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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第十七話 彼女たちに甘えまくる

「うう……ちょっとやり過ぎだって……」

「自業自得。むしろこの程度で済んだんだから、感謝して欲しいくらいだね。私だって、相当手加減してあげたんだし」

 やっと怒涛の寝技が終わり、体のあちこちが痛む。

 確かに麻衣先輩にデレデレし過ぎたかもしれないけど、ここまでやることはなくない?

「悪かったって言ってるじゃん。てか、あれで手加減していたの?」

「当たり前じゃない。素人相手に本気なんか出さないわよ。タカちゃんも体鍛えてなさすぎ。体育の授業、もう少しまじめにやりなさいよ」

「真面目にはやってるよ。運動が苦手なだけで」

 体育はハッキリ言って嫌いだけど、だからってサボった事は一度もない。

 千波は運動も得意だし、スタイル良いから羨ましいわ。

 何で俺なんかと付き合っているのか不思議でしょうがないが、男の趣味が変わっているってことなんだろう。


「それより、喉渇いたなー。何か冷たい飲み物ない?」

「麦茶くらいしかないけど……てか、何で私にしがみついているの?」

「いや、良いじゃん。寝技の練習に付き合ったんだし、少しくらいは甘えても」

「全然、練習にもならなかったけどね……今、持ってくるから離して。全く、しょうもない彼氏なんだから」

 ブツブツ文句を言いながらも、千波は部屋から出て俺に麦茶を持ってきてくれた。

 何だろうなこれ?

 母親に甘えている出来の悪い子供みたいな気分……自分で言うのもアレだが、駄目な男なのは確かだな。


「はい」

「どうも。ん……はあ……まだ痛むなあ。マッサージしてくれると嬉しいんだけどなー」

「タカちゃんも随分と馴れ馴れしくなってきたじゃない。少し前までは偉い他人行儀だったのに」

「付き合っているんだから、いいじゃん。もっと馴れ馴れしくして欲しいんじゃなかったの?」

 呼び捨てで呼んでくれと言ったのは千波の方なんだから、むしろ馴れ馴れしく接するくらいでちょうど良いはず。

 付き合っているんだから、遠慮する必要ないんだよな。しかも同い年だからなおさら。


「タカちゃんって、やっぱり女心を全く理解できてないね。私がどれだけ麻衣先輩のことで傷付いているのかまだわかってない。いや、もしかしてわかった上でやってたりするのかな? だったら、最低だよね。男のクズだよ」

