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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

コント「バッドエンド」

作者: 鈴木智一

ボケ「どうも~、いろいろあってしばらく休んでました、おひさしぶりです~」


ツッコミ「いやーしかし、お前と会うのひさしぶりだよな?」


ボケ「そうね、8ヶ月ぶりくらいかな」


ツッコミ「今までなにしてたん?」


ボケ「それがねぇ、ちょー暇だったんで、ぼく宗教に入ってみたんですよー」


ツッコミ「いややーばいなお前、マジでやばいじゃん。え、なんで急に……どんな宗教よ?」


ボケ「いや、そんなやばいやつとかじゃないから。ちゃんとした宗教法人だから。外記盧璃(げきろり)教ってなまえで、十歳のかわいい女の子が教祖やってるんだけど、入るときに最初だけちょっと百万払うのと、あとは毎月三万円するミネラルウォーター買うくらいで、べつに全然ちゃんとしたやつだから大丈夫よ」


ツッコミ「どこがだよ! いやまず教祖がアウトだし、なんで毎月三万もする水買ってんだよ? なにその水、どうやったらそんな値段になるんだよ……どう考えたっておかしいでしょ絶対」


ボケ「おかしくないおかしくない、ちゃんと教祖様の聖なる液体とかコズミック・ロリ・エネルギーが含有されてて、普通に買うと数十万とかするやつだからむしろお得━━」


ツッコミ「はい終わりましたー。逮捕~、終了~。やったなお前、これもうダメなやつでしょ、終わったよオレたち。お前のせーで。なに教だか知らないけど変なのに騙されて、しかもなんで今ここで言うんだよ、終わったよマジで終わりだ終わり、漫才終わり人生終了です!」


ボケ「なんだよ、つーかさっきからオレにばっか言ってくるけど、お前のほうが見た目おかしくない? 今さらだけどさ、お前の顔、腐ってるよね?」


ツッコミ「オレのことはいーんだよ! ちょっと噛まれて、ゾンビになっただけなんだから」


ボケ「いやいや、そっちのほうが大問題じゃない? え、ゾンビに噛まれたの? いつ?」


ツッコミ「先月。ゾンビ映画見てたらさ、隣に座ってたやつがガブって……見たらそいつゾンビでさ、えっ、マジかよって」


ボケ「うーわ、それサイアクだなぁ。で、どうしたの?」


ツッコミ「ふざけんなって言ったらそいつが『すいません、つい』って謝ってきたから、まあ、許すしかないじゃん?」


ボケ「そっか、それならまあ仕方ないか。でもお前、右目マジ落っこちそうよ? ほんと大丈夫なの?」


ツッコミ「まあ、まだ見えてるから……大丈夫っしょ。それよりもさ、ちょっと腕、噛ませてもらえない?」


ボケ「えっ、やだよ! お前ゾンビじゃん、お前に噛まれたらオレまでゾンビになるじゃん」


ツッコミ「それはそうなんだけど、歯がむずむずしてさぁ、噛みたくなるんだよなー。ってことで、ね?」


ボケ「いやダメでしょ。なにが『ね?』だよ、ふざけんなよ。どこの世界にコンビでゾンビ組んでる芸人がいるんだよ……すみません噛みましたっ!」


ツッコミ「やった、じゃあつぎオレ噛むね」


ボケ「なにがやっただ、あ、やめ……やめろバカ、コラッ!」


ツッコミ「痛っ! あ、鼻曲がった……いや、ボケがつっこんでどーすんだよ。あ、目ん玉も取れちゃったじゃん……あーあ、右目見えなくなったよ。これ、いる?」


ボケ「いらないよお前の右目なんか。それよりゾンビ治してやろうか?」


ツッコミ「うそ、そんなんできるん?」


ボケ「わかんないけど、これでお祓いみたいにしたら、治んないかなと思って」


ツッコミ「なにそれ?」


ボケ「マジカル教祖スティック。ボタンを押すと教祖様の声で『通報するわよ!』って音が出る」


ツッコミ「いや、お前が通報されるやつだろ。で、それいくらよ?」


ボケ「これは三十万だね」


ツッコミ「なんでもいいけどお前さっきからずいぶんと金払ってるみたいだけど……金持ってんなぁこの野郎。お前なんでそんなに金持ってんだよ」


ボケ「それはほら、教団幹部としての報酬とか、新しい信者を勧誘した時とかもお金もらえるし」


ツッコミ「すでに幹部!」


ボケ「あとさ、今思ったんだけどオレ毎月教祖様ウォーター飲んでるから、聖なる身体になってるわけ。だから正直、ゾンビのお前は噛まないほうがいいと思うんだよね。いやマジでさ」


ツッコミ「おいおい、お前それ本気で言ってんのかよ……オレが目ぇ覚まさせてやるよ!」


ボケ「あっ、やめっ……あ~……ちょっと気持ちいい」


ツッコミ「顔キモいな……オレが言うのもなんだけど。な、そんな教祖の水なんてインチキ……う……く、苦しい……ぐ、ぐわぁぁぁっ!」


ボケ「あ、死んだ! ほら言わんこっちゃない……すいません、相方死んじゃったんで、終わりにします。もういいわ~、なんつって……あ、重い……こいつちょっと太ったな……どうも、ありがとうございました~!」



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