表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

赤田さんとの二人飲み

 普段より一時間早く起きて、昨日の片付けをした。服すら着ないまま寝たのは数年ぶりだ。あまり飲んでいないはずなのに、頭痛がひどい。

 ストレスを感じると、こうやって深い眠りにつくのは子供の頃からの癖だ。現実逃避というようなもので、仕事の際にも大きな問題を抱えると、夜は深い眠りにつけた。

 大きく伸びをしてから、起き上った。スマートフォンを拾い上げて、時間を確認する。昨日は確か、ユニフォームを買うか迷っていたはずだ。いつしか買おうと思ったあたりで意識が消えたのだ。

 もう一度見たくて、ページを開いた。そこで固まる。

 おかしいな。これ、購入していないか。

 購入履歴の方に、選んでいたはずのタオルと一緒にユニフォームが入っている。購入済みの商品の欄に、確かに昨日今年買おうと決意したユニフォームがサイズまで正確に記載されていた。

 なんてこった。酔った勢いで勝手にボタンを押してしまっていたのだ。手を頭に置いた。

「仕方ない。仕事頑張ろう」

 独り言を呟いた。そして、思わず吹き出した。趣味で散財した人が言うセリフだ。私がこんな言葉を吐くなんて、想像もしていなかった。

 買ってしまったのなら、仕方ない。今年買おうと決めていたので、早くなっただけだ。この言葉も思わず出してみたが、実際は貯金もあるので問題はない。

 部屋着のジャージを出すと、そのまま浴室に直行した。エアコンをつけなかったので、寝汗をかいていた。下着を雑に脱ぎ捨てるとそのままシャワーを浴びた。二日酔いも絡んでいるが、モヤモヤと霞がかかったような気持ちごと洗い流したかった。

 少しだけリラックスした気持ちを取り戻し、部屋に戻って片づけを始めた。由香里のいう通りで、悩みも本人の中での問題。話されたのであれば考えればいいが、何も知らないうちから勝手に悩むのはおかしい。この数日間同じ考えを何度も巡らせた。

 本当に面倒な女。

 そんな自分が嫌いだった。悩むと抜けられず、四六時中こうやって心から離れない。それが解決へのアイディアを呼ぶ発想を生んだこともあった。しかし、その分自分の気持ちが段々蝕まれたのだ。

 とにかく、お土産を持っていく口実で会ってみよう。そこで実は噂は事実無根だったと言われたらそこでおしまい。これからも一緒に野球を観に行く関係のままでいられる。

 洗濯をして大体の片づけをしたところで、身だしなみを整えて出勤をした。

 週明けのメール処理に追われながら、昼になった。梅雨も半ばではあるが、朝から降り続ける雨で湿度も高い状況。エアコンの効いた社内は寒く、明日からブラケットを持ってこないと耐えられないと思うほど下半身が冷えた。

