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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第十一話 弱味を握られる?

「高俊はその子の事、好きなの?」

「え? それは好きと言えば好きですけど……」

 一応、付き合っている事にはなっているので、嫌いな訳はない。

 小川さんは強引な所もあるけど、明るくて良い子だとは思うし、美人でスタイルも良いから、俺にはもったいないくらいだとは思う。

 しかしだ……今の関係のままで本当に良いのかとはちょっと思ったりもするんだ。

「好きと言えばね〜〜。今ので、あなたがあの子の事を本気じゃないの、わかっちゃった。だったら、私にも全然、チャンスあるじゃない」

「は? いや、何でそんな話になるんですか? とにかく、俺は彼女と付き合っているから、無理な物は無理ですって!」

 宮下先輩は今の俺の心を読んだかの様に、目を輝かせながら、そう迫ってきたが、やっぱりこの人、色々おかしいだろ!


 なんとかここから逃げ出さないとヤバイ事に……。

「あの、そうだ。先輩の歌、聞きたいなあ。せっかく、カラオケに来たんだし、アイドルの生ライブを……」

「うん、良いよ! じゃあ、何を歌おうかなあ」

 よし、宮下先輩が歌っている間にバックレてしまおう。

 罪悪感はあるが、先輩が今日は強引に誘ってきたんだからな。

「高俊は私達の歌で何かすきなのある?」

「え? あー、すみません。俺、スプリングスターズのこと、あの時のライブで初めて知ったんですよ。だから、よくわからなくて」

「へえ、そうなんだ。へへ、私たちのライブ、どうだった?」

「あー、凄い盛り上がりでしたね。アイドルのライブなんて初めて見たんですけど、何ていうか見ていると、元気が出ますね。宮下先輩も輝いていました」

「本当? えへへ、そう言ってくれると嬉しいなあ。やっぱり、ライブってみんなで盛り上がれるのが一番いいよね」

「そうそう、俺も今度はサイリウムでも買って……はっ!」

 宮下先輩のライブの話をしていると、つい我を忘れて一緒に盛り上がってしまった。


(いかん、先輩のペースに乗せられてしまいそうだった……)

 逃げようとしたのにこれでは、

「ふふん、高俊もすっかりスプリングスターズのファンになったみたいね。ちなみにメンバーの中で好きな子はいる?」

「え? えっと、それはやっぱり宮下先輩かな」

 後の二人のメンバーも可愛いけど、やっぱりセンターの宮下メイが一番輝いていたからな。

「そう。でも、ゆなっちとあずぴょんも可愛いでしょう。二人の事も好きになってくれると嬉しいなー。できればグループ全体の推しになってくれると私ももっと嬉しい。来月、またライブやるんだ。良ければ見に来てくれる?」

