14 ◇ 忘れた涙の墓参り(前編)
第五部(18話+幕間2話)執筆済。基本毎日投稿予定です。
墓参りを思い立った俺らは、速攻で休みを取りに動いた。
そのまま訓練終わりの足で二人で事務局に行って、来週と再来週を丸々休みたいっつって休暇の申請をした。
まあ、こんなに長期の休みだと正式に許可されんのは明後日あたりだと思うけど。多分普通に通るはず。
「勢いで休み取っちゃったね。まだ誰にも相談してないのに。」
事務局を出たユンが、俺と並んで歩きながら機嫌良さそうに笑う。
さっきまで不貞腐れながら結婚の予定を報告してきた奴とは思えないニヤけっぷりだった。
「まあなー。…………はぁ。怠いな。相談っつか、許可取んの。」
俺も一気に気が抜けて、ユンの横で本音を漏らした。
正直言ってまじで怠い……っつーか、気が重い。
団長と、部隊長。まあそこまではいいけど…………あと、妻に。
正直言って、先々週の同期会と先週のセレンディーナのアレからの今日、いきなりラルダに「ユンとウェルナガルドに帰りたい」って話をすんのが……一番、とにかく気が重い。
まあ、いずれにしろ事務局にはすでに申請しちまったし、予定変えるつもりはねえけど。
……自覚はあるから。これが「現実逃避」だってことくらい。
もちろん、ラルダにまた心配かけて不安にさせるんだろうなって自覚もある。
…………けど、なんかもう限界だから。
俺はユンとウェルナガルドに初めて帰省することにした。ラルダには悪いけど、もう決めた。
そうやって決めた瞬間、気が重いけど気が楽になった。
ユンも団長と部隊長と婚約者にだいたい同じようなことを思ってるっぽかった。
そんで、俺と同じで投げやりになって気が楽になってるっぽかった。
「ねえ兄ちゃん。」
「んー?」
俺が口動かすのを面倒くさがりながら返事したら、ユンは「たしかに怠いんだけどさぁ、」って言いながら、無理矢理くせえラルダとは違う、生粋の悪そうな笑みを浮かべた。
「ナナリー姉ちゃんの従姉のマナさんの話、ちょっと思い出さない?
……ウェルナガルドの話するとすぐに同情されちゃうから『やり辛いなー』って思う場面もよくあるけどさ。
こういうときは、ぶっちゃけ『同情がすぐ買えて楽だなー』って思わない?
どうせなら全力で『触れちゃいけない』感じ出していこうよ。……どうしようかな。こう言えば許されるんじゃない?
──『父ちゃんと母ちゃんに、近況報告がしたくなった』って。」
…………お前、そういう中途半端に本音隠すようなことばっか言ってっから、セレンディーナがああやって困ってんじゃねえの?
