。
恐らく、気を引き締めていれば気絶はしなかったと思うがしばらく動けなかったな……。
そんな事を考えて居たら目の前が真っ暗になった。
読んでくださりありがとうございます!
お気に召しましたら、感想や評価をいただけると作者が泣いて喜び、感謝します!




