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命運玉座のキヲテラウ  作者: 古卯木 悠右人
序章 水流纏し猛虎
6/22

Ⅵ:無銘(ナナシ)

 これから月一更新目指して頑張ります。

受験勉強も頑張ります。

 なんか、いきなり真面目な口調になった紘藤ひろふじ支部長がそんなことを言ってきた。でも、僕としても負けたままでは悔しいので、勿論、リベンジはするつもりだったから。別に問題はない。だが、支部長があんな風に言うのは珍しい。気になってので、とりあえず聞いてみることにした。


「いや、僕としても負けたままじゃ終われないんで、戦うつもりでしたけど、どうしたんですか? いきなり真面目な口調になって」


僕がそういうと、支部長は困ったように


「正直に言おう、今この兵庫支部で一番の実力者はお前だ、玖凱。故に、お前にはやつを倒すまで戦ってもらいたい」


と告げた。


だが、その言葉にはいささか疑問がある。


「支部長、お言葉ですが僕より強いやつはいるじゃないですか、傍示かたみさんや周防すおうさん、言いたくはないけどうたげのやつだっているじゃないですか」


僕がそういうと、支部長は苦虫を噛み潰したように言った。


「傍示と周防は宮仕みやづかえになった。宴は今、中国領域(北エリア)の山口支部にいる。だから、お前に頼むしかないんだ」


 なるほど、宴のやつがいない理由には納得した。だが、それどころじゃない情報が入ってきたような気がする。宮仕え。傍示さんと周防さんのコンビが、宮仕えだと!


「し、支部長。それって、……もしかして……?」


僕の言葉で支部長は、元々苦虫を噛み潰したような表情を更に苦くした。


「ああ、もしかしなくても、まぎれもない引き抜きだ……。」


その言葉に何も言えなくなる。

僕が黙っていると、支部長は振り返るようにこう語る。


「おおよそ、一週間くらい前かな、都のとこから使えがきて、手紙で傍示と周防を都の守護警備に回すように指示してきた」


「そんな……」


支部長はため息をついて、堅苦しい雰囲気をとっぱらったように告げた。


「大方、最弱の近畿領域にあの二人を置いとくんが、もったいないとか、上が下した結論やろな。いきなり違う領域に回すのは可笑しいから都に回したんとちゃうか? ほんま、嫌になるで」


 支部長の顔は暗い。いくら最弱の領域といわれても意地がある。ただでさえあまり、強くなくて罵られていたのに、近畿で強さを発揮していた二人が宮仕えは支部長としてくるものがあるのだろう。


「でもまぁ、宮仕えって言っても、都は大阪なんだし、ここ兵庫ですから、近いからあの二人だって手伝ってくれるんじゃないんですか?」


僕がそういうと、支部長は困ったように告げた。


「それがな、前話したと思うんやけど、都の表警備やない、裏の方やねん。あの二人がまかされたん」


その言葉に僕は何も言えなくなる。裏警備だって!? そんなのこっちが助けてもらうのは実質不可能だ。


そもそも、都とは現日本の首都で国会議事堂や最高裁判所、12省庁、大企業の本会社等々、権力者が住んでいるところである。警備兵もいるし、都の周りには城壁もある。もはや、要塞都市となっている。大阪ならず、OOSAKAとなっている。


その中でも一番、大事なのは天皇陛下のご住まいがそこにあるのが、要塞の一役をかっている。だから、討伐者エクテレス達も多くいるし、多くの場所に配属されているのだ。それが都の警備が堅い理由だと一般人は説明されている。


 さっきまで言ってたのが表警備のことだ。裏警備というのは天皇陛下が住んでおられる本拠地の警備を指す。天皇陛下が住んでいるのは実のところ京都である。京都の奥地にある秘境。そこにお住いになられている。裏警備とは、その屋敷を警備、または、周りの町や場所に出向いて緊急時いつでも行動できるように無数の待機場所の確認。怪しいやつはいないかの警邏である。


 天皇陛下がどうやって、京都から都の大阪に移動しているかは、大方、屋敷に覚醒者アフィプニスィ固有概念魔法マディスマギア空間転送テレポーテーションができるやつがいるのだろう。


