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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第二十四話 最低最悪の提案の末に

「それにしてもライブ、盛り上がったよなー」

「ふん、よく私の前で言えるよね、そんな事」

「いいじゃん。千波もスプリングスターズのファンになれば?」

「私はそういうのあんまり興味ないの。全く子供みたいにはしゃいじゃって」

 千波と電車に乗りながら、ライブの余韻に浸るが、案の定俺が宮下メイに釘付けになっていた事が千波は面白くなかったみたいで、憮然とした顔をしていた。

「嫌なら無理に来なくても良かったのに。でも来たって事は俺と……」

「タカちゃんが一人だと何するか心配だから、来ただけ。私だってこんな保護者みたいな事したくないんだからね」

「ハイハイ。俺は子供ですよ」

 すっかり母親気取りだが、あんまり悪い気分はしないので、存分に千波に甘えさせてもらうことにする。

 俺の事はガキ扱いか……千波は面倒見が良いから、つい甘えちゃうんだよな。


「ん? おお、先輩からだ」

 麻衣先輩からラインの着信が着たので、スマホを取り出してみてみると、

『ヤッホーっ! 今日は二人でライブに来てくれてありがとうねー』

 と、可愛らしい絵文字と共に今日、ライブにきたことのお礼のメッセージを送ってきてくれたので、

『今日のメイちゃん、最高でしたよ』

『へへ、ありがとー。二人の事、ステージからでもわかったよ』

 マジかよ。

 あんなに観客がいっぱい居たのに、俺達の事がステージからでも見えるものなのか?


『それでさ。また会いたいなって思っているんだけど、今度の水曜とかどう?』

『良いですね、会いましょう』

「へへ、また先輩とデートかー……はっ!」

「このクソガキ……」

 脇から、思いっきり千波が俺達のラインでのやり取りを覗いており、あからさまに眉を引きつらせて、怒りを募らせていた。

 ま、敢えて見せていたんだけどね。隠す必要もないし、千波の怒った顔も可愛いし。

『本当。じゃ、約束だよ』

『はい。楽しみだな……』


「貸しなさいっ!」

「あ、ちょっとっ!」

 千波が見ている所で、先輩と会う約束をしていると、千波が俺にスマホを取り上げ、

『私も行きますからっ!』

「お、おい。千波もって……」

「その日は部活がないから、暇なの。全く、どんだけ私に嫌がらせをすれば気が済むの、このバカは」

「嫌がらせって……わかった、一緒に行こうか。これなら浮気じゃないだろ」

「二人で会おうとした時点で浮気なの! とにかく私も同行するから、覚悟をしておいてねっ!」

「はーい……千波も一緒だけど良い?」

『うん、OKだよ。二人に会えるの楽しみ♪』

 と、案の定、麻衣先輩は千波もウェルカムだったので、先輩も何を考えているんだか。

 まあ、千波同伴ならむしろ堂々と先輩と会えるので、良かったと思おう。


 そして火曜日になり――

 ピンポーン。

「あ、二人ともいらっしゃい。入って」

 放課後になり、麻衣先輩の住むマンションに千波と共に行くと、先輩は俺を笑顔で出迎え、二人で中に入っていく。

「やーん、高俊、よく来てくれたねー。この前はライブに来てくれてありがとう。おかげで、ライブも大成功だったよ♪ちゅっ♡」

「せ、先輩……もう千波の目の前ですよ。あ、もう一回、今のやってくれます?」

「うん、いいよー。ちゅっ♡」

 そうおねだりすると、麻衣先輩は俺に抱き着いて、もう一回頬にキスしてくれたが、相変わらず開放的でサービスが良いねえ。

 この辺はハーフだから違うのかな……。


「オホンっ! いつまで、二人でイチャ付いているのっ! 彼女は私だっての忘れないで欲しいんですけどっ!」

「痛い、痛いっ! 耳を引っ張らないでよ、もう!」

 麻衣先輩とイチャ付いてると、目の前にいた千波に耳を思いっきり引っ張られて、強引に彼女と引き離される。

 ちっ、もう少し楽しみたかったが、千波が目の前に居るんじゃ、そうはいかないか。

「あはは、相変わらず仲が良いね、二人とも」

「ええ。もう毎日、ラブラブですから。最近、ちょっとだけこのバカ彼氏が浮気していますけど、タカちゃんが一番好きなのは私だってのはわかっていますので」

「そうなの?」

「ラブラブなのは本当ですよ。もう、最近はママみたいに甘えちゃってさー」

「止めなさい! はあ……こんなダメ男になるなんて……先輩のせいですからね!」

「ふふ、すっかり信頼されちゃっているじゃない。でも、付け入る隙ありそうだね。これからも、二人で会ってくれるよね、高俊?」

「もちろん。ぐげっ!」

 先輩の誘いに即OKしてやると、隣に座っていた千波が肘内をわき腹に食わらせ、その場にもたれかかる。


「本当、懲りないんだからあ……」

「んもう、暴力は駄目だよ。んで、早速、本題だけどさ、高俊。千波と別れて私と付き合ってくれる?」

「いきなりですねっ! それは流石にちょっと……」

「ダメ?」

 いきなり麻衣先輩にストレートに千波と別れろと言われてしまい、困惑してしまうが、流石にこれには首は縦に触れない。

「すみません、千波と別れるのは出来ないです」

「そっか。千波の方が好きなの?」

「そう……なりますね」

 もうハッキリ言った方が良いって思い、千波の手を握りながら、そう呟く。


「ほ、ほら。タカちゃんもこう言ってるじゃないですか。もう諦めましょうよ。麻衣先輩も脈ないのわかったでしょう?」

「うーん。でも、高俊とは仲良くしたいなー。ね、しばらく二号でも良いから、私とも浮気しない?」

「良いんですか? それなら、喜んで……ぐあっ!」

「またふざけたことを……どんだけ、クズムーブを見せれば気が済むのよ、あんたはっ! いい加減にしなさいっ!」

 二号でも構わないという申し出があったので、喜んでお受けすると、千波は更に後頭部をどつき、俺の前に怒りに満ちた顔で睨みつける。


「ご、御免、魅力的な提案だったんでつい。ほら、千波が一番好きなんだよ。千波が正妻で麻衣先輩は愛人。これで万事解決じゃない?」

「…………」

 あ、あれ? 俺がそう提案すると、千波も麻衣先輩も固まってしまう。

「本気で言ってるそれ?」

「だ、ダメ?」

「流石にそれはねー、高俊。二人を馬鹿にしているよ」

「そうそう。最低。見損なったよ、今度こそ」

 と、先輩も千波も冷たい目で俺を見ながら、突き放すような口調で言ってきたが、マジで怒らせちゃったかこれ?


「本当、最低よね。こんな男と付き合ったらロクな事にならないよ。だから、麻衣先輩も愛想が尽きたでしょう?」

「千波こそ。こんな彼氏じゃ、千波も苦労するって。だから早く別れなよ」

「いやいや、先輩もアイドル活動に支障出るでしょう、これじゃ。彼の面倒は私が見るから、先輩は……」

「いーや、私が高俊の面倒みるから、千波は新しい恋を見つけなって、ねっ?」

 ん? 何か妙な展開をしているが、これはどうなっているんだ?


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