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恋愛にトラウマのある俺が、超陽キャの女子に一方的に付き纏われているんだが  作者: beru


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第十話 とんでもないアイドルの子

「はあ〜〜、どうしたものか」

 まさか、宮下メイにデートに誘われるなんて、夢みたい……どっちかというと悪夢だけど、どうなっているんだ本当に?

 小川さんのことでも頭がいっぱいなのに、勘弁して欲しいな。

「うーん、やっぱり別人って事は……ないよな?」

 スマホで宮下メイの写真や動画を見てみるが、どこからどう見ても同一人物にしか見えなかった。

 本当にアイドルとデート出来ちゃうのか?

 流石にカツラを付けた姿にはなると思うけど、もしバレたらヤバイ事に……。


 宮下メイも危ないし、俺も小川さんに下手すると何をされるか……彼女、柔道黒帯やぞ。

「ああああ、どうすりゃ良いんだ……」

 いくら考えても答えが浮かばず、かといって誰かに相談できる話でもないので、そのまま延々と悩み続けながら、時間が過ぎていったのであった。


 翌日――

「あ、タカちゃん」

「何?」

 朝、教室に向かっている途中で小川さんに声をかけられ、

「昨夜はゴメンね。何かちょっとイラっと来ちゃって」

「昨夜?」

「ほら、いきなり電話を切っちゃってさ……」

 ああ、その事か。

 あの直後に宮下メイから電話が来たんで、そんな事もすっかり忘れていたわ。

「別に気にしてないよ」

「そ、そう。よかった。私も大人気なかったかなって。気にしてないなら、よかった」

「いや、俺もデリカシーなかったし」

 小川さんも悪いと思っていたんなら、俺の方から何も言う事はない。

 まあ、小川さんとの事は今は良いや。


「それで、今度の日曜日、暇?」

「え? ああ、暇だけど」

「じゃあ、デートしよう、デート。いいよね?」

「うん……」

 またか。最近、毎週のように小川さんにデートに誘われている気がするが、まあ付き合っているつもりでいるなら、当然なのか。

「よかった。じゃあ、またね」

「あのさ」

「何?」

「えっと、今日は放課後、部活あるの?」

「ん? あるよ」

 念の為、確認しておきたかったが、やっぱり今日も部活があるのか。

 だったら、放課後に宮下さんに会っても問題は……ないかな?


「どうして? どっか一緒に行きたかった?」

「休みだったら、どっか遊びにって思ったんだけど……いや、部活があるならしょうがないね。うん、頑張って」

「そう。タカちゃんの方から誘うなんて珍しいね。それじゃ」

 俺の方から誘うのは珍しいか……確かにそうかもしれないが、今日はどうしても小川さんとバッタリ会うなんて事は避けないといけないからだ。

 すっぽかしても良いんだけど、もう一度宮下メイと話しておかないとな。

 話せばわかってくれるさ、うん。まあ、友達くらいだったら良いかなって思いながら、


 放課後――

「えっと、来てないかな……」

 学校が終わった後、約束の時間になり、待ち合わせ場所である駅前のロータリーで宮下メイを待つ。

 まさか素顔のままで来たりはしないだろうな……誰もが知っているってレベルのアイドルでもないと思うけど、あの金髪は結構目立つしな。

「わっ!」

「うわあっ! だ、誰……って、宮下さん」

「へへ、やっと気づいた。さっきからいたのに、気づかなかったの?」

 何て思いながら、彼女を待っていると、後ろからバンっと背中を押されたので、何事かと思って振り向くと、黒髪お下げに眼鏡をかけてどっかのブレザーの制服を着た女の子……宮下メイ、いや本名は宮下麻衣がいた。


「すみません、気づきませんでした」

「もう、敬語とかいらないよ。私達、もう付き合っているも同然でしょう」

「ちょっ、勝手な事、言わないでくださいよ」

「はは、じゃあ行こうか」

 とまた一方的な事を言った宮下さんは俺の返事も聞かないまま、手を引いてどっかに連れ出す。

 顔は変装をしているとは言え、声はそのまんまだから、気が付く人もいるだろうに、よくもまあこんな大胆な事が言えると感心してしまった。


「今日はカラオケデートよ。ここなら、二人きりの甘い時間を過ごせるからね」

「は、はあ……」

 行った先は近くのカラオケボックスで、二人で部屋の中に入っていく。

「あの宮下先輩」

「メイで良いよ。あ、マイでも構わないけど」

「いえ、宮下先輩。俺の方が学年下ですよね?」

 いくら本人が呼び捨てで良いと言っても、俺はまだ彼女と付き合っている訳でも友達のつもりでもないので、敢えて先輩を付けて呼ばせていただく。

 だって、向こうの距離感がおかしいから、俺の方で調整するしかないじゃん。


「あはは、高俊は真面目ねー。んで、私と付き合うって話はどう?」

「本気で言っているんですか、それ? アイドルが恋愛とかしたら、まずいんじゃないですか?」

「まあ、バレたらまずいけど、バレなきゃ良いんじゃない。こっそり付き合ってるって子、何人か知っているし、えへ」

 そんな夢を壊すような事をしれっと言わないでくれよ!

 つか、やっぱりアイドルも彼氏いるんだな……そりゃいても不思議じゃないけど、やっぱりガッカリだよ、そういうの聞かされると。

「それで、どうするの? 返事、プリーズ」

「えっと……」

 そんな満面の笑みで返事を催促されても、OKの返事など出来るわけがない。

 俺には小川さんが……仕方ない、今日は彼女を盾にさせてもらおう。


「気持ちはめっちゃうれしいんですけど、俺、付き合っている子、居るんですよね。ですから、先輩の気持ちには答えられないです」

「付き合っている子って、この前、一緒に居た女の子?」

「そうです」

「別れて私と付き合おうよ」

「真面目に答えないなら、帰りますよっ!」

「それはこっちのセリフなんだけどなあ。あなた、私の気持ちに真面目に答えてないでしょう」

「それは……」

 真面目に答えろと言われても、こんないきなり告白されて、OKを出せる奴は居ないと思う。

 しかも、彼女がいるのわかったうえで更に交際を求めてくるとは……アイドルとして地雷過ぎるだろこの子。


「でも、やっぱりあの子と付き合っているんだ。あんなスタイル良い子と付き合うなんて、高俊もやるじゃない。多分、向こうからアプローチしてきたんだろうから、彼女以上の押せ押せで行けば、高俊も折れるんじゃないかしら」

「な、何でそんな事まで……」

 宮下先輩が俺の手をぎゅっと握りながら、何か逆に燃えちゃっているみたいな表情で力強くそう語ると、

「見ればわかるわよ。高俊があんなかわいい子に自分からアプローチするとかないと思って。モデルとかやっているの、彼女?」

「違いますよ。中学の時の同級生で……」

「ふーん。私も同じクラスになりたかったなあ。あ、一個下なんだっけ? じゃあ、私が留年しないと無理か。てか、私の高校、女子高だったわね、アハハっ!」

「…………」

 改めて話してみると、パワフルな子だな……動画で見た時も元気いっぱいだったけど、演技じゃなくて素でこんな感じなのか。

 人気があるのもわかるなと思いつつ……とにかく、彼女をどうするか考えないと。

 絶体絶命の状況にある気がするので、どうにかこの場を切り抜ける方法がないものか……。

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