Ⅴ:支部長(マスターピース)
すいません、三月中旬とかいってたのに下旬になって。
え?最終日、そんなの聞こえない。
遅れた理由はあとがきで
愚痴りながらこの軍勢の真ん中の階にある支部長室にやってきたのだが、いかせん気が進まない。まぁ、支部長に向かって啖呵切った癖に勝つどころか敗北して、挙句の果てには被害が想像以上だったということもあり、会いたくなかったのは事実である。言い訳はしないといったが愚痴は言いたくなる。
だって、階級AかBだとおもってたから余裕こいてたのは事実だけどまさか、あいつが属性持ちだとはおもってなかったからなぁー、はぁ。まぁ、しゃぁないか。諦めて支部長室のドアをノックした。
コンコンと軽快な音が廊下に響き渡った。
「どうぞ」
思ってたより早く返事が来たので、ドアを開けて支部長室に入る。
「失礼します。近畿支部の討伐者が一人、玖凱十三です。お呼びされたので参りました」
名目上はこの人がこの近畿支部のトップで僕たちの上司の一人である。失礼な態度は社会人としても禁忌なので気をつけなければならない。
「うん、よく来てくれたね十三君。立ち話もなんだしそこにかけてくれよ」
「では、お言葉に甘えて」
支部長の言葉に甘えて近くにあるソファーに座らせてもらった。よく見ると支部長机の上にあるたくさんの書類と戦ってたわけである。俗に言うデスクワークである。
そんなことを考えてたら支部長が話を進めてきた。
「それじゃあ、早速で悪いんだけど、コテンパンにやられたよね、君。あんな啖呵切ってた割に」
「ぐっ!」
さっそくかよ!!! 開始十秒で責められたよ。いやまぁ、当たり前なんだけどさ。
「お茶の子さいさいっていってたのに君がお茶の子さいさいにやられてどうするんだよ、あの啖呵はすぐに負けてきますって宣言だったのかい?」
「…………」
「いや、黙られても困るんだよ。あの机の上にあるたくさんの書類があの型獣との戦いで出た被害の総額とかその他もろもろの書類なんだからさ」
「…………」
「いやさぁ、俺だって別に責めてるわけじぁないよ、君のおかげで大怪我をした人こそいるけど幸いにも死者だけは一人も出なかったんだからさ。たださぁ、どんどんと次々と片付けたらいつの間にか元に戻っている書類の山、減るどころか増える一方の書類。もう、何日徹夜したかわからないよ、こっちは」
「…………」
返す言葉がねぇ……、どうしようガチでマジで支部長が愚痴ってんだけど原因に心当たりありすぎなんだけど、もしかしなくても僕があいつに負けたせいじゃん。勝利の報告受けての書類作業と敗北が分かった報告受けての書類作業は全然違うのは、身を持って体験しているからわかる。
「はぁ、まぁこのくらいでいいや。うっし、愚痴終わり。んじゃ仕事の話をしようか、十三くん?」
「へ?」
え、説教っぽい愚痴おわり?どういうことだ?それに口調が変わり始めて本来の形になってきたし。
「あー、なんかわけのわかんねぇって顔してんな。オーケー、きちんと説明するわ。まず最初に言っとくがあの水虎に勝てんかったのはしゃぁーない。まぁ当たったんがお前でよかった。他の支部ならともかくうちがあれと当たったら生きて帰ってこうへんやつらのほうが多いからな」
そう、この近畿領域(東エリア)は現日本にある四つの支部の中で最弱である。まぁ、今は訳あって中国領域が一番ピンチなのだがって、水虎? なんだそれ。僕が訝しそうな表情だったのがわかったのか支部長はこう教えてくれた。
「ああ、水虎ってのはあの濁流を撃ってきた型獣のことや。虎の形して水を使うてくるからそう、名付けたんや」
「名付けたって支部長がですか?」
「ああ、いつまでもあいつ呼ばわりできへんからな識別ネームは必要やろ」
まぁ、確かに支部長の言う通りだろう、毎回毎回あいつ呼ばわりじゃぁ、味気ないのは事実だ。だけど……、水虎って。
「なんや、えらい微妙そうな顔しとんな? なんか気にいらへんとこあったか?」
「いや、まぁ……ねぇ?」
「なんやねん、そのあいまいな返事……。もしかして水虎のことか」
「まぁ、そうですけど・・・」
「水虎がどないしたんや?」
「もっと、こう……感じにならなかったんですか?」
「はぁ? 何言うとるねん、はっきりしゃべれ、何ゆうとるかさっぱりわからん」
「なんで、もっとカッコいい名前にしなかったんですか?」
「はぁ?」
支部長はまるで『何いっとるん? こいつ』みたいな表情で僕を見てきた。けど、これには僕にも一過言ある。だって、水虎ってまんまじゃん。もっとこう、ひねれよ!
