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引きこもり少女に幸あれ  作者: motto
山と主
15/35

14.邂逅遭遇

「ユキお姉ちゃん!見て見て、これしずが作ったの」

「う、うん」


 満面の笑みをユキに向けて学校で作ったらしい工作を見せてくるのは従妹のしずちゃんである。


「ほんとに白いし目が青い!すごい綺麗!髪結んでみていい?」

「ははっ・・・・どぞ」


 当初の目標通りに仲よくなれたのは嬉しいが、この年頃の子どもの勢いに圧倒され気味のユキであった。


「こーれ、しず!おねーちゃん困らしてない?」

「してないよー。ねー」

「うん」


 見かねてかしずちゃんの母、ユキの叔母が声をかけてくる。


「ほんとに、今日ユキちゃんが来るって知ってすっごく楽しみにしてたのよこの子は・・・一人っ子だし、お姉ちゃんが欲しいって前からいっていたのもあるのよね」

「そうなんですか」 

「うん、ユキお姉ちゃん来てくれて嬉しいよ」

「ありがとう」


 満面の笑みを浮かべるしずちゃんの頭をユキは撫でた。


「あ、そういえばおばあちゃんから裏のお堂にあいさつに行けって言われてたんですが・・・」

「ああ、あそこね。まだ陽もあるから、しず、ユキちゃん案内してこれる?」

「うん、まかせて!」


 祖母の言葉を思い出して、叔母に問うとしずちゃんが案内をかって出てくれた。


 お堂はしずちゃんの家から道と小川を挟んである小さな丘にあるらしい。

 途中で川に住む魚や林で捕れた虫など色々な事をしずちゃんは話してくれた。

 少し急な石段を上がるとそこに小さな祠があった。


「ここだよ」

「ありがとう、しずちゃん。とりあえずお供えしようか」

「うん!」


 家を出るときに持たされたお菓子とワンカップのお酒を備えてユキとしずちゃんは一緒に手を合わした。


「とりあえず、明日の登山の無事を祈ったよ」

「えー、心配しなくても大丈夫だよ!蔵王は全然楽勝なとこだし、車とロープウェーに乗ればすぐ山の上だよ」

「そっかー、私あんまり体力ないからそれは助かるなー」

「よかったね」


 しずちゃんと一緒に石段を下りながらそんな話をしていたユキは、ふと石段の上を見上げた。

 そこには一匹の白い犬が居た。


「あ、犬だ」

「え?どこどこ?」


 しずちゃんがきょろきょろと見渡す。


「石段の上・・・ってどこかいっちゃた・・・」

「どこかの家の犬かなー、探す?」

「咬まれると怖いから帰って叔父さんたちに言おう」


 そうしてしずちゃんの家へ帰ってきたユキは叔父に犬のことを話した。


「白い犬か?この辺に白い犬なんか飼ってる家さあったかなー。まぁ、今度寄合いで聴いてみるさ」

「ありがとうございます」

「いんや、変に咬まれるようなこどなくてよかっだ」

「はい」 

「お堂様へのあいさつも終えだし、明日は早くから蔵王さ向おう。今日はたくさんご飯を食べて、ゆっくり休んでな」

「はい!」


 こうしてユキの記念すべき旅行一日目はゆっくりと過ぎていったのであった。


 

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