 暖かいものを食べたいと食堂にいき、ラーメンに目がいった。朝のドタバタで準備が出来ていなかったので、用意が出来ていないのが幸いした。

 いつも座っている奥の席にいくと、赤田さんは予想通りに座って食事をしていた。私の持っている丼を見て、彼女は吹きだした。

「やっぱり、今日は寒いよね」

 彼女もラーメンを選択しており、私も表情が緩くなる。

「エアコンが効き過ぎて、下半身が特に冷えてしまいました」

「冬は暑いし、環境良くないよね。みんな、夏は暑がりで冬は寒がりだからね」

 ケラケラと明るく笑った。気持ちは落ち着いているようだ。

「あの、これドームの近くで売っていたので」

 私は準備したクッキーを赤田さんに渡した。赤田さんの目がビー玉のように丸くなった。

「ええ、いいの。そんなに気を遣わなくていいのに。ありがとう」

 受け取ってはもらえたが、遠慮がちな表情を浮かべる。確かに、お土産を購入して渡すのもおかしい気がする。遊びに行ったとしても、近場の東京ドームだ。

「なんとなく、おいしそうだったもので」

「別にこうやってきっかけなんて作らなくても、会いたいときには連絡してね。私達の関係ってそこまで希薄じゃないでしょう」

 私の気持ちを読むように、彼女は諭すような口調で問いかけた。図星だったので、羞恥心から下を向いた。

「それで今日は心配してくれたの。それとも、ゴシップ大好きなのかな」

 冗談めかして彼女は質問を私に投げたが、まん丸な目は細くなっている。以前疑いを持たれた日と同じ表情で、返答次第では彼女の気分も変わる危険がある。

「興味本位ではなく、勝手に心配していました。あの日に赤田さんが何か決断をされているように思ったので、私が余計な話をしてしまったのではないかと」

 しばらく私を見つめてから、彼女は口元に笑みを作った。

「噂は聞いたのね。本当は私の方からきちんと話をしたかったけど、ここ数日間動いていて連絡できなかったの。とはいえ、心配させてしまったのは申し訳ない」

 手を合わせて、謝罪のアクションをした。

 触れられずにいたが、長くてほどけばおそらく肩甲骨まではあったはずの黒く長い髪はうなじが隠れる程度まで切られており、若干茶色のカラーリングを入れている。

「いや、詳細までは聞いていませんし、私が勝手に心配しただけですよ」

 伸びると味が落ちるので、ラーメンに手を付けながら話を進めた。相手もそうしているので、ここでかしこまっていても仕方ない。

「まあ、ここで話すのは遠慮したいなあ。今日さ、仕事終わった後空いている」

 今日はナイター。口から自然と溢れそうになったが、こちらの話の方が最優先だと気づいてとどまった。

「空いています」

「そうしたら、少しだけ飲んでいかない。いい店知っているから」

 野球仲間の悩みを聞くために、野球を見られないなんて。そう思いながらも、赤田さんの力になれるなら、別に構わないと思った。これは、ファンとしてはまだまだというべきかもしれないが、仲間の相談よりも趣味を取る人間にはこの後もなれそうにはない。

「わかりました。仕事が終わりましたら、連絡致します」

 周りの目を気にして、口調は砕かないようにした。そういった姿勢に不満を持たれているのはわかっていても、こういった変な癖はそう簡単に治るようなものではない。

 デスクへ戻ると、いつもの作業を早めに終わらせて継続しているシステムのアプリ化の取り組みを進めた。次週の火曜日に、システム構築をしている担当者とのアポイントを高浜さんが作ってくれた。そのため、今週末までに草案を高浜さんに提出するスケジュールになっていた。

「あまり手伝えることはないけど、この辺りは以前からやっていたから」

 そう言って、いくつかの対応を隣のデスクの山岡さんが手伝ってくれた。

「申し訳ございません」

「いいよ。鹿島さんの新しい取り組みがみんなにとって助かるのであれば、進めた方がいいからね」

 落ち着いた人が多い部署だが、私の取り組みを文句も言わずに応援してくれるのは嬉しかった。やる気がないのではなく、自分から手を付けることがないだけ。経験値があるため、私が困っているとみんな親切に教えてくれた。

 最初は島流しと思って、この部署の人をやる気がない人と勝手に決めつけていた自分が恥ずかしい。

 プレゼン資料を作成するにあたり、簡単な草案を作った。ここからわからない内容を、各部門へ質問するように整理していく。店舗を回っていた経営相談員の頃は与えられた資料を加工して、店舗への説得をするのが主な仕事だった。企画力は必要だが、こうやって何もないものを生み出すことはほとんどなかった分、慣れない仕事に戸惑ってしまう。

 言わなければよかったかな。

 ストレス三割、後悔五割。今の気持ちはこんな感じだ。しかし、残りの二割である与えられたポジションで最高の結果を出したいという強い意志が私の頭と体を動かしている。

 十八時を少し過ぎてしまったが、思っていたよりは進んだ。山岡さんが代わりに仕事をもらってくれたのも大きかった。それこそ、今度東京ドームに行った時にでも、何かお礼をしようと思う。

 はっとして、チャットを確認した。社用の方は何もなかったが、私用の方に店舗の地図と住所を赤田さんが入れていた。

 今日は定時であがれそうです。先にお店で飲んでいますので、気にせずに来てください。

 仲良くなったはずだが、今でもチャットはさっぱりとしたものしかない。由香里の普段の絵文字だらけのものを見ているせいか、更に赤田さんの文字だけで顔文字はおろか、感嘆符すら無いチャットに違和感を覚える。

 ゆっくりでもいいとなっているが、あまり待たせたくはない。おそらくナイターは間に合わないが、スポーツニュースでハイライトは見られるかなと期待しながら会社を出た。

 今日も昼に雨が降っていたようで、地面が濡れていた。外はじめじめとしているせいか、軽く歩いてだけで、来ているブラウスが肌に張り付いて不快な気持ちになった。どちらかと言えば、私は冬の方が好きだ。汗かきなので、服が張り付く感覚が不快で毎年嫌な気持ちになる。ハンカチも一日に二枚は使うので、バックの中に入れていた。

 駅を通過して居酒屋が並ぶ繁華街を抜けた先に、彼女の指定した店はあった。小さな店舗で、看板にも年季が入っている。

 一瞬彼女の印象との乖離にこの店なのかと疑ってしまったが、店名も変わっていたのでここしかないと扉を開けた。店内はカウンターを含めても十人程度しか入れないような狭さだが、奥の二人座れるテーブル席に、赤田さんは座っていた。既に空のビールジョッキがおかれている。

