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152話 デグと山神様

 村人達の報告でこの村にモンスターが迫って来ているとの事だ。

 そして獣人と人間族が追われているという。


「デクさん、どうする?!」

「戦闘員は俺とベムに付いて来い!」


 先程までどんちゃん騒ぎしていた者達だが今では皆気を引き締めて俺の指示を待っている。


「二班に分かれる。俺の班とベムの班に分けて各班で一体ずつ担当する」

「みんなついてきて……」


 俺の班とベムの班に分かれ現場に向かう。


「おいおい、ベムちゃんも戦うのかよ!?」

「あぶねぇーし、そういうのはオッサンに任せとけよ!」


 サットとマットがベムの前に出て出撃を止めようとするが、ベムは素通りする。


「ベムさん、こんな奴ら無視して早く行くっす!」

「うん……」


 俺達はジャングルに向かって走る。しばらくすると小型に追われている二人組を見つけた。


「アイツらか……ん?!」

「デ、デグあの人って!?」


 俺とベムは小型に追われている獣人の顔を見て驚愕する……。


「あれってシクさんか……?」

「うん。ベムもそう見えるけど……」

「でも、髪の色が違うし、髪型も……」


 俺達がシクさんを見たのは少しの間である。そして緊迫状態という事もありそこまで顔を覚えてない……。


「と、とにかく助けるぞ」

「うん。シク様かどうか確認する!」


 今追われている獣人は俺とベムの命の恩人であるシクさんの可能性がある。


「弓隊撃て……」


 ベムの号令で十人程が矢を放った。その矢は小型達に突き刺さりスピードが下がるのが分かった。


「盾隊突撃!!」


 俺の号令で盾を持った六人の戦士が半分に分かれて小型の突進を止める。

 そして攻撃担当である俺を含めた四人が小型に攻撃をした。


「オラ! 俺に続け!!」


 俺は身体強化のスキルにより腕を強化して大剣を小型に振り下ろす。それだけでは倒せない為次々と同じ箇所を他の者達が攻撃をする。


「よし、いいぞお前ら!」


 訓練通りの動きで、まず一体の小型を討伐する。


「そのまま、もう一体いくぞ!」

「「「おう!」」」


 引き続き訓練通りの動きで小型に攻撃して二体目を撃破する。


「お前ら良くやった!」

「皆んなおつかれ……」


 初出陣にもかかわらず犠牲者を出さず小型を二体倒す事が出来た。上出来な結果に他の者達も喜びを露わにする。


「お、俺らだけで小型倒したのか?」

「信じられねぇ……。俺ら農民だぜ?」


 俺とベム以外は殆どが農民など戦闘など一切した事ない者ばかりだった。


「お前らが必死に訓練をした結果だ」

「皆んな頑張ってた……」


 俺とベムの言葉に改めて自分達が強くなった事を実感する者達は皆で喜びあった。


「よっしゃー!!」

「俺らすげーぞ!?」

「俺の盾さばき見たかよ!?」

「男ども! 私達の弓でのサポートが勝敗を分けたのよ!」

「そうよ!」


 相当嬉しかったのか笑顔でお互いを褒め称え、自身の活躍ぶりを話している。


「デグ、私達は……」

「だな……」


 俺達は小型に追われていた二人に話を聞く為に歩き出すが、向こうから近づいて来た。


「あ、あの! 私達を助けてくれてありがとうございました!」


 人間族の女の子が俺達に頭を下げお礼を言ってくる。


「いや、気にしないでくれ。俺達の村が近くにあるからどっちにしろ討伐しないといけなかったし」

「それでも、あのままだと追いつかれたと思いますので」


 女の子は俺とベムにお礼を言った。


「俺はデグって言うんだ。村の村長をしている」

「ベムって言う。副村長……」


 俺とベムが自己紹介を済ますと女の子も丁寧に応えてれた。


「わ、私はレギュと言います」


 人間族の女の子はレギュか… …。そして俺とベムは最も気になっている獣人の方を見る。


「私は山神だ。よろしく」


 ん? 山神?


「それが名前なんですか?」

「あぁ」

「シク様じゃ無かった……?」


 ベムは誰も聞こえない様に口にするが、信じ切れないのか山神と言う女性から目を逸らさないでいた……。


「と、とにかく此処ではゆっくり話も出来ないし、一旦俺らの村に来てくれ、歓迎するぜ?」

「本当ですか!? 山神様やりましたよ、今日の寝床ゲットです!」


 こうして一旦この場を離れて俺らの村に向かう事にした。


「山神様はどこから来たんですか……?」


 村に向かう道すがらベムは山神さんに色々と質問をしていた。


「穴からだ」

「穴ですか……?」

「そうだ」


 山神さんの表情は常に冷酷だ。笑顔など見せないし、表情が動く事も無い。だがその表情は俺達を助けてくれたシクさんと被る様な気がする……。

 アトスからの話を聞く限りシクさんが笑う所を見た事が無いとか、なんとか言ってたな。

 そしてアトスを助ける為に自身が犠牲になり、逃げている途中で俺達を追っていた小型まで惹きつけて助けてくれたんだよな……。シクさんが助けてくれなかったら俺達は確実に捕食されていた。


 まだ分からないが山神さんがシクさんであったら、少しでも早くアトスに伝えてやりたい。そしたらアイツも喜ぶだろうな。


 俺はアトスが喜ぶ顔を想像して笑ってしまう。そしてもしシクさんだった場合次は俺とベムが全力で助ける番だな!





 

読んでくださりありがとうございます!

お気に召しましたら、感想や評価をいただけると作者が泣いて喜び、感謝します!

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