因みに、この情報は最重要機密である。知っているのは各領域の支部長マスターピースと極一部の討伐者エクテレスだけである。なんで、僕が知ってるかといえば、酒飲んでいた時に支部長がコロッとボロッたからである。当然、そのあと、きつく絞られた。僕が支部長に、幸い、僕は口が固いタイプだったので問題なかった。別に話す相手がいなかったわけではない。


そんなことを考えていると、支部長から声がかかった。


「まぁ、なんにせよ。あの水虎アクアタイガーに対抗できるやつがお前しかおらんってのが今の現状や、せやから、頼むで、十三くん?」


その言葉に、僕は答える。


「了解しました!!」


そして、支部長室から出ていこうと思い、腰を上げようとしたとき、声がかかった。


「あ~、ちょい待ち。十三くん、君に渡したいもんがあるねん、まだ、そこ座っとき」


そういわれたので、肩透かしを食らった感じだが、また座りなおした。


支部長は部屋の奥の方に行き、何やら変な箱を取り出してきた。


「十三くん、ワイからのプレゼントや。ほれ」


といって、僕に向かってその箱を渡してきた。


「なんですか、これ?」


「まぁ、開けたらわかるさかいに、あけてみたらええ」


「はぁ」


そういわれたので、とりあえずいわれた通りに開けてみる。すると、そこには、一つのつるぎが入っていた。


「支部長これって……」


「武器、ないんやろ? 看護室レスキュー澪標みおつくしから聞いたで。そんで、たまたまこないだ、うちの領域内で発掘されたそれがあってな。ちょうどええと思って、用意したんや」


支部長は何やらいいことを言ってるようなのだが、僕には全く聞こえなかった。なぜなら、その渡された劔は見たからに錆びてしまっているからだ。


「いや、紘藤支部長?これ切れるんですか?明らかに錆びてますよね、これ。色も赤いですよ。こんなん、獲物どころか野菜だって切れるか分からないとおもうんですけど……」


「見た目な……、ちょうどええ、試し切りしたらええねん。ほれ」


そういって、支部長は僕にむかって林檎を投げてきた。


「おわっ!」


そんな言葉とともに劔を振るったら


スパッ!


そんな軽快な音とともに林檎が真っ二つに切れていた。


思わず唖然としてしまう。そんな反応を見て


「ほらな、言うた通りになったやろ」


と自信満々に言ってきた。


「でも、どうしてですか。こんなに錆びてるのに?」


「さぁな、それはワイにだってわからへん、ただ、その劔は錆びていてもよう切れるちゅーことがわかっとたら何の問題もあらへんやろ。きみかて得物がなかったんやし、よう切れる得物もろうてええやないかい」


