ゾンビ・THE・日常
ゾンビ。
それは、死者が動くという、怪奇現象そのもの。
動物にかみつき、肉を貪り、また仲間を増やす。
意識はあるのか?何故動くのか?全ては謎に包まれている。
今回は、そんなゾンビさんのお話―――
「ヴおおおお」
こんばんわ。墓場から沸いたゾンビです。
「ヴォっヴォヴォう」
周りは暗くてしょうがないです。
「ヴォウウうう」
なので、明るく歌おうかと思います。
「ヴォおおオオヴォっーヴォうヴォうヴォうヴォーーーーーウ!!」
……その歌は、もう、歌とは呼べない叫びだった。
そんな叫びに、勇者は反応し、襲い掛かっていくのである。
「聞こえたか?ヤツだ」
「ああ、狩りますか!EXP稼ぎに!」
「……かわいそ」
3人組のパーティは、森に走っていく。
とっても軽い気持ちで、明日に思いをはせながら。
ー墓場に勇者が現れた!
ゾンビはどうする?
1、襲う
2、襲う
3、襲う
さてどれ?
ゾンビは1を選択した!
ゾンビの攻撃!
「僕…おなか空いてるんです……だから……」
地獄の入り口、ブラックホールを発動した!
勇者は吸い込まれた!!
ー勇者側より
「でた、ゾンビだ!」
「よし、ここは先制攻撃を!」
「……かわいそ」
余裕をかます勇者達。だが、そのゾンビ、まさに風の如し。
「ヴォう…ヴぁガッガガガ……ヴぁアア」
電光石火。
勇者の目の前に移動する。
「え、っちょ、え??」
ゾンビの口が大きく上下に引き裂かれて開く。
その奥には黒い塊ばかりが見えて……。。
「アアアアアあああああああああああああ!!」
目の前が、真っ暗になった!
かじるだけでは済まさない。
吸い込んで、地獄に送って、復活させて、やっとゾンビは生まれるのである。
「「「「ヴォおおオオヴォっーヴォうヴォうヴォうヴォーーーーーウ!!」」」」
今日もゾンビさんの歌は響く。
その歌が4人になっていること、そして、勇者の3人組がどうなったかを、まだ誰も知らない。
ついでに、魔王の負担がまたちょっと増えた。
今回のモンスター・ゾンビ
もう、いまどきのゾンビは噛み付かないのだよ!
……次回はいたたまれない話です。