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私以外は愛さないで  作者: 遠藤 敦子
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 高校生になり、私はより勉強に励むようになった。周りのみんなも同じく勉強に励んだり、部活に打ち込んだりしている。テスト前に勉強しても、中学生の頃のように「仲川(なかがわ)お前必死かよ」と言われることはない。万引きもいじりもないまともな環境にいることに私は感動した。「ガリ勉」とか「必死だ」とか言われても、勉強だけは頑張ってきて良かったと思ったのだ。


 夏休みが終わって9月になる。2学期がやってきた。そうは言っても、8月はお盆休み以外ほぼ毎日午前中のみ補講があったので、夏休みなどあってないようなものだったけれど。

 9月中旬に行われる体育祭と文化祭に向けて、私たちは夏から準備を進めてきた。文化祭では1年生がレクリエーション、2年生がお化け屋敷、3年生が屋台を行うことになっており、私のクラスではフォトスポットを作ることに決定する。座って写真を撮れる月のオブジェを作ったり黒板に翼を描いたりして、高校生が喜びそうな可愛い写真が撮れる雰囲気を作った。

 並行して体育祭の応援練習も始まる。3年生の先輩方が練習を取り仕切ってくださったけれど、私は応援団の1人であった岡下(おかした)(しゅう)先輩から目が離せなくなった。岡下先輩は爽やかな雰囲気をまとった人で、女子からモテそうな人だ。私なんかが相手にされるのだろうかと思ってしまったけれど、応援練習で見かけて以来私は常に岡下先輩のことを考えていた。

 それからというもの、進路指導室の掃除に行く時や廊下を通る時によく岡下先輩を見かけるようになる。よく会いますねと言おうかなと思ったけれど、そんな勇気はなかった。むしろ私が話しかけても、岡下先輩からすれば「いきなり誰?」としか思われないだろうなと考えていたのだ。

 岡下先輩のことが常に頭に浮かんだ状態で日常を過ごし、ボーっとすることが増えてきた。廊下で岡下先輩を見かけた日は、持っていたカバンが手から滑って落ちたこともある。そう、誰がどうみても私は岡下先輩に恋をしていたのだ。


 文化祭当日、私のクラスには同級生や先輩たちが遊びに来てくれる。

「朋香ちゃん、来たよ」

 とクラスは違うけれど同じ美術部の姫野(ひめの)萌音(もね)駒澤(こまざわ)陽花(ようか)が来てくれた時は私も嬉しかったし、私も彼女たちのクラスに遊びに行かせてもらった。萌音のクラスでは脱出ゲームを楽しみ、陽花のクラスではスーパーボールすくいをする。幼稚園生の時に近所で行われた夏祭りに行った時のことを思い出し、童心に帰ったような気持ちで楽しんだ。

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