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学園F・N・F解明部  作者: 山神賢太郎
当たる占い師
18/37

イカサマ師の計略

  次の日。

  部室に集まった僕たちに、祥ちゃんが作戦の概要を話し始めた。

  「坂崎のイカサマを暴く作戦を発表する」

  僕たちは息を飲んで祥ちゃんを見た。

  「キーパソンは京子、お前だ」

  祥ちゃんは京ちゃんを指差す。

  「えっ私? 」

  京ちゃんは自分が指名されたことに驚いていた。

  「そうだ。俺が客で行くよりお前が客として行くほうが怪しまれずにすむ」

  「そうだとしてもなんで私なのよ」

  京ちゃんがそう思うのは最もだ。僕もその理由を知りたくて祥ちゃんを見る。

  「俺は因縁があるし、真志もあいつをよく思っていない。あと、水島と如月は占ったことがある。残るはお前だけだからだ」

  たしかに、その理由なら京ちゃんが適任だ。

  「でも、私そんな話術とかうまくないわよ」

  「大丈夫だ。お前がするのは話術とかいらない。俺の言ったとおりに行動すればいい」

  「行動ってどういうことよ」

  京ちゃんは祥ちゃんの言葉の意味が理解できなかった。

  「今日から占いをしてもらう前日まで、お前には嘘の行動をしてもらう」

  京ちゃんはポカンとした顔で、全く意味が分かっていないようだ。僕も意味がわからなかった。

  「最低でも一週間、嘘の行動をしてもらいたい。俺の言う行動を自宅に帰るまでしてもらいたい」

  「それで、イカサマを暴くことができるんでしょうね」

  「ああ、できるとも」

  祥ちゃんは自信満々な顔をしている。

  「ならやってやろうじゃないの」

  京ちゃんは、自分の胸を叩き祥ちゃんを見た。

  「このメモに書いてある行動をしてくれ」

  祥ちゃんから京ちゃんに嘘の行動のメモが渡された。

  僕と水島さんと奈央ちゃんはその行動がなんなのか、知ることができなかった。

  京ちゃんはそのメモを読むとニヤリと笑い、祥ちゃんを見る。

  そして、すぐに立ち上がると部室から出ていった。

  「祥ちゃん、あのメモどんなことがかいてあるの」

  「秘密だな」

  そう言うと祥ちゃんはニヤリと笑い、ゲームをし始めた。

  その日、京ちゃんが部室に帰ってくることはなかった。

  それから一週間、京ちゃんが部室に来ることはなかった。学校で見かけたり、話しかけたりしたけど、おかしなところは何もなかった。

  そして、京ちゃんは坂崎君に占いの予約を取りに行った。

  そのことを僕が知ったのは京ちゃんが占いの予約をしてから一週間経ってからだった。

  放課後。僕はいつもと同じように部室へと向かうと、部室には京ちゃんが先に来ていた。

  「今日は来たんだね」

  僕は京ちゃんを見ると、かなり疲れた表情を京ちゃんはしていた。

  「今日でやっと終わったのよ」

  京ちゃんの口からは何も言わなかったが、例のメモの指示が終わったらしい。

  「おつかれさま」

  僕はそれ以上詮索することはしなかった。

  部室には、京ちゃんの他にもゲームをしている祥ちゃんと奈央ちゃんがいた。水島さんは僕と教室を出てからどこかに行ってしまったのでいなかった。

  「これで終わりなんでしょ」

  京ちゃんはゲームをしている祥ちゃんに声をかけた。

  「ああ。たしか、明日だったよな」

  「そうよ。明日の放課後よ」

  「明日? 」

  僕は何をするのか分からずに京ちゃんに聞く。

  「占ってもらう日よ。一週間前に予約したのよ」

  僕は初めて京ちゃんが占う日を知った。

  「一週間で終わるって聞いてたのに、なんで二週間もあんなことしないといけなかったのよ」

  京ちゃんは机に突っ伏しながら頭を揺らして愚痴を言っている。どんなことをしていたんだろうか。

  「姉御。どんなことしてたんすか」

  ゲームをしていた奈央ちゃんが京ちゃんの方に振り向いて聞く。

  しかし、その内容を知ることはできなかった。京ちゃんが口を開く前に祥ちゃんが

  「秘密だ」

  と言って知ることができなかった。

  「どうしてですか」

  奈央ちゃんは祥ちゃんを睨む。その間も祥ちゃんはゲームで奈央ちゃんの操作するキャラクターをボコボコにしていた。

  「どこで誰が聞いているかわからないからだ。だから、メモで渡したんだよ」

  「ああ。うちのダムちゃんがボコボコに」

  奈央ちゃんは聞いているのか聞いてないのかわからない。自分の持ちキャラがボコボコにされていることに嘆いている。僕は、祥ちゃんの言ったことに納得し、それか自分からは何も聞かなかった。

  「なんでお前その挑発しか能のないキャラを使うんだよ」

  「いいじゃないっすか。面白いじゃないっすか。先輩だってなんでそのダサいバンドマンみたいなの使うんすか」

  「かっこいいじゃないか。お前にはこいつのよさがわからないんだな」

  二人はゲームをしながらけなし合いを始めた。この人たちは仲がいいのか悪いのかよくわからないや。そう思いながら僕は笑っていた。

  その日、水島さんが部室を訪れることはなかった。

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