報酬
月曜日の放課後。部室に水島さんが来た。
「みなさん、本当にありがとうございました」
そう言って、水島さんは頭を下げた。
「それで、皆さんに報告があるの。兄が日曜日に検査をして、どうやら回復の兆しが見えてきたの」
僕たちは、それを聞くと大いに喜んだ。
京ちゃんは水島さんの肩に手を置いてうんうんと頷く。
「よかったね。水島さん」
「はい」
「それで、頼みがあるんだけど」
「なんでも言って」
水島さんは京ちゃんに笑顔を見せる。ただ僕はなんだが京ちゃんがすごいことを言いそうな気がして怖かった。
「学園F・N・F解明部に入部しなさい」
「えっ」
水島さんは驚いていた。そりゃそうだ。突然入部しろと言われれば驚くのも無理はない。
「私はね。こんな野郎ばっかりで飽き飽きしてたのよ。一人はゲーム。一人は宿題。何この部。癒しが全然ないのよ。そこであなたに出会った。だから是非とも入部して。というか入部しなさい。これは命令よ」
京ちゃんのとんでもない発言とともに、入部届を水島さんに渡した。僕は断るだろうと思っていたんだけど、水島さんは
「ここに名前を書いたらいいの」
と京ちゃんに聞いている。
あっさりだったよ。
水島さんは自分の名前を入部届に書くと京ちゃんに渡した。それを京ちゃんは天に掲げる。
「よしこれで、水島瑞樹ちゃんが我が学園F・N・F解明部に入部しました」
京ちゃんがパチパチと手を叩く。僕はあまりの速さに唖然としていた。祥ちゃんはゲームに集中して聞いてさえいなかった。
「あんたたち何か言いなさいよね」
「えっと。よろしくね、水島さん」
「はい」
水島さんは元気よく返事をした。
兄さん、こうして僕たちに新しい仲間が出来ました。
学園七不思議壱“消えた教室”解明
これで第一章は終わりです。
次からは第二章に突入します。