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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第二十二話 先輩のライブには絶対に行く

「じゃあ、今日はここでテスト勉強するよ」

 千波と一緒に地元の図書館へと向い、二人で中に入っていく。

 図書館ってこんなだったんだ……滅多に行かないから、ちょっと緊張するな。

「学習室、そこだから」

「うん。千波はよく来るの?」

「試験前とかたまにね。言うまでもないと思うけど、ここじゃ静かにね」

 学習室に入り、空いてる席に並んで座り、千波もすぐに教材を取り出して、黙々と勉強を始める。

 ここだと話も出来ないし、なんかデートって感じはしないなあ。

 つか、俺を付きわせる必要があったのか?

 今日は麻衣先輩も仕事があるらしいし、彼女だって学校の試験が近いから、遊ぶ暇はないんで、別に先輩と密会する予定もなかったのにな。


「…………」

 それから30分ほど経過したが、千波は脇目も振らずに集中して勉強していた。

 成績優秀な子はやっぱり集中力からして違うなあ。

 俺も頑張らないとと思いたいけど、わからない問題について聞ける雰囲気ではないし、一人で来てもよかったんじゃないのか?

 まあ、試験も近いから遊んでる場合じゃないんだけど、何も話も出来ないのは辛い。

「ちょっとトイレ行ってくるわ」

 居心地が悪くなったので、トイレを口実に席を立ち、一休みする。

 何をしに来たんだろうな俺は?

 まさか、今日はずっと図書館で勉強して終わりなのか?

 それも何か寂しいなと思いながら、トイレから出た後、外にあるベンチに座って一休みする。

 昼飯は何にしようかな……てか、麻衣先輩のライブ、もうすぐだけど、千波も一緒に行ってくれないかな?


「ん? 先輩からか……はい」

『はーい、高俊。元気している?』

「先輩。どうしたんですか?」

「今、ちょっと休憩中だから、高俊の事が気になって。えへへ、今、何しているの?」

「あー、えっと……テストが近いんで、千波と一緒に図書館でテスト勉強を」

『へえ、テスト勉強デートかー。私もそろそろやらないとなあ』

「あの、麻衣先輩の学校って、確か芸能コースみたいなのあるんでしたっけ?」

『うん。でも、テストやレポートはあるしさー』

 麻衣先輩の行っている高校の事を調べたら、芸能人とかもよく通う高校らしかったので、やっぱり芸能活動が優先的に活動できるようにはなっているのかと思ったら、テストはあるんだな。


『ライブも近いし、レッスンの方も気合入れないとねー』

「楽しみにしてますよ。俺、絶対応援に行きますから」

『ありがとー。そう言われると、こっちもますます頑張れちゃうかな』

「はは、そうだ……はっ!」

「じいい……」

 麻衣先輩と会話を弾ませていると、いつの間にか千波が俺の背後におり、俺を睨みつけていた。

 お、おお……まさかもう来るとは。

 いや、もう麻衣先輩と電話していることはバレているんだろうから、逃げる事もないか。


『どうしたの?』

「あー、いや、はは。今度、先輩といつ会えるかなって」

『あはは、そっか。高俊もいよいよその気になってきた?』

「その気って言うか、一度、麻衣先輩とも遊びに行きたいなって思って。仕事、最近、忙しいんですか?」

『ライブ近いしねー。ライブ終わったら、少しオフもあるかも。その時になったら、連絡するから』

 ふふ、千波の視線がどんどん痛くなってきたぞ。

 俺も性格が悪くなってきたな……でも、何があっても俺と別れる気がないって言葉をちょっとだけ試させてもらうよ。


「そうですか。出来れば二人で会いたいなーって、はは」

『本当? じゃあ、何処に行きたい? プールでも行こうか?』

「いいですね、先輩の水着楽しみです」

『うん。あ、もう休憩終わるから。じゃねー』

「いやー、はは……麻衣先輩とのデート楽しみだなー」

「随分と楽しそうに話していたじゃない」

「はっ! ち、千波、いつの間に!?」

 とっくに気づいたし、千波もわかっていただろうが、敢えて大袈裟に驚いて後ずさる。

「あのさー、私、タカちゃんの事、ちょっと気弱だけど、真面目で浮気なんか絶対にしない人だと思っていたんだよ。そう思っていたのに、あんた、私をどんだけ怒らせれば気が済むわけ? 彼女を怒らせるのが趣味なんだ?」

「う……はは、いや、今のは麻衣先輩とデートの約束じゃなくて、ライブの話をしていただけだって……んぎいいっ!」

 と白々しく言い訳をすると、千波は俺の首を右手で掴んで締め付ける。


「ウギイイイっ! く、苦しいってっ!」

「このまま絞め殺しても良いかなって。私の心はもっと苦しくて辛い思いをしているのわかるかな? はあ、どうしてこんなクズの馬鹿が私の彼氏なんだろう?」

「そ、そう思うなら……はあ、ゲホっ!」

 冷たい淡々とした口調で首を絞めながらそう言ってきたが、そこまで言うなら、別れるって話にならないのがよくわからないな。

「ほら、行くよ。これ以上、バカにされたくなければテストで良い点を取ることだね」

「あんまり、自分の彼氏を馬鹿馬鹿言うなよ。そんなことを言ったら、千波だって」

「私だって自分の彼氏を馬鹿とかクズとか言いたくないの。でも、私が止めろって言っているのに、嫌がらせみたいに他の女と浮気する男って、正真正銘のクズだよね? わからないなら、ただの馬鹿じゃん。難しい話言ってないよね、私?」

 うむ、確かに彼女の前で堂々と浮気をする男はクズで男の風上にも置けないな。

 しかし、それをわかったうえで付き合う千波もどうかと思うぞ。


「もう、どうしてこんなバカなクズ男を好きになっちゃったんだろう……」

「ん? 何だって? 俺の事、そんなに好きなんだ?」

「調子に乗らない! ほら、さっさと戻るよ」

「はいはい」

 うーん、こんなクズムーブかましても好きでいるってのも、千波も十分、おかしな女だな。

 まあいいよ。そんなに愛されているなら、千波の愛に俺も甘えてやるから。

「千波、テスト終わったら、先輩のライブ行こうな」

「行かない。タカちゃんも行っちゃだめだよ」

「いや、行くね。先輩と約束したし、行かないなら、一人で行くよー。その日は予定あるから、千波とのデートも出来ないね。あ、俺と一緒にスプリングスターズのライブデートするってのはどう?」

「ああいえば、こういう……この減らず口、どう塞いだら良いんだろう」

 と呆れた口調で千波も頭を抱えていたが、もうライブに行くことは決めているので、千波が何を言おうが無駄である。


 数日後――

「では、終了。後ろから答案用紙を回収してください」

 やっと終わったか……中間テストも終了する。

 出来は……まあまあかな。千波との勉強会が功を奏したかはよくわからない。

(ふふ、テストが終わったので、次は麻衣先輩のライブか)

 もう千波が何を言おうが行くと決めているので、楽しみで仕方ない。

 千波は一緒に行ってくれるかな……来てくれれば麻衣先輩だって喜んでくれるだろうに、先輩との距離が縮まっても知らないぞ。

「お、千波。今日は……」

「これから部活があるの。じゃあね」

「あ、そう」

 教室を出ようとした千波に声をかけると、千波は俺に視線を合わせる事もなく、教室を出てしまった。

 うーむ、やっぱり怒っているのかな。まあ、怒っていようかライブには行くけどね。


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