プロローグ
この作品は隔週から月1投稿です♪
現在執筆中の持たざる者の叛逆記の合間に書いている作品です。
異世界転生ものを書きたかったのですが、最初からそちらを書くのではなくオリジナルファンタジーをかいてある程度作風を固めた後で書きたいと思っておりました。
こちらも長い物語となるとは思いますが、気長にお付き合いいただけると嬉しいです♪
俺は…人を殺した…
ーーーー手に残る感触ーーーー
人を殺してしまった……
ーーーー横たわる女性ーーーー
それも長年連れ添った恋人を…………
ーーーー最期に呟いた彼女の「ごめ…ん…ね…」の一言ーーーー
彼女が謝る事など何も無い…悪いのはこの俺だ…なのに俺は彼女の首を絞めるこの手の力を弛める事ができなかった…
俺の名前は泉命。
女の名前と馬鹿にされてきたが、俺は両親が命を大切に育む子になって欲しいと祈り考え抜いて付けてくれたこの名前を気に入っていた。
この27年間その両親の願いを、虫の命ですら無碍にはしてこなかったと思う。
それがまさか…自身の恋人の命をこの手で奪う事になろうとは…。
とりあえず警察に捕まる前に死のうと思います。
死を考えているくらいだから警察に捕まる事を怖れてはいない。
ではなぜ警察に捕まるのが嫌なのかというと彼女を殺した自分という存在に耐えられないから…。
自分勝手だとは思う。
彼女の残された家族や友人には彼女を殺した理由をきちんと説明するべきだとは思っている…
しかし…
警察に捕まれば死ねなくなってしまう…罪を償いたいと思っているが、たぶん俺はその期間生きている事に耐える事ができないだろう…。
一言これだけは言わせてくれ…
「俺は彼女を本当に愛していたんだ…」
彼女とは俺が18の時、某有名私立大学で出逢った。
彼女は2つ上の先輩の20歳で、テニスサークルがきっかけだった。
初めて見かけた時からその美しさの前に目を奪われてしまった。
俺は猛烈アタックをし続けた。
そして、何度も玉砕した…でも諦めなかったんだ。
彼女しかいないと思った。18年間ずっと彼女を作った事などなかったし、敢えて欲しいとも思わなかった。
そんな俺が初めて本気で惚れた女性。
しつこい俺にそれでも笑いかけてくれる彼女。
その優しい笑顔が今になってふと思い出される。
俺の頬に涙が自然と伝う………
(あぁ、駄目だ…はやく死ななきゃ…)
それでも、次々と思い出される彼女との記憶。
彼女は友人として俺に付き合ってくれるようになった。
俺も最初はそれでもいいと思った。彼女の近くにいられるなら…
友人として仲良くなって、そして大学生活初めてのクリスマスで再度告白をした。
異性と過ごすクリスマスなんて初めてだったし、何度も玉砕した告白なのに、まるで初めての告白のようにドキドキした事をまだ先日の事のように憶えている。
そして、告白はなんと成功した。
彼女との初めて付き合えたのは出会いから8ヶ月たっていた。
yesの答えをもらえた瞬間、俺は人生で一番嬉しかったんだ…
それは大学合格よりもずっと…
「なんで…俺は…」
彼女を殺してしまった理由はおいおい語る機会があればしようと思うが、残された時間は少ないから
…簡単に説明する。
かいつまんでいうと所謂痴情のもつれである。
俺のことはニュースなどでどう取り上げられても構わない。
だが、彼女の事は憶測で語られないで欲しい…
彼女は本当に…素晴らしい人だったんだ…
意識のあるうちに誰に説明するわけでもなく、ただ、彼女への愛を知っていてほしかった。
俺のしたことは許されない。絶対にだ。そんな俺でもせめて神様にくらいは言い訳をさせてほしかった…
(眠くなってきた…ようやく死ねる…)
失いつつある意識の中で命も一言だけ呟く…
「本当にごめん…◯◯……
意識がプツリと消える、それはまさに電化製品の電源を落とすかのように、闇へと落ちた。
だが、その闇へと落ちる前にかすかに声を聴こえた気がする…どうでもいい事だが…
「……な…な…で……ト。」
目醒めるとそこは見渡す限り野原であった。
強い緑の匂いが鼻をつく、大学生活からずっと都会生活だった自分には懐かしい匂いだった、また横たわっていた際に野草が自身の顔をくすぐり、こそばゆくて目が覚めたのかもしれない。
そして自分は死ななかったのか…それなら何故病院ではないのか…自身で混乱していた。
また死んだのであれば天国など行けるはずもない、人殺しであり、自殺をした自分は間違いなく地獄行きのはずである。
だが、この景色は地獄とは自身が想像していま光景とはかけ離れており、とても美しい自然の野原であった。
地獄には思いようがない。
ミコトはただだだ呆けてしゃがみこんでしまった。
自身に何が起きたのか、周りには誰もいないし、見渡す限り野原の景観……
いや、わずかにだが煙がみえる。
ミコトはとりあえずその場所を目指してみることにした。
そして、立ち上がるとミコトは急激な眩暈を感じた。
そして吐気…
思い出したのだ、自身が死を選んだ理由…
「俺は人を殺した…それも大切な……な、なんだ、思い出せない。誰を殺した…俺は誰を殺したんだ!!」
手にその感覚が甦るが、誰を殺したのかまでは思い出せない。
そして、思い出そうとすると襲い来る非常に強い刺激的な頭痛と吐気…
「がぁぉ!」
堪らぬ痛みに呻き声をあげる
(な、なんなんだ、思い出せないし、思い出そうとすると狂いそうな痛み…痛いっ!!)
ミコトは大切な記憶が欠損してしまっていた。
誰を殺したのか、何故殺したのか…
残っているのは人を確かに殺したという記憶とさきほどの感覚。
そして、自身の記憶、だが、そこには大切な彼女との記憶は綺麗さっぱりと抜け落ちていた…。
そして、この場所はどこなのか…彼は少し後に知る。
自分が異世界へと転生した事を………
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます♪
綾蓮の初の異世界転生ものになります。
今後も不定期にはなりますが積極的にアップしていきます。
こちらの作品も持たざる者の叛逆記とともによろしくお願い致します♪