外では無駄にヘラヘラ笑ってややこしい取り繕い方をしようとする、いいんだか悪いんだか分かんねえ癖を持ってるユン。
相変わらずなその癖に呆れながら、俺が
「お前はいいかもしんねえけど、俺がそれ言ってたらキモいだろ。」
っつったら、ユンは「そう?……まあそうか。兄ちゃんは柄じゃないかもね。」っつって、調子良くけらけら笑った。
◇◆◇◆◇◆
ユンの言う通り、まあ……やっぱり気は遣われた。
俺らが兄弟揃っていきなり「ウェルナガルドに『帰省』したい」って言いだしたら、さすがに「触れちゃいけない」感が出るっぽい。
部隊長のベインには「へぇ〜……いいね。行ってら。」って言われて、魔導騎士団の仲間たちには「……了解。気をつけてな。」みたいな感じで反応されるだけで、深くは突っ込まれなかった。
──その魔導騎士団の奴らに言う前日。
ユンと二人で思い立ったその日の夜に、ラルダに報告したときも。
ラルダはやっぱり完璧に返してきた。
「…………そうか。
団長としては、10日も休暇を取り王都を2週間以上離れるのであれば、もっと前もって打診して欲しかったところではあるが。
……だが、私個人としては──……そうだな。ゼンとユンがどのような思いで決めたにせよ……その『帰省』が、二人にとって良き旅になればよいと思う。
気をつけて行ってきてくれ。
現在のウェルナガルドは、町全体が王国指定の危険区域になっている。山を隔てた隣町ザルナドーレから繋がる道も、今は封鎖されているはずだ。
お前たち二人が強いことは百も承知の上だが……決して無茶だけはしないでくれ。
……私は、ゼンが無事に戻ってきてくれるのであれば、それでよい。」
っつって。
俺の身だけを案じる感じで、俺が何を考えてんのかは全然聞いてこなかった。
その完璧に受け入れてくる感じが、いつもはキツく感じるけど……今日はただ、素直にありがたく思った。
──これで、ユンと帰れる。
そう思った瞬間、なんか今まで抱えてきてたモノが全部なくなった気がした。
その事実一つだけで、俺は一気に楽になった気がした。
◇◆◇◆◇◆
先々週の同期会からずっとテンション最悪なまま過ごして、最後にセレンディーナと話した先週。
その先週と打って変わって、今週は週末が待ち遠しくて仕方がなかった。
っつっても、テンション高えってほどじゃなかった。
どっちかって言うと、むしろ「帰る」って決めてから若干居心地は悪かった。……それこそラルダにも周りにも、無駄に同情されて気ぃ遣われてる感じあったし。だからそれもあって、さっさと今週を終えたかった。
そうして終えた今週の仕事。特に緊急の討伐遠征もなく平和に平日5日間を終えて、俺とユンは訓練終わりの勢いで、王都を早速今日もう出発することにした。
「兄ちゃん。俺、職員寮に一旦帰って、風呂入って着替えて荷造りだけしたら宿屋行くね。
1時間後くらいに行く〜。」
双剣回しながら俺にそう言ってきたユン。
ユンは完全に笑ってた。ここ最近で見た中で一番機嫌が良さそうだった。
…………ってよりは、完全に昔の顔に戻ってた。
俺らはまだ魔導騎士団施設の中に居んのに、ユンはもうすでに、何も考えてなかった頃の──王都に来る前の俺らのテンションに戻ってた。
いよいよ帰れる。
ユンを見て遅れてテンションが上がりながら、俺もさっさと支度をすることにした。
◇◆◇◆◇◆
夕方の5時50分。
1階の食堂に晩飯を食いに来る客は、今日はまだいなかった。
だから俺は適当に1階でユンが来んのを待ってた。
「ちょっとゼン!これからすぐにお客さんが来るんだから!長椅子に寝そべってないでどいてよ!」
「あ゛?まだ誰もいねえじゃん。別にいいだろ。っつか、すぐにどくし。」
俺を見るなり速攻で文句言ってきたミリアにそう返すと、ミリアは遅れて俺の格好と軽めの荷物を見て首を傾げてきた。
