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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第十四話 直接対決が早くも

「あのー、小川さん」

「何?」

「流石に食事中ここまでくっつかれちゃうと、食べにくいというか……」

 しばらく街中の店を二人で見て回った後、ファミレスでランチする事になり、小川さんと一緒に入っていったが、小川さんはオレの隣に密着して座り、未だに離れようとしなかった。

「どうして、私がこういう事をしているのか、よく考える事だね。浮気した彼氏を信用できるわけないし」

「だから、浮気なんかしてないって。まだ疑っているの?」

「タカちゃんが潔白を証明出来ないんだから、仕方ないじゃない」

「潔白を証明って、どうすれば納得してくれるんだよ?」

「あの子に会わせて」

「それは……わ、わかった。後で話してみるから」

「やるなら今すぐ! 早く連絡して、ここに呼び出しなさい!」

 今すぐって、そんな無茶な……宮下先輩だって、都合が付くかわからないんだし。


「出来ないっての? その子と付き合っていないってなら、別にタカちゃんの彼女である私と会わせても問題はないよね? 出来ないとでも言うの? なら、タカちゃんはクロ確定だね。後ろめたい関係だから、私に会わせられないんじゃん」

 うう……そうかもしれないけど、やっぱり小川さんと会わせるのは厳しいかもしれない。

 だって宮下先輩の事だから、俺とキスしたことも小川さんにバラしそうだし、そうなったら俺も本当に小川さんに殺されかねない。

 そんな最悪の事態が頭をよぎると、恐ろしくて、とても先輩に連絡を取ることは出来なかったが、

「早くしなさいよ。せっかくのデートなんだから、私だって、タカちゃんと楽しみたいの。こんな気持ちのまま、デートしたって、楽しめないんだから、この浮気疑惑を早く解消させて」

「今からはちょっと……」

「後でやると、口裏合わせとかされそうだから、今ここでやるの! それだけ、私の信用を失っている状況だって理解しなさいよ!」

「は、はいっ!」

 ここまでされると、もはや逃げ場がないと観念し、先輩に連絡を取ってみる。

 流石に電話だとあれなので、ラインでメッセージを送ることにしたが、脇からじっと小川さんが睨みつけながら見ており、プライバシーを守る余地などもうなかった。


『今日、これから会えますか?』

 と短文で送信する。

 頼む、さっさと断ってくれ……それがこの場を一番、穏便に済ませる方法だったのだが、即既読マークがついてしまい、

『OK』

 とあっさりとOKの返事が着てしまい、愕然としてしまう。

「へえ、随分とお早い返事じゃない。随分と愛されているじゃない、あの子に」

「あのー、いくら小川さんでも流石にラインのやり取りを監視するのはやりすぎじゃないですかね……」

「私だってこういう事はしたくないの。でも、仕方ないよね。彼氏の浮気を調査するためなんだからさ」

 そういう理由で、プライバシーを侵害しちゃって良いのかと思ったが、本当にここに呼び出しちゃって大丈夫なんだろうか……。

 マジで胃が痛くなるんだけど、そうだ。

 何処にいるのかラインで知らせないといけないんだったな……えっと、このお店は。


「はーい、高俊♪ こんにちは」

「うわあっ! えっ! な、何でここにっ!?」

 メッセージを送信しようとしたところで、先輩が俺の前にひょいっと顔を出してきたので、心臓が止まりそうになってしまった。

「えへへー、実は後を付けていたの♪ ビックリさせちゃった?」

「いやいや、後を付けていたって……どうして、ここがわかったんですか?」

「ふふん、まあこっそりとね。高俊がこの辺に住んでいるのはわかっていたから」

 嘘だろっ!? だって、俺、先輩に住所とか教えた事はないんだけど?


「あら、あなたが高俊のガールフレンドさん? はじめました。私、宮下麻衣って言うの」

「は、はあ……どうも。小川千波です。あなた、一体、タカちゃんの何なんですか?」

 突然の登場に唖然としていた小川さんに平然と挨拶をし、宮下先輩は向かい側の席に座る。

 流石にいきなり出現するとは俺も小川さんも想定外だったので、言葉を失っているが、このアイドル、ますますヤバイ気配がしてきたので、もう無事にここから生きて帰れる心地がしなかった。

「んー、まあ高俊のお友達かしらね。今は」

「今は?」

「そう。いずれはそれ以上の関係になっちゃうかもね。あ、もうなっているかもね。アハハ」

「…………」

 お冷をいつの間にか持ってきたのか、しれっと水を飲みながら、そう説明するが、何を楽しそうにしているんだか……。


「ほ、ほら。付き合っている訳じゃないってのはわかったでしょう。もう誤解は解けたって事で」

「誤解も何も、今ので疑惑が深まるばかりなんですけど。どこのだれか知りませんが、彼は私と付き合っているので、ちょっかい出すの止めてくれませんか?」

「うーん、まあ千波からはそう見えちゃうかもね。あ、千波って言っても良いわよね? 私の事も、麻衣って呼び捨てしていいよ。一応、高二だけどね、あはは」

「何、この人?」

 ケラケラ笑いながら、そう言ってきた宮下先輩に更にイラっときたのか、小川さんも引きつった顔をして、どんどんフラストレーションが溜まってきているのが、俺から見てもよくわかった。

 トホホ……まさに修羅場一歩手前というか、本当に血を見そうな雰囲気だ。

 誰かこの状況を打開する方法を教えてくれ……マジで頼むって。


「くわしい話をしても良いけど、ここだと目に付いちゃわねー。近くにカラオケボックスとかない? そこで三人きりで話し合いましょうか」

「いいですよ。私もあなたに言いたいことが山ほどあるんで。でも、お昼をもう注文しちゃったので、それを食べてからにしてください」

「はーい。あ、私、ピザでも食べるわね」

 流石にここでは人目が憚れるので、場所を変えることになり、一先ずホッとする。

 しかし、とんでもなく気まずい昼食だったので、注文した料理の味などまるでわからず、ニコニコ顔でピザを頬張っている宮下先輩やムスっとした小川さんを交互に見ながら、胃がキリキリするばかりであった。


「着いたわね。ドリンクは何にする?」

「いりません」

 昼食を摂った後、近くのカラオケボックスに三人で行き、遂に本番が始まる。

 いやー、もう逃げたいよ俺。

「そう。じゃあ、早速、事情を話すわね。実はこれウィッグで……じゃーん♪」

「へ? なあっ!?」

「えへへ、実は私、スプリングスターズの宮下メイだったのでしたー。どう、ビックリした?」

「は、え……ど、どういう事?」

 宮下先輩がカツラと眼鏡を外して、金髪と碧眼の素顔を晒すと、小川さんもハトが豆鉄砲を食らったような眼をして、口をパクパクさせて狼狽えていた。

 そりゃ、いきなりアイドルが目の前に出てきたら、誰だって驚くわな。俺もそうだったし。

「な、何で……え?」

「私、高俊に一目ぼれしちゃってねー。あのライブに二人で来ていたでしょう。それからの付き合いなの。てへ♪」

「は……はああああああーーーーーーっ!?」



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