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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第二十三話 最高のライブデート

「明日はいよいよ麻衣先輩のライブかあ……」

 遂に麻衣先輩のライブを明日に控え、何だか俺も緊張してきてしまった。

 俺が出る訳じゃないんだが、宮下メイの晴れ姿を観るのはめっちゃ楽しみだな。

 今度はちゃんとチケットを自前で買って応援に行きたいけど、問題は千波だ。

 ライブに行こうって何度誘っても嫌がるし、そこまで言うなら明日は一人で行くしかないな。


「あ、先輩からか。はい」

『はーい、元気してる?』

「はい。明日はライブですよね? 今、どうしてるんですか?」

『今、リハーサルやってて、その休憩中。明日は来てくれるんだよね?』

「ええ、もちろん」

 なんて自室で考えていると、麻衣先輩から電話が来たので出る。

 ライブの前日だってのに緊張している様子もなく、いつもと変わらぬ元気な声で話しかけて来てくる麻衣先輩。

 正に太陽みたいな女の子だよなあ。

 いっつも明るくて前向きな彼女の性格が本当に羨ましい。


『えへへ、ありがとう。よーし、頑張るぞ』

「頑張ってください。あの、ライブしている時っていつもどんな気分なんですか? やっぱり緊張します?」

『緊張はそりゃするよ。大勢の観客の前で歌うんだから。でも皆で盛り上がってくれると自分もテンション上がって来ちゃってさ。それが最高なのよね。めっちゃ楽しくていつまでも歌っていたい気分』

 へえ、一応緊張はするんだな。

 麻衣先輩の動画サイトに上がっているライブ映像とか見ていると本当に楽しそうにやっているから、あれが演技じゃないってわかっただけでもよかった。

 アイドルになる為に生まれてきた様な子なんだな……もっと人気出てくれると良いんだけど、そうなると麻衣先輩と二人で浮気……じゃなくて、会う時間も少なくなるし複雑な気分だ。