「あれ?ゼン、このあとどっか出掛けるの?」
そういえばミリアには言ってなかった。
別に言う義理もねえけど。
「これからユンと帰省してくる。来週と再来週、丸々いねえから。掃除適当でいいわ。」
俺は寝そべったまま一応そうやって伝えた。
そうしたらミリアは驚いて、今さら神妙な顔をして「え?『帰省』って……ウェルナガルド?」っつって、小さめの声で聞いてきた。
…………ミリアに気ぃ遣われんのが、なんか一番怠いな。
そう思いながら「他にどこがあんだよ。」っつって返したタイミングで、入り口の扉がベルを鳴らしながら開いた。
「……こんにちはー。お邪魔しまーす。」
「あ!ユンさん!こんにちは!」
私服の装備服に、見慣れたサイズの荷物一式。
1時間っつってたくせに、30分ちょいで支度を終えたユンが来た。
「あ、そうだ。……ユンさん。
そのー……そういえば、この前の彼女様……あれから大丈夫でしたか?」
ミリアがユンを見て何かを思い出しながら、さっきの俺への倍以上に、妙に気を遣ってる声を出す。
ミリアに何か聞かれたユンは、どうやら本気っぽい苦笑いをしながらその質問に答えた。
「あー……はは。……まあ、何も問題なかったんで。大丈夫でした。
お恥ずかしいところをお見せしました。すみませんでした、本当。」
「あっ!いえいえ!大丈夫ならよかったです!こちらこそ、何だか本当にごめんなさい。」
微妙な空気で謝りあってる二人。
俺は立ち上がって、ユンとミリアの謝罪合戦を適当に中断させた。
「……おい。行くぞユン。」
俺に声を掛けられたユンは、苦笑いをやめて振り返って、切り替えて嬉しそうに笑ってきた。
「うん!そうだね。行こ行こ。
──じゃあ、ミリアさん。お邪魔しました。」
「行ってらっしゃいユンさん。
ゼンも!気をつけて行ってきてね。」
そうして俺らはミリアに見送られながら、仕事を終えてから1時間もしないうちに、帰省のために出発した。
◇◆◇◆◇◆
「はぁ〜あ。まじでトロすぎんだろこの馬車。歩いた方が速えわ。」
王都の馬車屋で適当に馬車を借りて、とりあえず南に向かって移動し始めた。
……っつっても、もう日が落ちるまで1時間ちょいくらいか。あんま時間ねえし。すぐ近くで降りることになるな。
俺が欠伸しながら馬車の窓枠に肘ついてそう零すと、ユンは普通に同意してきた。
「ねー。魔導騎士団の馬車に慣れちゃうと、本当に兄ちゃんの言う通り『遅っ!』て思う。
……先週の魔法研究所の出張で使った馬車もそうだったけどさ。やっぱ王立機関のいいやつは違うよね。」
今乗ってるやつみてえな普通の馬車は、だいたい馬車本体に、魔導器具が組み込まれてる。それがあるから馬車に推進力がついて、馬車を引いててもそれなりの速度で馬が走れるってことらしい。それでもまだトロいけど。
ついでに言うとド田舎の過疎ってる地方や貧乏な馬車屋なんかで借りる馬車には、魔導器具がついてなくて、まじで馬が自力で引いてるだけのやつもある。それは遅いにもほどがあって、ガチで歩いた方が早い。
でも、魔導騎士団が使ってる馬車は全然違う。
緊急討伐の要請に迅速に対応するために。騎士団の馬車本体には、出力が高い最上級の魔導器具が搭載されてるらしい。
で、それを引く馬自体もかなり鍛えられてる。人間の魔力持ちほどじゃねえけど、馬にも「魔力適性」ってのがそれなりに存在してるらしくて、騎士団の馬は全部、その魔力適性がある馬だ。……まあ、馬は魔力を練って何か魔法を使えるわけでもねえから、ただ普通の馬に比べて頑丈ってだけだけど。
その魔力適性のある馬を訓練して特別な魔導補助具を付けて長時間走れるようにしてあるから、騎士団の馬車は普通のやつに比べるとクソ速い。国の真ん中にある王都からなら、だいたい2日あれば王国全土どこでも行けるようになってる。
