捜索とハプニング
僕たちはご飯を食べ、休憩所のベンチの上で寝転んでいた。
「何か忘れている気がするわ」
ダラダラとしている京ちゃんが一言漏らした。その声に、誰も答えることはなかった。
その時、ご飯を食べ終えて寝てしまった、水島さんが起きた。
水島さんはその場で伸びながら目をこすっている。水島さんは京ちゃんに目が合うとお辞儀をした。
おっとりしている人だ。
水島さんはキョロキョロしだして、
「そう言えば、ミズの精ってどこにいるんだろうね」
と一言漏らす。
その言葉に、京ちゃんがハッとした。
「そうだわ。こんな山奥に来たのは、川遊びしに来たんじゃないわ。ミズの精を探しに来たのよ」
京ちゃんはベンチから飛び降りるといつもの仁王立ちをして僕たちに命令をする。
「日が暮れるまでに、ミズの精を探すわよ」
それから、僕たちは暴君春風京子の指令のもと、川でミズの精の探索を始めた。
僕は、ミズの精という妖怪がどんな姿なのかわからないため、どうしていいのかわからない。取り敢えず、探しているフリをしている。
祥ちゃんに至っては探すことさえしていない。カメラを水中につけ女性陣にバレないように撮影をしている。
祥ちゃんをここまで突き動かす何かがそこにはあった。
僕は、川を泳ぎながら探しているとまた背中に違和感を感じた。
背中の火傷がなくなっていくようなそんな気さえ覚えた。
一応は探す振りをしようと岩を持ち上げたりする。
その時、目の前で水島さんが岩を持ち上げようとしているのが見えた。
どうやら、岩が重たくて持ち上げられないみたいだ。
「大丈夫? 」
「大丈夫です~」
水島さんは顔を真っ赤にしている。明らかに大丈夫ではない。
「僕がやろうか? 」
「大丈夫だよ~」
水島さんはなぜか意地をはっているようだ。
僕は、一応水島さんが危なくなったら手をかせる位置で待機することにした。
その時だ。水島さんは足が滑り、後ろ向きにコケ始めた。
僕は水島さんの手を何とか掴むが、僕も滑ってしまい水島さんの方に倒れてしまう。それでもなんとか水島さんが危なくないように頭を抱えるように倒れた。
―――ドーン
水しぶきが僕たちにかかる。僕は起き上がろうと、地面に手をついた。ムニ。左手に何か柔らかいものが当たっている。僕は起き上がってみた。
そこには、顔を真っ赤にして口をパクパクしている水島さんが見えた。
そして、やっと僕の左手が触っている部分が分かった。僕は水島さんの胸に手をついていた。
「ごめん水島さん」
僕は、慌てて手を離す。その時、僕の右手は水島さんの背中の下にあり、何かに引っかかった。それに気づいていたが焦りから僕はそのまま、無理やり手を上にあげてしまった。
すると、僕の手に布が付いている。
「キャーー! 」
水島さんの叫び声が川に響いた。僕は水島さんを見ると、水島さんは上の水着をつけていなかった。つまり、僕の右手にあるこの布が水島さんの水着だ。
「ごめん」
僕は、すぐに目を瞑り、水島さんに水着を渡した。
水島さんは僕の手から奪うように水着を取る。
「ごめんなさい。私が無理をしたばっかりに」
「いや僕の方こそ」
それから僕たちは恥ずかしさから一言も喋られなかった。




