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161話 不穏な気配……?

「あれ? お兄さんどうしたの?」


 先程までドワーフと話し込んでいたロピが戻ってきた。


「ロピ殿お話はもう良いのですか?」

「うん。武器はもう頼んだから防具とかならいいよって言ったら是非作りたいって事で無料で作ってくれる事になった!」

「ほっほっほ。それは素晴らしい」

「皆んなの分も頼んどいたから!」

「抜け目ありませんな」

「貰える物は貰わないとね!」


 ロピとリガスは和やかに会話をしているが、その横で俺は手を地面に付けて地面を見ている。


「アトス様は、偉大なので大丈夫です」


 心優しいチルはずっと俺の側で俺が如何に凄い人で偉大で神なのかを力説してくれる。


「お兄さんどうしたの?」

「ふむ。二つ名がお気に召さなかったらしいですな」

「どんな二つ名だったの?」

「よくわからない奴です」


 それを聞いたロピは爆笑した……。


「あははは」

「姉さんもリガスもあっち行ってて!」

「ご、ごめんごめん。面白くてつい」

「アトス様は傷付いているの!」

「それにしても、皆んな酷いよねー」


 ロピは笑いを我慢しているのか、声や肩が震えている。


「アトス様が居なければ、あの戦闘は勝てなかったのに……」

「ふむ。それは事実ですな」

「お兄さんの能力上昇スキルが無かったら、あの小型を倒せなかったと思うしね」


 俺は女々しくも、皆んなに聞き返す。


「……ほんと?」


 俺が久しぶりに話した為チルはすかさず応答する。


「勿論です。アトス様が居てこその私達です!」


 チルが俺に見えない様にリガスにサインを送る。


「アトス殿が居なければ我々は全滅しておりましたな」


 続いて姉であるロピにもサインを送る。


「そ、そうだよ! お兄さんあってこその私達だし、お兄さんのスキルのお陰でカッコいい二つ名付いたし!」


 皆んなの言葉に徐々に元気が戻って来る。

 そして俺は立ち上がり三人を見回す。


「皆んなありがとうな」

「他の奴らがアトス様をどう言っても私達はアトス様の味方です!」

「チル……」


 俺は感動のあまりチルを抱きしめる。


「あわわ、アトス様……」

「あ! ズルい!」


 ロピが後ろから抱きついて来る。


「皆んなありがとうな!!」


 元気出た俺は、皆んなにお礼を言う。

 二つ名がなんだ!


 そして、皆んなで寝床まで戻る事にした。


「お兄さんの分の防具とかも頼んどいたからね!」

「ありがとうな。けどお金ないぞ?」

「なんか、全部無料でいいって!」


 おいおい、タダより怖いものは無いんだぞ……?


「ほっほっほ。アトス殿、そんなに警戒しなくても大丈夫ですぞ」

「そうなのか?」

「ドワーフ達は自分達が作った武器を有名な我々が使用するという付加価値が欲しいんですよ」


 なるほど……。有名な人が使用すればその分宣伝になるって事か。


「俺達も名が知られる様になったって事か」

「ほっほっほ。そういう事ですな」

「なんか不思議な感じだよねー」

「むしろ、アトス様を知るのは遅いくらいです」


 こうして俺達は寝床に戻る。すると近くで野宿している者達までが俺達の二つ名を知っていた。





「皆さんご飯でございます」

「お腹減ったー」

「今日はなんだー?」

「アトス様、どうやら肉を使った鍋らしいです」

「リガスの料理は美味いから楽しみだ」


 そして皆でリガスの料理を食べていると村の入り口が何やら騒がしい様だ。


「ん? なんか村の入り口ら辺に人が集まっているな」

「なんだろねー?」

「ふむ。人間族の兵士みたいなのが、結構な数おりますな」


 甲冑を着込んだ人間達が列を組んで村に入ってくる。そして一人だけ馬に乗っている者がいる。


「あの人が一番偉い人でしょうか?」


 チル予想は恐らく合っているだろう。他の者達とは装備している防具が全然違う。そして先頭に立ち、兵を率いている様だ。


「ここが、ドワーフの村か?」

「ハッ! ようやく到着致しました」

「では、ここに例の物が?」

「恐らくそうだと思われます。本日は一日休み、明日から情報を収集していこうと思います」

「分かった。泊まる場所の確保を頼むぞ」

「了解です!」

「それと、武器や防具も見るぞ。ここはドワーフの村だ、上等な物が置いてあるだろう」

「ハッ! では明日にでも行くという事でどうでしょうか」

「うむ。それで良い」


 一番偉そうな人間族は胡散臭そうな口髭を撫でながら村の入り口付近で寝床を用意している俺達を見た。


「アイツらは?」

「ハッ! 金銭的な余裕が無い為、ああやって村の内側で野宿しているのだと思います」

「貧乏人か。ああはなりたくないものだな」


 すぐに興味が失せたのか兵を率いて宿に向かったようだ。


「なにアイツら感じ悪ーい」

「私達を馬鹿にしてた」

「ふむ。あんまり関わりたく無い輩ですな」

「三人共くれぐれも気をつけてくれよ」


 この三人は何をやらかすか分からないので、俺は念入りに注意をしとく。


「あはは、お兄さんも心配性だなー」

「ほっほっほ。全くですな」

「アトス様には悪いですが流石に心配し過ぎだと思われますよ?」


 三人は笑いながら、そんな事無いと口々に言い合っているが、俺は心配でならない……。


読んでくださりありがとうございます!

お気に召しましたら、感想や評価をいただけると作者が泣いて喜び、感謝します!

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