表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

第0章第1話 記録の始点(オリジン)

午前零時、世界は静寂に包まれていた。

研究棟の最下層、無機質な照明が一つだけ灯る。

神代オウガはデータの波形を見つめ、指先を止めた。

通常ではあり得ない“共鳴”が観測されていた。


「……これは、地震でも通信ノイズでもないな」

画面の中で、数値がわずかに呼吸するように揺れている。

人為的な信号でも、自然発生でもない。

それはまるで、“世界そのものが意識を持った”かのような脈動。


椅子から立ち上がり、観測ドームへと向かう。

ガラスの向こうには、眠る都市。

だが、確かに空気が動いていた。

“誰か”が想いを放った瞬間の余波のように。


オウガはタブレットに短くメモを残す。

──【異常波:記録開始】


「もしこれが単なるエラーなら、すぐに消える」

だが、彼の心は告げていた。

この揺らぎは、始まりだ。

誰も知らない何かが、今、世界に侵入した。


端末の画面が一瞬だけ明滅する。

“観測対象:不明。波長:感情共鳴”

見えない何かが、データの向こうで息づいていた。


オウガは静かに眼鏡を押し上げる。

「……記録者の仕事だ。すべてを見届けよう」

その目は冷静でありながら、どこか懐かしさを帯びていた。

まだ彼は知らない。

その共鳴が、遠い地で流れた“守る想い”と同調していたことを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