「屑ってさあ……じゃあ、そんな男と付き合っている千波は何なんだって話しじゃん。麻衣先輩はアイドルとして応援したいだけだよ」

「嘘。デレデレしていたくせに」

 そりゃあんなに可愛いんだから、ちょっとデレちゃうのは仕方ない。

 何せ笑顔が可愛いからなあ……流石、アイドルグループのセンター。


「うう〜〜……また、麻衣先輩の事、考えているでしょう!」

「か、考えてないって! そうだ、お詫びと言っちゃなんだけどさ!」

「何?」

「膝枕してほしいんだけど、駄目?」

「…………タカちゃん、今、お詫びって言ったよね? 日本語がおかしくない?」

 お詫びというかお願いというべきなんだろうが、お詫びに俺に膝枕する権利をあげるよって事かな。

「そうそう。俺に膝枕させてあげる」

「意味わかんないんだけど。膝枕してほしいなら、素直にそう言えば良いじゃない」

「素直に言えばさせてくれるんだ」

「まあ……それくらいなら」

「やったーっ! じゃあ、早く正座して」

「こ、こら」

 呆れた顔をしながらも、千波は膝枕をしてくれることをOKしたので、早速彼女の膝の上で寝る。


「どう?」

「思ったより固いかなー?」

「せっかくしてあげたのに、文句ばかり。本当、最悪な彼氏」

「ごめんごめん。気持ちいいって」

 もっとフカフカなのを想像していたが、思っていた以上に固かったので、正直に言うと千波も頬を膨らませながらも頭を撫でていく。

 まあ、頼んでおいて今の言い方はないけど、文句を言いながらも甘やかしてくれる彼女ってやっぱり最高だな。



「ここでしばらく昼寝しようかなあ」

「ダメ。もうすぐお父さんもお母さんも帰ってくるから」

「マジで? いつ頃帰ってきそう?」

「あと、一時間……三十分くらいかも」

 じゃあ、ゆっくりここで昼寝は出来ないか。せっかく彼女に甘えていたのにもったいない。

「はあ……もっとゆっくりしたかったな」

 そんなでは、もう家を出ないといけないので、さっさと起き上がる。


「本当、甘えん坊だね。というか、根性が甘えているよ。私がなんでもしてくれる彼女だとでも思っているの?」

「そこまでは思ってないよ。でも、たまには甘えたいときはあるじゃん。千波も俺に甘えても良いんだぞ」

「別にそういう気はないし。あーあ、タカちゃんがここまでおかしな男だったとは……私、どうして……」

「ん?」

「なんでもないっ! 今日のデートはもうおしまい。もうすぐお父さんもお母さんも帰ってくるから」

「あ、ああ」

 千波に急かされて、そそくさと帰り支度をして、家路に着く。

 せっかく、千波の家で二人きりだったんだから、もっと美味しい展開を想像していたんだけど、寝技かけられまくったが、まあ膝枕でチャラにしてあげようっと。


「ねえ、麻衣先輩とはもう会わないって誓える?」

「ゴメン、それは無理。麻衣先輩の事、もっと応援したいしさ」

「あっさり即答しないでよ。浮気する気満々じゃない」

「そうじゃないよ。アイドルとして応援したいしさ。ライブとかも機会があれば行きたいんだよ。まあ、せっかくお知り合いになれたから、仲良くしたい気持ちもあるけどな。嫌なら、会う時は千波も一緒なら問題ないだろ」

 麻衣先輩とはお友達付き合い……というより、もっと深い仲にはなりたいので、会わないなんて約束は出来ないな。

「問題ありすぎ。あんだけ痛い目を見たのにまだ懲りないなんて……」

「はは、気を付けるから。大丈夫、俺が好きなのは千波だけだよ。マジで」

「か、軽く言わないの、そういう言葉はっ!」

 よくもこんなセリフをさらっと言えたと感心してしまったが、俺も二人と会って変わったのかもな。


「でも、まあ好きって言ってくれたのはうれしいかも」

「本当? いやー、千波の事、大好きだしさ。麻衣先輩の事も好きだけど、千波はもっとだよ」

「そういう水を差すような事を言わないっ! ああ、もう。調子狂うから、今日はもう帰って」

「はいはい。じゃあな。また後で、連絡するから」

 顔を真っ赤にした彼女に背中を押されて、千波の家を後にする。

 寝技をかけられて痛い目を見たけど、それ以上に千波との仲が深まった気がしたので、良かったかな。


「ん? 麻衣先輩だ。はい」

『ヤッホー、高俊。今日はデートの邪魔してゴメンねー』

「いや、全くですよ」

 夜中になり、麻衣先輩から電話が着たので、速攻で出て通話に応じる。

 何だか向こうから電話してくるの楽しみになってきたな。

『あの後、どうしたの?』

「千波の家に行ったんですよ。そこで怒られちゃいまして。千波、柔道部なんで怒らすと怖いんですよね」

『へえ、柔道部なんだ。高俊みたいな軟弱男じゃ、喧嘩では勝てないでしょう。私もちょっと空手やっていたけどさ』

 まあ、千波の方が身長も高いしな。

『ねえ、来月ライブあるんだけど、よかったら来ない?』

「え? でもチケットは……」

『私が招待チケット送るから♪ だから、来てよ、ね』

「わかりました」

 ライブのチケットを取れるか不安だったが、麻衣先輩がそこまで言うなら今回はお言葉に甘えることにする。

 何だか彼女にも麻衣先輩にも甘えてばかりで、悪いな……甘え癖が付いてしまい、どんどん自分が堕落していくのがちょっと怖くなってきたのであった。

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