「は、はあ……」

 これでもかというくらい、自分のユニットを売り込んできたが、やっぱり先輩はアイドルなんだな……。

 自分だけが目立てば良いって訳じゃなくて、他のメンバーの事も大事にしているってのが良いというか、独りよがりな


「わかりました。ライブの事なら、考えておきます。でも、チケットなかなか取れないんじゃないんですか?」

「んーー、どうだろう? あ、もうチケットの販売始まっているけど、抽選だから、当たるとは限らないかも。どうしてもっていうなら、私がチケット融通するけど」

「いえ、それは……」

 先輩に頼めば何とかしてくれるのかもしれないが、何か贔屓されているみたいで、あんまりいい気分はしない。

「ふふ、真面目な人ねー。まあ、練習も兼ねて、ちょっと歌ってみようかな」

 そう言って、タブレットを手に取り、宮下先輩は歌を入力し始める。

 おお、アイドルの歌が身近に聞けるのか……何かすごい得した気分。


「ふふ、私たちのチャンネル見てくれている? よく歌ってみた配信とかもやっているから、私の歌、結構無料で聞けるわよ」

「は、はあ」

「じゃ、歌うわよ。ほら、高俊も何か歌いなさい」

「あ、はい」

 先輩の歌を堪能している間に、俺もマイクを持たされて、一緒に歌い始める。

 何だかんだで二人でカラオケで盛り上がってしまい、宮下メイとのデートを楽しんでしまったのであった。


「そろそろ時間ね。高俊も結構、歌上手いじゃない」

「そうですか? 初めて言われましたけど」

「ええ。結構、声が出ていたし、センスがあると思うわよ」

 時間も終わりそうになったので、そろそろ帰り支度をしながら、先輩が俺の歌を褒めてきたので、ちょっと照れてしまう。

 まあ、お世辞なのはわかっているけど、嬉しいわな。

 友達とカラオケに行っても別に歌が上手いとか言われたこともないし。


「先輩の歌、聞けて良かったですよ。タダで聞かせてもらって良いんですかね?」

「私が誘ったんだから、そんなの気にしないで良いわよ。今日は付き合ってくれてありがとう。ふふ、これから予定ある?」

「予定ですか? 別にないですけど、あんまり遅くなっちゃうのはちょっと。明日も学校あるんで」

「あ、そうか。実はさー、私の家、近くなんだけど寄ってかない?」

「み、宮下先輩の家ですか? いやいや、流石に……」

 まさかのご自宅に御呼ばれしてしまったが、こんな時間に男を連れてきたら、先輩の親だって、ビックリするだろうし、何より俺も嫌だ。

「私、近くのマンションで一人暮らしなのよ。だから、いつでも高俊が来てくれてOK」

「マジですか? でも、それだと……」

 アイドル、しかも高校生が一人暮らしって、何だかすごく危ない気がする。

 ストーカーにでも知られたら、ヤバイと思うんだけどな。


「あはは、大丈夫よ。オートロックだし、事務所も近いしさ。活動しやすいのよね、一人暮らしの方が。ねね、私の家に来ない?」

「いや、その……」

 本当に俺が行って良いのかと躊躇してしまったが、この人に誘われると、やっぱり断り切れず、


「さあ、入って」

「おじゃまします……」

 先輩に案内されるがままに、彼女の自宅があるマンションに向かい、恐る恐る宮下先輩の部屋に入る。

 ここがアイドルの部屋……って、結構殺風景なリビングだけど、こんな物か。

「へへ、二人きりだよー」

「ちょっ、いきなり抱き着かないでくださいよ」

「良いじゃない。ねー、私と付き合わない? 付き合ってくれたら、ここの合鍵あげるから」

「だ、だから、俺は小川さんと付き合っているんですって」

「んー、そう。本気で好きじゃないのに?」

「いや、好きじゃないって事は……とにかく、あなたとは付き合えませんので……んっ!」

「んんっ!」

 彼女がいるって断っているのに、あんまりにもしつこいので強引に振りほどこうとすると、宮下先輩はいきなり顔を近づけて、唇を密着させる。


(え? ちょっとこれって……)

 み、宮下先輩とキス……え? 嘘だよね?

「ん……へへ、キスしちゃったよ♡ねえ、もしかして、初めてだったりする?」

 しばらくして顔を離すと、先輩は頬を赤らめながら、潤んだ瞳でそうつぶやき、彼女の艶やかな表情をしばらく呆然としながら見つめる。

「今のバレたら、私もアイドル生命終わるかもね。あ、ついでに高俊も彼女との関係終わっちゃうかなー。へへ、これでお互い、知られたらまずい秘密を抱えちゃったね」

「あ、あの……」

「というわけで、これからよろしく、高俊♪」

「よ、よろしくじゃないですよ!」

 とんでもなく大胆な事をしてきたうえに、弱みまで握られてしまい、俺も一気に青ざめてしまった。

 やべえ……このアイドル、やっぱり触れてはいけない子だったのかもしれない。


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