「まぁ、そうですけど」


「あ、そういえば、これに名前ってあるんですか?」


「いいや、まだや、でも識別名は既に存在しとる」


「識別名ですか」


「ああ、無銘ナナシや」


「無銘ですか、まんまですねぇ」


「そらぁ、識別名やからなぁ、一応言うとけど、名前は変なんにするのはやめぇや」


「いや、こいつは無銘のままでいいですよ」


「んん、どおしてや?」


「無銘自体カッコいいですからね」


「そうかい……。まぁ、なんにせよ頼むわ。今はお前だけが頼りや、期待さしてもらうで十三くん?」


支部長の言葉に対して僕は威勢よく答える。


「はい!」


そんな中支部長は僕に再び声をかける。


「あ、さっき自分が切った林檎は自分で処理せえや。スタッフは処理せえへんで」


「ちょっ!? 支部長!?」


~~~~~

 僕は今、兵庫支部の三階の廊下を歩いている。目的地は会議室ブリーティングルームだ。あの後、支部長の言葉に返事して、部屋を出ていこうとしたときに、またしても支部長から声がかかったのだ。


「十三君、この後は会議室に行くといい。既に会議室には数十人の討伐者がいるだろう。そして、彼らは君を待っている」


「僕を、ですか?」


「ああ、なんせ、今回の集団グループのリーダーは君に任命してある。言っただろう、勝つまで戦ってもらうんだ。この案件のリーダーは永続的に君になる」


「分かりました。しかし、仲間チームではなくて集団ですか、いくつかの仲間に分けて、戦うと思ってましたが」


「いや、前の出撃の時に思っていたよりも被害が少なくてね、仲間でなく集団で行けると思ったからこうゆう判断をしたわけさ、それとも、集団の指揮は取れないかい?」


「いいえ、問題はないと思います。集団なら副リーダーもつくだろうからこれといって」


「そうかい、ではいってきたまえ!」


「了解しました!」


 と、いうわけである。とにもかくにも、会議室前までこれた。早速中に入るためノックする。


 コンッコンッ!


 その音と共に僕は会議室の中に入った。


 会議室にいたのは支部長の言った通り数十人程度の討伐者たちだった。その中の一人が僕に気付いたのか近づいてくる。


「えーっと、アンタが玖凱くがい 十三か?」


 僕にそう聞いてきたのは、眼鏡をかけた青年だった。質問されたのに答えないのは礼儀に反するので数拍をおいてから答えた。


「ああ、僕が玖凱 十三だ」


 そう答えると、目の前の青年は安心したように息をついた。


「そうか、よかった。リーダーが来るっていわれて待っていたんだが、なかなか来なかったから場所を間違えたのかと思ってたんだ。よかった」


 そういわれると、少し申し訳ないきがしてきた。支部長と話し込んでいたせいで時間が結構経っていたらしい。気付かなかった。


 僕がそう沈黙していると、青年は焦ったように切り出した。


「ああ、ごめん。自己紹介がまだだったね、なんて言えばいいかわからなかっただろ、俺の名前は糸定しじょうだ。糸に定理の定で糸定しじょうだ。よろしくな、玖凱」


「ああ、よろしく。糸定一つ聞きたいんだが、この集団の副リーダーを知っているか?」


「ああ、知ってるぜ」


「本当か、なら教えてほしいんだが、いろいろ作戦会議の方針を決めておきたいから」


「なら、心配しなくても大丈夫だ。俺がこの集団の副リーダーだ。よろしく頼むぜ、リーダー?」


「お前だったのか! ……ああ、こちらこそよろしく頼む」


「OK!んじゃ、方針を教えといてくれよ、リーダー。俺たちはそれに従ってくぜ」


「ああ、まずは…………」


~~~~~

 糸定のやつと方針を話し合って、僕は今会議室の上手かみてにいる。


 僕の目の前には数十人の討伐者達が僕の言葉を待っている。息を吸う。吐き出して、言葉を出そう。


「こんにちわ、討伐者のみなさん。僕はこの度の水虎討伐作戦のリーダーに任命された玖凱 十三といいます。最初に一つ言っておきます。今回はみなさんと共に近畿領域の危機を救うためここにいます。僕は今ここいるメンバーの中で一番強いです。だから、今回の作戦のリーダーを任せれました。ですが、僕とここにいるみなさんとの実力はさほど、たいして変わりません。だから、誰でもいいから、水虎を倒しましょう。勿論、作戦は考えますが、通じなったときは己の実力と運が関係してきます。だから、水虎倒して生き残りましょう、全員で!」


 言い終えた。すると、糸定のやつが先だって返事をした。


「おうっ!」


そして、遅れて他の討伐者達からも声が上がる。

『「『「『「『おうっ!!!!!!!』」』」』」』


「それじゃ、作戦会議を始めます」


~~~~~





 作戦はたてた。


 出来る限り水虎の情報を出し合って、話し合い、どうするかを考えあった。


 場所や時間、水虎が現れる時間帯と目撃情報で場所を定めた。


 弱点は何処か、また攻撃パターンなどが存在しているか、推測した。


 自分たちの情報を明し、誰と誰で仲間を組み、水虎をどう追いつめるかを何度も想定シュミレーションした。


 ならば、後はどうすればいいかなんて決まっている。


 覚悟なんざとうの昔に出来ている。


 同じこころざしを持ったやつらがいる。


 準備は完了した。水虎を狩るだけだ。


「作戦開始時刻は翌日のAM:9:00だ。用意はいいか」


『「『「『オウッ!!!!!』」』」』


「覚悟は出来ているな?」


『「『「『勿論!!!!!』」』」』


「なら、後は狩るだけだ。以上!」


『「『「『了解!!!!!』」』」』



 決戦はすぐそこにあった。







                作戦開始まで

                        13:50:42 秒

 今回の最後の残り何秒は特別性です。(ノリ)


時間から逆算してもらえば、分かると思うんですけど、午後七時で会議は終了しました。

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