「ごめんね、場所が分かりにくいお店でしょう。私の隠れ家なんだよね」

 職場では見せない、あの明るい笑顔で話した。服装こそ昼に会ったときのままなのだが、表情の違いか今日初めて会った気持ちになってしまう。

「いえ、こちらこそ遅れて申し訳ございません」

 そう言って、彼女の向かいの席に腰かけた。高齢の優しそうな女性がテーブルまで来て、おしぼりを置いた。

「珍しいね。いつも一人なのに」

「数少ない友達なの。生ビールでいい」

 メニューを眺めている私に、赤田さんが訊ねた。店員との話の仕方も含めて、まだ戸惑っている。黙って頷くしかなかった。

「ビールお願いします」

 テーブルには充電器を付けたスマートフォンに、野球中継が音声なしで流れていた。

「今日試合だったね。ごめんね、呼び出しちゃって」

「いえ、構いません。お話はしたかったので」

「また、硬くなっているよ。別に先輩と思わないでね」

 スマートフォンから目を離さないで、彼女は話した。

「すみません」

「別に、誰にでも話しかけたり、球場に誘ったりはしないよ。初めて東京ドームに言った日も、鹿島さんだから声掛けたの」

 スマートフォンの画面を消して、私に視線を移した。ビールが運ばれてくると、彼女は自分のグラスを持ち上げた。私もグラスを合わせた。

「私のこと、知っていたということですか」

「あなた、落合さんのところで働いていたでしょう」

「はい」

 元上司の名前を出されて、若干気まずくなった。彼女の口から出てくる私にいい話はないはずだ。しかし、それでは彼女の話に矛盾が生じる。

「落合さんとは、広報誌のインタビューの時に仲良くなったの。以前、各部署の女性社員に話を聞きたいって企画があってさ。それから、何か月かに一回は食事にいくようになって」

 会社の広報誌に、そういえば落合さんが載っていたのを思い出した。本人も面倒だとか言っていた記憶も残っていた。その時に、二人の接点があったのか。

「神宮観戦の時にも話したけどね、周りからの見られ方に対してすごく敏感になっているときに、落合さんがあなたの話をしてきたの」

 全く話の筋が読めないので、黙って頷いていた。ここは話を止めるより、早く聞きたかった。

「まっすぐで、嘘をつかない部下がいる。面倒な奴だけど、仕事に対して真剣だから、可愛がっているって」

「でも、私は彼女に追い出されました」

 不意に言葉が出てしまった。

「そうなの」

「だって、私はもっと・・・いえ、すみません。続けてください」

 しばらく、黙って彼女は私を見つめていた。深く聞くべきか、もう一度自分の話に戻すべきか考えたのだろう。私が話すような仕草を見せないため、彼女はビールを少し口に含んだ後に話し始めた。

「落合さんの話を聞いたら、一度会ってみたいなと思ってて。でも、本部との接点もないからと諦めていたら、鹿島さんがこちらに配属になったのを知ってね」

「そうなんですね」

 私に発言を求めている場面なのは読めている。しかし、落合さんお話というだけで動揺しているのに、更に想定外の話が来ており困惑で言葉が出ない。

「私は営業時代も自分自身に嘘をついてきたから、違うというものでも抑えてきたの。それがいけないのも分かっていても、周りから求められているものを考えてばっかりでね。結局、今回の婚約破棄もそのせいだから」

「私も出来ていないですよ。誤解されているかもしれませんが、大それた結果も出せず、気付けば意思に反して本社に配属にされていました。赤田さんの話が本当であれば、そんなことはないはずですよね」

 赤田さんから、今日聞きたかった話の主題が出たのに、他に気になる話が邪魔をしてそらしてしまった。彼女の眉毛が少し上がった。

「そうか、それ以上の話は落合さんから聞いていなかったのね」

「どういうことですか」

「いや、それならこの話はやめましょう」

 眉毛の上りは話を逸らされた怒りというよりは、話してはいけない重要な話を間違えて漏らしてしまったのではないかという焦りだったようだ。

「お腹空いている。何か食べたいものある」

 話題を変えようと、彼女はメニュー表を取り上げた。モヤモヤするところで話を切り上げられて、若干怒りにも似た感情を覚える。

 ただ、今日はこの話をしに来たのではないので確かにここで止めた方がよい。頭の中で冷静に深呼吸を連想して乗り切った。

「お刺身とかありますか」

 遠慮をするなと言われたのを思い出して、今の気持ちを正直に伝えた。彼女は目を丸くしたが、口元を緩めて店員を呼んだ。

「すみません、お刺身盛り合わせともつ煮込み、あとビールのお代わりを二つお願いします」

 勝手に私の分まで。そう思ったが、ビールは嫌いではないので問題ない。

「そうですね。今日は赤田さんの話を聞きにしましたので」

 わざと口元を緩めて話した。真剣な表情で話をするのは、確かにおかしい。これは仕事ではなく、プライベートな話なのだ。

「やっぱり、ゴシップ好きなの。いきなり笑顔になって」

「違いますよ。でも、硬い表情で話すのもおかしくないですか」

「まあ、そうだね」

 彼女の表情は変わることなく、穏やかなものだった。噂は恐らく耳にはしているはずだ。興味本位で無責任に噂話を聞くような人間と一緒にはされたくない。

「正直、神宮で一緒に野球を観させていただいた日の最後の姿に違和感を持っていました。吹っ切れたような姿を見て、もしかして余計な話をしてしまったかなって責任を感じていました」