ただ、今から俺らが使ってく普通の魔導器具付きなだけの馬車だと、多分ウェルナガルドに着くまで、だいたい1週間くらいかかると思う。
「ねえ兄ちゃん。こうやって兄ちゃんと何日も旅すんの、もう何年振りだろうね。
週末だけどっか行くとかは、たまにあったけどさ。それこそ俺が学園に入る前以来なんじゃない?10年……まではいかないか。でも9年振りくらい?」
「……だな。もうそんなか。……早えな。」
「勢いで決めてここまで来ちゃったけど、俺めっちゃ楽しみかも。もうこれだけでも元気出てくる感じする。」
ユンがテンション上がってんのを全然隠さずに、満面の笑みでそう言ってくる。
俺はそんな今から現実逃避する気満々の弟につられて、自分の顔が緩むのが分かった。
…………で、どうすっかな。これから。
俺は機嫌良さそうなユンが窓の外見てんのを眺めながら考えた。
もしかしたら、ユンをウェルナガルドに連れて帰るって判断は、間違いだったかもしれない。
ユンはウェルナガルドに帰ったら──……あの日の記憶を思い出して、急に発狂しちまうかもしんない。
……その可能性くらい、何度も頭ん中を過ってる。
帰るって決めた瞬間から。っつか、なんなら普段から俺は、いつだってそれは警戒してた。
…………けど、なんか大丈夫な気がする。
今まではそれにビビって、ユンに振られてもウェルナガルドの思い出話を割と避けてたとこあるけど。
なんかもう最近は、気にするだけ無駄な気がしてきてる。
二ヶ月くらい前にナナリーの従姉のマナと話してたときも。
ユンは率先してガンガン思い出話ぶっ込んで──でも、それでも全然普通に笑ってたから。あの日の記憶に気付く気配なんて、全然、微塵もなかったから。
だから今も……どうせウェルナガルド帰るなら、ビビるだけ無駄な気がすんな。
なんなら、今のうちに思い出させといた方がいい気がする。平和だった頃のウェルナガルドの記憶の方を。
……その方がむしろ、ユンにとって安全か。
先に平和だった頃の話をいろいろしとけば、ユンは帰って実際の町を見ても、平和な思い出だけを重ねて懐かしがるだろうから──……その方が多分、なんか上手くいくような気がする。
「なー、ユン。お前さ。」
「何?」
俺はそんなことを考えながら、ユンと馬車に乗って王都を出て──それで今真っ先に思いついたウェルナガルドの話題を、ただ適当にユンに振った。
「……お前がラルダに宿屋で初めて会ったとき。あんとき、お前『ラルダがナナリーよりもキミに似てると思ってた』って言おうとしてただろ。」
ユンが「俺がラルダと付き合ったのが意外だった」みてえなこと口走ってたとき。
コイツどうせそう思ってんだろって、そんとき推測してたことを言ったら、ユンは俺の方を向いて笑ってきた。
「あ、そうそう。だってラルダさん、見た目だけなら本当にキミ姉っぽくない?黒髪ストレートでキリッとしてる感じが。あと、真面目で厳しそうな雰囲気も似てるよね。
……魔導騎士団に入った今は『全然違う人だ』って思ってるけどさ。遠くから王女様を見てただけの頃は、ずっと『キミ姉だなー』って思ってたんだよね。
やっぱ兄ちゃんもそう思ってたんだ。」
「俺は最初っから似てるとか思ってねえよ。全然違えだろ。髪型だけじゃねえか。」
俺がそう言うと、ユンはニヤニヤして腹立つ煽りをしてきた。
「あっ!へぇ〜ふぅ〜ん。そうなんだぁ。
兄ちゃんは『最初っから全然違う』って思ってたんだぁ。あんなに似てるのにね〜。
俺と違って兄ちゃんは最初から『ラルダさん信仰』できてたんだぁ。……さすがだね。」
「チッ!調子乗んなよ。」
だいぶテンション上がっててまじで調子乗ってるユンに、俺はそのまま言い返した。
「どっちかっつったら、セレンディーナの方がもっとキミに似てんじゃん。
誰にでも言い方キッツイところとか。ユンにまじで当たりがキツイところとか。」
