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学園F・N・F解明部  作者: 山神賢太郎
新生徒会の陰謀
22/37

裏学園F・N・F・解明部

  僕たちに残された猶予は二週間。この二週間でこの部に顧問をつけなければならない。

  僕たちはまず、この部の顧問だった人間、仙田先生に会いに職員室に行った。

  「失礼します」

  京ちゃんが先頭で職員室に入る。

  僕たちは仙田先生の元へ進んだ。仙田先生の机は汚い、数学の教科書が山積みにされ、その間に数学の小テストであろうものが挟まっていた。

  こんな、汚くてちゃんとどこになにがあるのかわかるのだろうか。

  「仙田、なんで私たちの部の顧問を下ろされたのよ」

  仙田先生は、禁煙パイプを噛みながら、頭を掻きむしっている。

  そして、不機嫌そうに京ちゃんを見る。

  「そりゃあれだな。上からの命令だ」

  「賄賂ね」

  京ちゃんがそう決め付けるが、仙田先生はそれはないと言わんばかりに頭を横に振る。

  「俺は一円ももらってない。」

  「じゃあ上からの命令ってどういうことよ」

  千田先生はその人に見えないように親指で指差した。その人物は副校長だ。

  「なんで、副校長がそんなことを」

  「さあな」

  仙田先生は頭を掻いている。

  「俺は別に顧問をしていいんだがなぁ」

  仙田先生はため息をしながら、一枚の紙を京ちゃんに渡した。

  京ちゃんはそれを読む。それを読み終えると、仙田先生に返した。

  「みんな、帰るわよ」

  僕たちは何がなんだか分からずに、踵を返した京ちゃんについて行く。職員室を出て部室へ向かうまで、京ちゃんは一言も喋らなかった。

  そして、部室に付き各々自分の席へと座る。

  そこでようやく、京ちゃんが喋り始めた。

  「さっき、渡された紙にはある会議の多数決の結果が載ってあったわ」

  「なんの多数決なんすか」

  「仙田をこの部の顧問から降ろすための多数決よ」

  僕は、その発言はなんとなく予想できていたが、それでも納得がいかなかった。なぜ、僕たちのためだけにそんな会議を開く必要があったのだろうか。

  「結果は知っての通り、賛成多数で仙田は降ろされた」

  京ちゃんは俯きながら厳しい顔をしていた。

  「じゃあ副校長の命令っていうのはどういうこと」

  「あの会議は副校長が開いたものなのよ。だから、直接じゃないとしても副校長の命令みたいなものよ。それに、副校長はこの結果をはじめから分かっているわよ」

  僕はその意味がわからなかった。なんで副校長はそんなことがわかっていたのか。

  「もしかして、俺たちのせいか」

  祥ちゃんは頭を抱えている。

  「僕たちのせい? 」

  「そうよ。賛成した教師のほとんどが部活動の顧問をしているわ。それも、私たちが勝負を挑んで勝ち、強引に入部させた部員達の顧問よ」

  僕は京ちゃんの言葉に納得するしかなかった。そういう教師なら僕たちに恨みも持っていることだろう。

  運動部は僕たちのせいで部費が少なく、部活で使う道具を買えないという最悪の事態になっている。文化部は制作に必要な機材を買えず、大会に出場することもままならないらしい。

  僕らは、ほぼすべての部活動の部員たちをこの学園F・N・F解明部の部員にしているため、教師の半分以上から恨まれている。

  この部が無くなれば、部活に必要な道具が買えるため、仙田先生を降ろすのに賛成するのは当然だ。

  「じゃあ、他の部の部員に退部届けを出すように言ったらどうなの」

  京ちゃんは僕の意見に少しだけ嫌な顔をしている。

  部員が減れば、部費も減る。それは当たり前のことなのだ。でもこの状況を何とかするためにはそれくらいしなければどうしようもない。

  「わかったわ。でも、それだけじゃきっと副校長は納得しないでしょうね。すでに、賛成で議決してるもの」

  そこで、祥ちゃんが京ちゃんに近づいた。

  「じゃあ、裏学園F・N・F・解明部のエースの出番だな。俺が副校長の不祥事とか不倫とか捏造を暴いてくる」

  自称、裏学園F・N・F・解明部のエースの祥ちゃんはそう言うとどこかに行ってしまった。

  「バカはほっといて私たちは退部届けを持って他の部を回りましょう」

  祥ちゃんを除く、F・N・Fメンバーで手分けして、部員に退部届けの用紙を配りに行く。

  手分けしても、ほぼすべての部活動の部員が学園F・N・F・解明部に所属しているため、かなり時間がかかった。

  用紙を配り終える頃には日も沈んでいた。僕は、用紙を配り終えると部室へと戻った。部室にはすでに、祥ちゃん以外のメンバーが戻っていた。みんな疲れきっているようだ。京ちゃんに至っては机に顔を乗せて、

  「うーん」

  と唸っている。

  「神山先輩、おつかれっす」

  奈央ちゃんは足を広げた状態で椅子に持たれている。この子は自分が女の子という自覚があるのだろうか。

  「みんなもおつかれ」

  僕は自分の席に座り、一休みする。

  「はい、冷たい麦茶どうぞ」

  僕が席に座ると同時に水島さんがキンキンに冷えた麦茶を持ってきてくれた。

  僕が一言、

  「ありがとう」

  と礼を言うと、水島さんはニコっと笑い自分の席へと戻る。水島さんの笑顔にも若干の疲れが見て取れた。

  みんな相当大変だったのだろう。僕たちは、疲れが抜けるまで部室で休んで帰ることにした。

  それから一週間僕たちは、退部届けの整理などに追われた。その間、祥ちゃんは部室に現れなかった

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