そんなことを考えてるのがわかったのか支部長は呆れた感じで
「ほな、十三くんならなんてつけるん?」
って聞いてきた。
……支部長、僕にそれを聞いちゃいますか? 僕はこういったのは結構好きなんですよ!って心の中で思い僕は自信満々にこう言った。
「水流を纏いし猛虎ですね!」
結構会心の出来だと思う。リンドヴルムってのはとある神話に出てくる怪物の一つだ。かっこよくて僕は気に入っているのだ。自信満々に紘藤支部長に告げると、支部長がなんか痛い子を見るような目で僕を見てきた。
「……そ、そうか。でも、すまんな。一応水虎で通ってもうてるからそう呼んでくれんか?」
支部長が僕にそう聞いてきた。名前がそれで通ってしまっているなら仕方がない。僕は諦めるしかないだろう。
「分かりました」
そう、簡潔に伝えたら支部長は何故かなんか安堵の溜め息っぽいのをついていた。なんでだろう?
僕が疑問のまなざしで見ていると支部長が気を取り直したように話し始めた。
「ほな、少し脱線してもうたけど、続き行こうか」
僕としては異論はないので素直にうなづいて話を聞く。
「水虎のことやけどあれは、もしかしたら十大龍席が関係してるかも知れへん」
「というと?」
「十三くんも十大龍席の内二席分は既に他の支部が倒してるのは聞いてるよな」
「ええ、まぁ。そりゃ、有名な話ですからね。知らない人なんかいないでしょう」
そう十大龍席は階級SからSSSで構成されている。そんなバケモノ級である彼らを狩ること自体がもはや奇跡の所業である。
そして、南の四国領域と西の九州領域はそれを達成しているのである。
「今回の水虎はその水属性の系譜の親玉であった十大龍席が一つ第Ⅷ席氷龍 アイシクルローザが討たれたせいで出てきたんじゃないかって意見があるんだよ」
「はい?」
十大龍席の一つだった第Ⅷ席のアイシクルローザが討たれたからってなんで水虎が出てくるんだ?
「訳が分からないって顔してるけど、これについてはまだ推測だからキチンとしか確証は得れてないんだけどさ、もう一つの龍が討たれた時も少ししてから現れてたんだよ、型獣型の敗れた十大龍席の属性のやつが」
「はぁ」
「つまり、その十大龍席が破れると、その属性の系譜を持ったやつが型獣型から出てくるってっことか?」
「うん、まぁそんなところやな、ていうか知っとたんかい?」
「いいや、情報から推測した」
「そりゃ凄いことをサラッとしてくるなぁ」
感心した感じでこっちを見てくる支部長。
いや、別に大したことはしてねぇんだけど、感心したようにいわれるとどこかむずかゆい気分になる。
「で、話って?」
「ああ、悪い悪い。また脱線してもうたなゃ、本題に入るんだけどええか?」
「ああ、問題ない」
「そうか、それはよかった。……近畿支部討伐者が一人 玖凱 十三殿。貴公には水虎をなんとしてでも討ち取って貰いたい。成功するまで何度でもだ……」
すんません、ショックでかけなかったんです。
大学入試見事に落ちよったわ。
あと、七点て、おま(・u・)
更新は浪人のため不定期になりなす。もともと不定期だったなんてことはありま・・・せん。