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OK×桜 第1章 第2話 「記録と祈り ― 桜交差点再訪 ―」

取材ノートに、淡い桜の花弁が一枚落ちた。

OKはゆっくりとその花びらを指で摘み上げ、無意識のうちに言葉を漏らす。

「この街、やっぱり何かが呼んどるんやな……」


彼の足元には、春の雨に濡れたアスファルト。

ここは数年前、事故のあった交差点――“桜魂”の物語が始まった場所だ。

あの日から、彼の胸の奥には形のない記憶が残っていた。

倒れた男、飛び散る光、そして少女の影。


取材用のマイクを向けると、通行人の女性が足を止めた。

「この辺り、夜になると光が見えるって噂ですよ。

 桜の花の形をした、淡い光……」

彼女の言葉に、OKの心臓が跳ねた。


夜、現場に戻る。

街灯が点き始め、風に乗ってひとひらの花びらが舞う。

視界の隅で、杖を持つ男の影が立っていた。

あの時の彼――福田朋広。

声をかけようとしたが、なぜか足が動かない。


その瞬間、空気が震えた。

スマホの画面に“光の波紋”が広がり、まるで心が呼応するようだった。

桜色の粒子が交差点の中央に集まり、円を描く。

そこに立つのは、桐生さくらの姿。

彼女の瞳は涙で揺れ、しかし優しく微笑んでいた。


「OKさん……あなた、まだ取材してたんですね」

「……君の話は、まだ終わってへんやろ」


夜風が二人の間を抜けた。

桜の光が淡く輝き、街が静寂に包まれる。

――この再会は、記録ではなく“祈り”の始まりだった。

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