『千波も来てくれるの?』

「どうなんですかね……行かないって言っているので、最悪、俺一人でライブに行くことになりますけど」

『来てくれればうれしいんだけどなあ。まあ、あなただけでも来てくれればいいわ。んじゃねー』

 そろそろ休憩が終わるのか、麻衣先輩は電話を切って、リハーサルに戻っていった。


「あとは千波だな……来てくれると良いんだけど、まあ一人でも行けばいいか」

 ギリギリまで誘ってみたが、結局行かないって返事しか得られず、明日のライブは一人で行くことになってしまった。


 翌日――

「おお……凄い人だな」

 約束通り、麻衣先輩のライブ会場に向かうと、既に凄い人だかりができていた。

 まだ始まる二時間前なのに、こんなに人が集まるとはやっぱりすげー人気なんだな。

「千波は来てないか……ま、一人で楽しもうっと」

 今日はスプリングスターズの宮下メイの一ファンとして思う存分、ライブを楽しんでやるぞ。

 サイリウムも既に用意済みだし、盛り上がる準備は万全だ。

 何かグッズでもあったら買おうかな……。

「タカちゃんっ!」

「え? 千波っ!」

 並ぶ前にグッズでも購入しようかと思っていたら、なんと千波が俺の元に駆け寄ってきた。

「来たんだ? よかったあ」

「もう……行かないでって言ったのに。しょうがない子だなあ」

「はは、ありがとう来てくれて。先輩も喜ぶよ」

「彼女の言う事くらい、たまには聞いてよね。タカちゃんを一人にしたら、先輩と何をするかわかりゃしないんだから」

 と、プンプン怒りながらも、俺の手をがっしりと握って、列の方へと引っ張っていく。

 ふふ、やっぱり千波は面倒見が良い彼女だな。

 俺にはもったないくらいの最高の彼女だね。


「それにしても凄い人……こんなに人気あるんだね」

「そうだな。あ、はい。千波のサイリウム」

「こんなのまで用意していたんだ。私はタカちゃんのお守に来ただけだし」

「お守って子ども扱いかよ」

「子供扱いされたくないなら、もっとしっかりして。浮気癖が付いた彼氏なんか、信用されるわけないじゃない」

「はいはい」

 浮気してるから信用してないと言いながら、俺との交際は止める気ゼロってのもよくわからない嗜好をしているな千波も。

 ま、一人で楽しんでもよかったけど、今日は千波とのライブデートって事にしておこうっと。


「うわああ、凄い人……」

 会場に入ると、立錐の余地もないってほどビッシリ観客が詰まっており、異様な熱気に包まれていた。

 これが人気アイドルのライブ会場か……流石の千波も圧倒されているな。

 大部分は男だけど、女子のファンも見かけるし、カップルで来ているのも居るので、千波が浮くって程ではないが救いか。


「お、始まったか」

 ステージがライトアップされると一気に観客の歓声が上がり、俺もサイリウムをがっしりと掴んで待機する。

 麻衣先輩の晴れ姿……生でしっかりと焼き付けてやるぞ。


『みなさーーーーーんっ! こんにちはーーーっっ!!』

「「こんにちはーーーーっっ!!」」

「うおおおっ! メイちゃーーんっ!!」

 ライトアップされたステージ上に麻衣先輩……いや、宮下メイがマイクを持って元気な声で現れて、みんなに挨拶すると、観客も一斉にメイに挨拶する。

 そして他の二人のメンバーたちも出てきて同じように挨拶をし、それぞれの推しのアイドルに他のメンバーのファンに負けじと声を上げていった。

『今日は私たちのライブに来てくれてありがとーっ! こんなにいっぱいの観客の前で歌えて、私達も本当に嬉しいよ! それでは、まずは一曲目っ! 『シャワー・オブ・ライジングっ!』

 とメイちゃんが叫ぶと、早速一曲目がスタートする。


 ステージから少し遠い席ではあったが、背後にあるスクリーンに大きくメイちゃんの顔は映し出されており、満面の笑みで楽しそうに終始メイ先輩は歌っており、俺もすっかり他の観客と一緒に盛り上がってしまい、夢中になってサイリウムを振っていた。

「はいっ! はいっ! うおーーーーーーっっ!!」

「はあ……すっかり盛り上がっているね、タカちゃん」

「ん? いやー、雰囲気に呑まれちゃったのかな? ほら、千波も。一緒に盛り上がろうぜ」

「はいはい」

 隣で呆れた顔をして、俺が盛り上がっている所を見ており、千波も力なくサイリウムを振っていく。

 一緒に盛り上がりたかったけど、千波も時折、苦笑しながら俺を見て声を出していたので、そこそこたのしんでいるようで何よりだ。


『みんなーーーーっ! 今日は本当にありがとう! 最高のステージだったよっ!』

「うわあーーーーーーーっ!!」

 そしてアンコールの曲も終わり、最高のボルテージの中、スプリングスターズのライブは終了する。

 いやー、凄い熱気で楽しかった。

 途中からもう観客と一体になって、一緒になって歌っていた感じで最高だったな。


「うーん、楽しかったなあ、千波」

「そうだね。随分と盛り上がちゃって。私の事も忘れてさ」

「はは、良いじゃん。先輩、やっぱり格好良かったなあ」

 と、余韻に浸りながら千波と共にライブ会場を後にしていく。

 千波は楽しめてなかったのかな……俺は楽しんだから文句はないけどな。

「アイドルに現を抜かすのも良いけど、程ほどにね」

「え? いやー、麻衣先輩と浮気しても良いって事? いてててっ!」

「アイドルとして応援するのは良いって言っていたんだけど、理解できなかったっ!? 全く馬鹿彼氏なんだからっ!」

「も、もう……あ、電車きたぞ」

 耳を思いっきり引っ張られたところで、待っていた電車が来たので二人で乗り込む。


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