 正直な本音を打ち明けた。緊張で相手の表情に目が行ってしまうが、彼女は変わらずにビールを飲んでいた。

「吹っ切れたのは確かだね。でも、あの時に鹿島さんから言われて気が付いたのではなく、私の中にあった迷いが消えただけ」

「迷いですか」

「そう。野球を見て、お酒を飲んで笑いたいときに笑う。仕事だって、周りの人間が描く私を演じるのではなく、素直な私の気持ちをもっと大切にしようかなって。何かするたびに噂を立てられるうちに、素の姿を出せなくなっていた自分に嫌気がさしたの」

 割り箸を私に差し出したので、会釈をして受け取った。目の前には漬物がおかれている。

「聞いていいですか」

「もちろん」

「赤田さんって、なんでそんなに人の目を気にしているのですか」

 危ない橋を渡っている気がする。相手の話したくない内情を聞くのだから、言葉は選ばなければならない。あまりアルコールが進むと、思考が鈍りそうで不安が残る。しかし、酔いの回っていない状況で質問するのは勇気が必要で、このジレンマに悩んでいた。

「いやなら、答えないでくださいね」

 慌てるように、自分の質問に自分で被せた。赤田さんが吹き出した。

「全然問題ないよ。でも、私もよくわかっていないの。別にいじめられていたわけでもないし、コンプレックスもないはずだけど。でも、一つあるとしたら、私友達作るのが苦手だったからかな」

「赤田さんがですか」

 意外な回答が返ってきた。いつも周りに人のいるイメージだ。この手の人は、自分で努力しなくても勝手に友達が出来るものだと思い込んでいた。

「勝手に私のイメージを持って、私が出来ないと期待外れのような顔をする。勉強も部活も仕事も。すべてが平均以上が当たり前ってね」

 ケラケラ笑いながら、漬物に手を付けた。橋の持ち方も綺麗で、育ちの良さが分かる。

「野球の趣味だって、年上の人から受けがいいから、好きでもないのに合わせているとか言われてさあ」

 すっと、目の前のグラスの酒を一気に飲み干した。

「何知ってんだよ、私のことを」

 いきなり声が低くなり、目が座った。

「あの、赤田さん」

「結局さあ、私のことを根っから見てくれる人に会わなかった。いや、周りからの視線を気にしすぎて、勝手な赤田真帆を作り上げた私が悪いのか」

 語尾を伸ばすような話し方、乱雑な口調。若干わがままで気まぐれな姿が、本当の彼女なのだろう。無論、私はまだ彼女がどんな人間なのかなんて把握できるわけがない。

「鹿島さんはこんな私、嫌いかな。それとも、失望した」

「どちらでもないです」

 自虐的な彼女の言葉を否定した。

「なんで」

「まだ、私は赤田さんを知りません。でも、何もなかった私に野球観戦の楽しさを教えてくれたことは感謝しています。そして、球場にいる赤田さんを私は大好きです」

「球場にいる私って・・・」

「気を遣っているように見えて、みんなを自分のペースに巻き込むわがままなところです」

 わざと意地の悪い回答で返した。酔いは回っているので、赤田さんは若干の間を空けてからケラケラ笑い出した。

「わがままなんて、初めて言われた」

「十分をわがままですよ。でも、それが可愛いです。後輩なのに、生意気言ってすみません」

 刺身の盛り合わせが運ばれてきた。そのタイミングで、一度水をもらった。醤油皿を二つ用意すると、赤田さんの前の食器を整理した。

「ありがとう。こんな私嫌かな」

「だから、そんなに気にしないでください。周りを気にしない赤田さんと話す時間が私は好きです。それは変わらないです」

 これが言えたので、もう満足だ。赤田さんの気持ちと私の本音。これを伝えにきた。これからも一緒にいたい。それを知ってもらえたのであれば、これ以上には何もない。

「じゃあ、最後に聞いていいかな」

「なんでも聞いてください」

「また誘ってもいいかな、神宮球場」

 顔が真っ赤になって、これ以上はどんな話をしても忘れていそうな気がする。落合さんとの話も気になるところだが、これから機会はあるはず。

「いつでもご一緒します。よろしくお願い致します」

 目をつぶったまま頷く彼女を眺めながら、私は刺身に手を付けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