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61話 オーク?

「お兄さん、イノシシそっちいったよ」

「まかせろ!」


 旅を始めて十日程経った。前に住んでいた所からは大分離れた場所まで来た為、生息している動物や植物などが結構変わっている。

 村を探しているが、未だに見つからず難航している状況だ。


 そして、今は食料調達の為、狩を行っていたが、なんとか確保する事に成功する。


「アトス様、今日の朝ごはんも獲れましたね」

「このイノシシは大きくて美味そうだな」

「私、丸焼きで食べたーい!」


 この十日の内に二人は十歳になった。後は村を見つけてスキル儀式をするだけなのだが、この広大なジャングルで村を見つけるのはなかなか大変だ。

 また、村を見つけた所で俺達を歓迎してくれるかも分からないな。


「アトス様、ご飯の準備出来ました」

「お兄さーん、早く!」


 旅を始めてからチルがご飯の準備をしたいと言い出した為作り方などを教えてあげたら、すぐに覚えて今ではご飯担当になっている。


「チルちゃん、食べていいー?」

「ダメ」

「……え!?」


 予想した返答とは大分違う言葉が返ってきた事により、ロピが固まる。


「まずは、アトス様が先」

「で、でも私も食べたいんだよ?」

「アトス様が食べたあとね」


 ロピが俺の顔を見て、酷くない!? って顔で見ているがチルは一度言い出したらなかなか曲げない為、俺はロピに黙って首を振るしか無かった……。


「では、いただきます」


 一口食べる。丸焼きにしただけだがやはり誰かに作ってもらった料理は美味いものだ。


「美味いよ。チルはどんどん料理が上手になるね」

「い、いえ。アトス様に比べたらまだまだです……」


 チルは恥ずかしそうに、でも嬉しそうに答えた。


「うーん、チルちゃん美味いよ!」

「姉さんもありがとう」

「チルちゃんの料理ってだけで美味い」




 ご飯も食べ終わり、今日も村を見つける為出発する。

 この旅中でモンスターの気配は何度もあったが、ロピとチルの気配察知が鋭い為、お陰で遭遇せずに済んだ。


 だが、モンスターの中には、こちらの気配を敏感に察して、なかなか振り切れない時もあったので、油断は出来ないな。


 二人も旅の最初は、はしゃいで居たがモンスターの気配を察知する度に、どんどん静かになっていった。

 恐らく、こんなにモンスターが居るとは思わなかったんだろう。今では二人とも移動中は常に気を配って気配察知に集中している。


「お兄さん、近くでモンスターの気配」

「そうか。なら遠回りしよう」

「!? アトス様、小さい気配を感じました」

「気配からして、モンスターでは無いと思うよー」


 どうやら、モンスターの気配以外にも、別の気配を察知した様だ。


「近いのか?」

「そうだね。気配を殺しながら移動しているから私達でも気付かなかったな……」

「向こうもこちらに気づいていると思うか?」

「分からない。私達も気配を消して移動はしているけど、向こうも私達くらいの気配察知出来るならバレていると思う」


 向こうの種族次第だな……。


 獣人族は感覚が優れている為気配などの察知が得意だ。逆に人間族はある程度の気配察知は出来ても、それは微々たるもので、相当近くないと気配を察知する事が出来ない。


「アトス様、どうしますか?」

「ひとまず、モンスターからも人間からも距離を取ろう」

「お兄さん……逃げるなら早くした方がいいかも。相手の人数が想像よりも多い様だよ?」


 どうやら、種族は分からないが人間達の方は結構な人数がいる様だ。

 そして、モンスターと人間達に挟まれる形で、俺達が真ん中の位置にいるらしい……


「モンスターの方に向かうのは自殺行為だから、人間達の居る方に移動しよう」


 モンスターの方も、俺達も含めて、人間達が沢山いるせいか、こちらに向かってきている様だ。


「とにかく、逃げるぞ」

「「はい!」」


 俺達は正体不明の人間達に向かって移動する。


 モンスターの気配は、どんどん大きくなってきて、今では俺でも察知出来るほどモンスターが近づいて来ている。


 すると、急に大きな声で呼びかけられる。


「そこの三人、止まれ!!」


 急に声をかけられて、多少驚いた俺達だったが、いきなり攻撃されなかっただけ運がいいな……。


 俺達は素直に言葉に従い足を止める。


 声を掛けられた方に視線を移すが、人間達は茂みなどに隠れている為、目視出来ない。


「おい、モンスターが来ているぞ? 早く逃げなくていいのか?」


 俺は、今が危機的な状態である事を見えない相手に伝える。


「そんなのは、知っている。お前らは何者だ?」

「俺達は、スキル儀式を受ける為に旅をしている。今俺の後ろに居る二人が儀式を受ける」

「……」


 声の主は俺達の言う事が本当なのか探るように沈黙する。


「まぁいいだろう。お前達ここにいろ」

「なんでだよ」

「怪しいから。後で事情を聞く」

「断ったら?」

「好きにすればいいさ。だが、怪しく無いと分かれば村でスキル儀式を受けてもいいぞ」


 この提案は魅力的だ。この旅を続けて村なんて一度も見つかってない為、ここで断ってまた他の村を探すとしたら、なかなか大変だ……。


「分かった。だがモンスターが来ているけど、どうするんだ?」

「そこは任せろ。おい! こいつらを何人かで見張っていろ!」

「「おう!」」


 すると茂みから何人もの影が出てきて、俺達を通り越してモンスターに向かっていく。


 ──ッ!? い、今のってオークか!?


 俺達の横を通り過ぎたのは、オークだった。


 以前の世界でラノベや漫画で何度も見た姿だったが実際に見ると驚くものだ。

 何十人ものオークが俺達の横を通り過ぎ、モンスターの方に向かって走り去るのであった……

読んでくださりありがとうございます!

お気に召しましたら、感想や評価をいただけると作者が泣いて喜び、感謝します!

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