ドラゴン・THE・日常
今回はちょっと趣向をかえた話になってます。
それでは第二話、はじまりはじまり~
サワサワサワ……。ザワザワザワ……。
ヒュオオオオ……。ビュウウウ……。
ゴゴゴゴゴゴ……!!!
「……いい天気だ。楽しい空になりそうだ。」
このドラゴンの絶好の日和とは、台風並みの強風の日なのであった。
バサァ!
しっかりと風を読み、喰らいつき、飛び上がる。
「いくぜ、空中3回転ひねり、か~ら~の~ブレェエェス!」
ボボボボボ!!
森に火柱があがる。近くの人の町は騒ぎになる。
それは、人どころか、生物全てが恐れる行動のはじまりなのだった。
よお、見てるか!この風の中飛べるのは俺しかいないだろう!!
風を100年かけて全て計算し!練習で10回は翼を破った俺に、超えれない空などない!
ついでにブレスを吐き続ける俺、俺、俺!
ちょっと神がかってる!!
……ただのバカにしか見えない。。風の計算とかすごそうなのに。
そんなバカがこんなことをしているのは、ある恋人ならぬ、恋ドラゴンがいるからなのである。
バカに愛され続けてもう150年。
私の気を惹こうとして、幾度となくやっている。
どうせ「俺、すごくね?」とか思いながらやってる。
私はそんなんじゃおとせないわよ。
私も出来るし。6回転ひねりくらいできるし。
まだあきらめないのかなあ。
つい、ため息交じりに、火の粉を吐いて、
「やっぱりバカだわ、アイツ」
ボソッとつぶやいた。
「え、今なんて?褒めた?」
……あいつが振り向いてきた。耳がいい。地獄耳?違うよね?
ってブレスごとこっちを振り向くな!
「ギャアアア嗚呼!!」
顔に思いっきり当ててきた。熱い、痛い。
いい度胸してるわ……。この……!!
「え、っちょ、ごめっ、そんなつもりじゃ、ちょ、なんで、飛んでき、ぎゃあああ!」
その翼、もぎ取ってやる!
「おお、あれ見ろ!ドラゴンがつぶしあってるぞ!」
「結構一方的にやられてないか、あれ?」
「え、犯られてるって?」
「お~、祟りじゃ~、世界の終わりじゃ~」
「ちょっと黙っててくれ!」
町の騒ぎは大きくなっていく。
「ねえ、あれ見て!」
「ちょ、あれドラゴン2匹もいるし!」
「やばい!これはこっちがやられる!にげるぞ!」
「え、犯られるって?」
「あんただまってろ!」
森のモンスターも大騒ぎ。
歴史に残る、普通飛べないような風の中の、ドラゴン逃亡劇だった。
嵐のような風が吹き付ける日。その夜に1組のドラゴンのつがいが生まれたそうな。
それは珍しく、雄が尻に轢かれるつがいだったんだと。
「ごめんなさいゴメンナサイGOMENNASAI……」
その懺悔は3年ほど続いていたそうな。
今回のモンスター・ドラゴン
いろいろいたたまれない。