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鈍感彼女が振り向かない!~隣の家に住む幼馴染が、距離が近すぎて俺を全く意識してくれない~  作者: 西織


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第38話

「あ、あたし、綾瀬さんと乗りた~い」


 えええええぇぇぇぇぇぇ⁉

 小太郎は思わず、そんな声を漏らしそうになる。

 ちなみに、小太郎だけでなく、華蓮、一花ともに、同じように心の中で「ええええぇぇぇぇぇぇ⁉」と声を上げていたのだが、小太郎は知る由もなかった。


 鈴音はニコニコしながら、一花に向かって身体を揺らす。


「あたし、あんまり綾瀬さんと話せてないからさ~。華蓮が仲良さそうに話してて、羨ましかったんだ」


 その無邪気な笑顔に、一花はただ固まることしかできない。

 でも、その顔はちょっとだけ嬉しそうだった。 

 そういえば、そもそもこの集まりは、鈴音が一花と「仲良くしたい」という思いから始まったものだ。


 その提案も、納得と言えば納得だった。

 ただ、それに華蓮が待ったを掛ける。


「いやいや。一花ちゃんだって、いきなり密室にふたりは緊張するって。ここは一番仲いい夏目とペアにしたほうがいい。で、あたしと鈴音」


 華蓮が気を遣ったふうに、そう調整しようとする。

 さすがにその提案に、一花が「はい。春野さんとふたりはキツいです」と言うわけもなく、おろおろとするだけだった。

 一見、理に適った選択だ。


 けれど、華蓮の気持ちを知る小太郎からすると、違和感が残る。

 一花と小太郎をペアにする理由が、小太郎にはわからなかった。

 華蓮は一花とペアになりたいはずなのに。


「……ははぁん?」


 パニクったな?

 一花が取られたことに焦り、華蓮は目的に沿った受け答えができなかったようだ。

 ここは、小太郎がフォローすべきだろう。


「それなら、綾瀬さんは華蓮さんとペアのほうがいいんじゃない? さっきすずが言ったけど、仲良くなったみたいだし。俺は、いつでも綾瀬さんと話せるからさ」


 小太郎はそう告げてから、華蓮のほうを見た。

 言ってやったぞ、という顔をすると、華蓮は微妙な表情を返してくる。

 なんでだよ。


 素直に感謝してくれればいいのに。

 華蓮は小太郎からそっと視線を逸らすと、鈴音と目を合わせた。

 それから、少しだけ手振りをまじえる。

 一花と小太郎をパパっと指し示していた。


 その瞬間、鈴音がはっとする。

 ポン! と手を打って、「あ、そういう……!」と言い掛け、鈴音は一花と小太郎を見比べた。

 そのまま急いで、「はいはーい!」と手を挙げる。


「あたし、やっぱり華蓮といっしょになろっかな! やっぱり、華蓮と綾瀬さんをいっしょにするのちょっと怖いしね! 華蓮、あたしといっしょに乗ろ」


 余計なことを……、と小太郎は臍を噛む。

 鈴音は、小太郎が一花のことを好きだと誤解している。

 そのせいで、余計な根回しをしてきた。


 今も、下手くそなウインクを小太郎に繰り返している。

 だれも得しないアシストを……!

 いや、ここは体勢を立て直すべきだ。 

 ふぅ、と小太郎は息を吐き、一花に手を向けた。


「それならもう、綾瀬さんに決めてもらえばいいんじゃない? 俺たちは別にだれとペアを組んでも気を遣わないけど、綾瀬さんはそうじゃないだろうし。どうする?」

「あ、いいね。それなら、一花ちゃんに決めてもらおう。一花ちゃんは、だれと乗りたい?」


 小太郎の提案に華蓮が賛同し、ササっと一花の肩に手を乗せる。

 華蓮は安心したような表情で、一花のことを見ていた。

 まるで決着はついた、とでも思っているように。


 小太郎も同じ気持ちだ。

 そして小太郎は、一花の目に訴えかける。

 一花はそこで、「うっ」という顔になったあと、そろそろと後ろにいた華蓮に手を向けた。


「それなら……、伊達さん、で……」

「え、えええぇぇぇ⁉」


 喜びの声なのか、華蓮が頓狂な声を上げた。 

 一花は、小太郎の恋路を手伝うと言った張本人。

 こういった状況になれば、小太郎が鈴音といっしょになるほうを選んでくれるに決まっているのだ。

 視線と手振りでお礼を告げると、一花はにへらっと笑った。


 そこで何かに気付いたように、華蓮が「あっ」と声を上げて、顔を手で覆う。

 嬉しすぎたのかもしれない。

 しかしなぜか、華蓮がパンっと手を合わせた。


「……いや。やっぱり、こんなので決めるのはつまんないな。くじ引きで決めるってのはどう? あたしが今からティッシュでくじを作るから。やっぱ、ランダムのほうが燃えない?」


 なぜかは知らないが、それには有無を言わさない力強さがあった。

 ま、まぁそれでもいいけど……、とだれともなく言うと、彼女はすぐさまティッシュでくじを作り始める。

 華蓮の手の中にはティッシュが握られていて、ひとりひとりに配られていった。

 色のついたティッシュを取った人たちが、ペア。

 果たして、結果は――。



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