「は?!やめてよ!全然似てないんだけど!セレンディーナ様はキミ姉よりも全然もっと優しいもん!」
……………………アホか。
変わってねえなー、コイツ。
一度惚れたら盲目になって、何でもかんでも全部「優しい」判定しだすところは。
その点に関してはユンは、昔の──ウェルナガルドにいた頃から、まったく変わってなかった。
「お前の方がよっぽど『セレンディーナ信仰』やべえじゃん。」
俺が笑いながら指摘してやったら、ユンは若干自覚があんのか、口を尖らせて目を背けて「……そんなことないし!」っつって、覇気のない声で反論してきた。
◇◆◇◆◇◆
道中は結局野宿にした。
日中に馬車乗って移動してる間に、毎日「今日はどうする?一旦宿屋行ってみる?」みたいにユンが聞いてきて「どうすっかー。」っつって一応考えてはいたけど。
なんか結局、俺もユンも「野宿でいっか。」ってなって野宿にしてた。
野宿自体は、ユンが俺に「婚約おめでとう」っつってきたあの日以来。だいたい2年振りだけど。
でも、こうやって何日も続けて野宿すんのは、本当に久しぶりだった。
楽しかった。懐かしかった。
俺とユンはもういい大人なのに馬鹿みてえにゲラゲラ笑いながら野宿した。
ユンは「どうする?兄ちゃん。俺たち王都の暮らしに慣れすぎちゃって、野宿の勘が鈍ってたら。」っつって最初に笑ってたけど。
全然そんなことはなかった。あの頃試行錯誤して身に付けた俺らの野宿のやり方は、何も打ち合わせしなくても余裕ですぐに再現できた。
「兄ちゃーん。洗濯物ちょーだい。」
一着しか持ってきてない着替えを着て、脱いだやつをユンの方に適当に投げる。ユンはそれを受け取って昔みたいに魔法を使って、まとめて洗濯し始めた。
ユンが何年も続けた冒険者暮らしの中でいつの間にか独自開発した、まじで笑えるアホ技術。
多分、こんな洗い方してる奴は他にいない。
ユンは防御魔法を地面の上に展開して洗濯用の台を作って、その上で水魔法を発動させながら洗濯物をビッタンビッタン防御魔法の上に叩きつけて洗い始めた。
「いつ見てもまじでアホくせえな、それ。」
俺が懐かしい光景に笑いながらそう言ったら、ユンは「結局これが一番汚れ落ちるんだよね。」っつって、器用に水魔法で渦作って洗濯物を濯ぎ始めた。
ユンが二人暮らし2年目くらいのときに「兄ちゃん見てて!俺、石鹸使う技、編み出したかも!これで手洗いしなくて済むよ!」っつってこの渦洗浄に石鹸を丸ごと投げ入れて、一瞬で泡を溢れさせて俺らも周りの荷物も全部吹っ飛んだ泡でびっちゃびちゃになったときは、さすがに俺も爆笑した。そんで次にその惨状にキレた。
振り返ってもまあまあ馬鹿な思い出だと思う。
成長した今のユンは器用に石鹸の破片を入れて無難に洗って濯いで、それから風魔法をかけて服をいい感じに乾かしてた。
「…………お前、それ今でもやってんの?
さすがに久しぶりにしては手慣れすぎだろ。」
俺がそうツッコんだら、ユンは「たまにね。研究所の仕事終わった後、白衣が汚れちゃってたら家帰る前に実験室でこれで洗ってる。寮で洗濯するより早いし楽だから。」っつってアホな日課を教えてきた。
◇◆◇◆◇◆
だらだら馬車に乗って真っ直ぐ南に向かって移動して、夜になったら近くの街で飯食って街の外で適当に野宿して。
俺もユンも完全に癖になってんのか、金になりそうな薬草が目に入ったら自然と寄り道して採ってた。
道中のギルドで何となく採ったやつを換金して、ついでにシャワー借りたり飯食ったりして。一応癖で毎回武器装備屋も覗いてみたけど、別に買いたいもんはなかった。
そうしてユンとひたすら南に向かってったら、王都を出てから6日目に、ウェルナガルドから山を二つ越えた隣町──俺らが13年前に最初に辿り着いた町──ウェルナガルドに続く唯一の道がある、ザルナドーレの町に到着した。




