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第2話 魔法

 

 ひょんなことから日本に戻ってきた俺――白井祐也は、両親に大切に育てられ3年の月日が流れていた。


 その間に色々実験していたが、なんとこの体には魔力が流れていることがわかった。

 魔力とは、魔法を使うためのエネルギーのことで、アークスでは誰しもがこの魔力を体内に宿していた。

 もちろん個人差はあるが、魔力を持っていない者はいなかった。


 だが、地球ではそもそも魔法という概念がない。


 なぜなら、生物の体の構造が違っており、地球に存在する全生物には魔力袋まりょくぶくろがないのだ。

 魔力袋とは、アークスの人間にある臓器のひとつで、ここで外から取り込んだ酸素や、胃を通って食した物を魔力に変換し、体内に循環している。

 この変換効率が人によって大きかったり小さかったりするのだ。


 それに、この魔力袋自体が魔力でできている。

 その為、レントゲンや腹を開いても普通の人間ではまず確認できないのだ。


 因みに、魔法とは魔力を体外に放出し術者の望む現象を引き起こすもの。

 そして、外の空気と魔力が混ざり合って、人間にとっては害となる気体が発生することがある。

 これをアークスでは魔素と呼んでいる。


 そしてこの魔素が溜まり、高い濃度をはじき出すと魔物が生まれるという仕組みだ。

 魔法を日常的に使っていたアークスだからこそ、そこら辺に魔物が沸いていたのだ。


 つまり、「剣と魔法の世界」というのは、便利故に魔法を使い、魔物を呼び出して剣や魔法で倒すというくだらないサイクルが発生していた世界ということだ。


 この通り、魔法と「アークス」の世界について色々説明したが、もうあの世界は滅んでいるかもしれない。

 俺が倒せなかった邪神軍団だ。

 全人類が結束しても無理だろう。



 さて、最初に戻るが、俺の体内には魔力が流れている。

 それはつまり、体内に魔力袋が備わっているということで。

 なぜ備わっているのかは不明だが、ここで俺が魔法を乱射したら……。

 日本、いや、地球上の全世界は大混乱に陥るだろう。


 じゃあ、魔法を使わないのか。

 答えはNOだ!

 魔法は、確かに今言った大きなデメリットがあるが、何よりも便利で戦闘ではとことん使えるのだ。

 スキルだけでも、日本で生活する分には最高だろう。それこそ大抵の職には無学で就ける。

 だが、戦闘面ではスキルよりも魔法なのだ。

 日本では戦闘は大ぴらにできない。平和な国だし警察は優秀だ。

 まぁ、今の俺にはスキルがあるのでまず見つかりはしないが。


 話が逸れたが、俺は戦闘が好きだ。

 悪人を大手を振って裁けるあの世界は良かった。

 表では普通の学生で裏では最強の暗殺者とか凄い憧れる。


「アークス」では有名になりすぎていた感があったし、魔法を使っても余程の大魔法でない限りは驚かれることはない。

 だが、この世界で悪人を裁くときに魔法を使ったら……。

 なかなか面白いことになりそうだ。


 その為にも、セットで使わなければならないスキルがある。

 それは、「マジックアブソーブ」という名のスキル。

 これは、直訳で魔力吸収という意味だ。

 付近に漂っている魔力を根こそぎ吸収して自分のものにしてしまうレアスキルである。

 魔力を持つ生物に触れて少しずつ魔力を奪うこともできる。

 まぁこの世界には、そんな生物はいないからこの効果は意味ないが。

 このスキルを獲得したときは、大層喜んだものだ。

 これがあれば、先程言ったデメリットも関係なくなる。



「ママー。ちょっと庭で遊んでるねー」

「はーい。気を付けるのよ!明日は、幼稚園の入園式なんだから」

「うん。ちょっとバットで素振りしてるだけだよ」


 そう。俺は頑張って3歳児を演じている。

 俳優にもなれるかもしれないな、なんてな。


 まだ外が明るく、日が徐々に落ちてくる時間帯。

 俺は、自宅のマンションに設えられている共同の庭にやって来ていた。

 もちろんバットを振るためではない。


 魔力があるといっても、今の俺の体内を流れている魔力は微々たるものだ。

 今撃てる魔法はせいぜい下位魔法だけだろう。


 魔力が多ければ多い程、強い魔法が使える。

 下位魔法は1番下の魔法で、向こうの世界では小さい子供以外ではほぼ誰でも使える。

 それより上の魔法を使えると一般的に魔術師と名乗ることができる。


 魔法のランクは下から順に、下位、中位、上位、超位、極位(きょくい)神位(しんい)の6つある。

 超位から上のランクを身に付けられる者は、人間を超越した人外と位置付けられ、強力な魔法ばかりがある。

 まぁ、実際勇者とか賢者、巫女、魔王などといった特殊な奴ぐらいしか会得できないからな。



 魔力を増やすために一番手っ取り早い方法は、魔法を限界まで使って魔力袋を空っぽにすることだ。

 完全に空っぽにすると酷い倦怠感がやってくるので、少し残してまた数時間後に行うのが良い。


 あとは、年齢を重ねていけば自然と増えていく。

 だがその場合は、最終的な魔力量が魔法を使いまくっていた奴に比べて少なくなる。

 努力を怠ってはダメということだな。


 だから、俺は今からこっそりと魔法を使う。

 まだ大きい魔法は使えないので、バレることもないと思う。

 もちろん、先程言った「マジックアブソーブ」を同時使用するのも忘れない。

 スキルと魔法の同時使用など、元勇者の俺にとっては造作もない。



「水の球よ、飛来せよ。ウォーターボール!」


 俺がそう唱えると丸い水の球が上空に飛んでいく。

 まだ魔力が少ないから、球もかなり小さい。

 無詠唱でもできるのだが、魔力が少ない今は詠唱したほうが安定する。

 下位魔法は詠唱文が短いしな。



 さらに俺はそこから同じ魔法を5発撃ったところで魔力が切れそうになったので、家に戻ることにした。


「明日から幼稚園か。あまりマセてる印象を与えないように頑張ろう」







1話だけでブックマーク登録してくれた方ありがとうございます!

今後もどうぞよろしくお願い致します!



連載中の別作品「その少年は、我が道を往く~ ー異世界へ幼馴染を迎えに往く天才少年の軌跡ー」も興味がありましたら、覗いてみて下さい。


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