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無感情の殺人機  作者: かなかわ
16/17

【裏・初期・没設定などまとめ】

前部分と同じく、アイデア帳に残っていた設定などをまとめたものです


この物語がはじめはどのような形をしていたのか。実はあと4体ロボットがいた。トリックを考えた思考の順路。など、完成品とは違った側面を見ていただけたらと思います


また、次回作予告もあります

・初期ストーリー

 人類が絶滅しかけた未来、生き残った人類の一部と、彼らのパートナーであるロボットたちは未だ続く戦火から逃れるため、深海に建設された研究施設に逃げ込んだ。しかしそこで過ごすある日、密室内から首をつったロボットが現れた。果たして、これをやったのは人間か?ロボットか?


・初期ストーリーについて

 プロット段階では人間とロボットが半々で、「犯人は人間か?ロボットか?」というのが大きな謎だった

 この時のタイトルも「感情を持たないロボットは完全犯罪を夢見ない」だった。これはサブタイトルになって残ってる。

 深海の施設は円周に沿って廊下があり、そこから海が見えていた。この設定が水文学研究室の元祖となる

 この時点では首吊りロボットの真相は考えておらず、「首を吊ることで密室になる」くらいしか考えていなかった。首吊りの支点に滑車があり、なんらかの仕掛け(カキの重さが鍵になるみたいな)で鍵がかかるみたいなのを考えていた。施設が回転するトリックはむしろこの首吊りロボットに理由を持たせるために思いついたもの。銃殺や溺死トリックの詳細は施設が回転するという設定から連鎖的に思い付いた。


・最初、ロボットたちは10人居た

「そして誰も居なくなった」をロボットたちでやりたかったため

「今はもう誰も知らないマザーグース、「10人の小さなインディアン」になぞらえて殺せるのは誰?」という謎も提示するつもりだった。

 現行の6人に加え、「郵便配達員」「マザーロボット」「処刑用ロボット」「無能ロボット」が居たが、書ききれないため没。そして「円形の施設といい、ここにインディアンの設定まで入れたらそして誰もいなくなったというよりどっちかといえばインシテミルじゃね?」となり方向性変更となる。


・「そして人類はいなくなった」の黒幕が自分の死を偽装して行ったトリックは「そして誰も居なくなった」の【黒幕は銃殺で自殺を偽装】、というトリックを意識したもの。


・最初はナイも居らず、上記の「郵便配達員」を加えた7人で書いており、カキが黒幕だったことも。しかもこの時ロボット7人を7つの大罪に当て嵌めようとしていたけれど、途中でやってられなくなり没。ちなみにジオが本編であんな話し方なのは「怠惰」だったから

 各対応は、ハル=傲慢。カキ=憤怒。マコ=色欲。ジオ=怠惰。強欲=イド。嫉妬=ソロ。暴食=郵便配達員(とんでも無くエネルギーを消費するため、彼だけは朝しか動けないという設定だった)


・元々感情がないロボットしかいないままで描いていたが、マジで起伏が無さそうなので、途中から感情を持った少女ナイを追加して郵便配達員を削除


・元々この話は原稿用紙200枚分あったが、応募規定は180枚までなので、慌てて減らしたために存在しないエピソードもいくつかある

 ハル以外のロボットたちの人間と過ごした過去(イドと形を変えたソロのものだけ残った)。

 ナイが施設で過ごした過去(デートエピソードに形が変わって残った)。

 ジオの事件の際、コンピュータルームにて調べ物をしている際、隠された暗号を解くことで最後の人類が残したビデオメッセージにに気づくエピソード(そもそもこの隠された暗号自体が思い返すだけで顔から火が出るほど恥ずかしい稚拙なものだった)。

 など。


・没トリック

 犯人、他の人を殺して密室にする。現場に駆けつけて来たハル、ナイ、あと数人、密室を破り扉を開くと同時に停電。ロボットたちは暗視モードで中の様子が分かるが、ナイは見えない……という事件。

→真相

 既に死んだ戦闘用ロボットであるカキの「ステルスユニット」を借りパクして犯行に及ぶ。密室は内側から鍵をかけ、それが破られるまでそのまま外に出なかっただけのことだった。ステルスユニットが作動しているため、ロボットの目には映らない。しかし、人間であるナイは「もう1人居た気がする」と証言することで瓦解していく、「ロボットには気づけないけど、人間には気づけた」事件。


・この作品の参考になったのは「アリス・ミラー城殺人事件」

 個性的な殺人現場や、「登場人物が途中から発狂してジェイソン的に襲いかかってくる」というのはこの作品に影響を受けたもの

 イドの死因は生き残りのロボット複数人に取り押さえられ、無理矢理頭からメモリーカードを抜き取られて死ぬ、と言うものだったが、予定していた人数よりかなり減り、事件は4回から3回に減り、発狂させれるところが後半しかなく、その頃には黒幕を除けばハルしか生き残っていないためああなった。けど結果的に良くなったと思う。

 この作品も面白いので是非。若干アンフェアかとは思うが。


・提出ギリギリになるまで、ハルが歌を歌うシーンがあった

 歌う曲は「デイジーベル」。初めて真の意味で感情を手にしたロボットが歌うにはふさわしい曲かと思ったが、流石に2001年宇宙の旅を匂わせすぎたと思い、削除。


・トリックは「とにかくインパクトのある死体発見現場」をまず思い描いてから、後から「それはどうして起きたのか」を考えているため、初期カキの首吊り現場は足が地面から浮いていたり、初期ジオの溺死現場はハッチがなかったり、初期ソロの狙撃現場は体がメインコンピュータにキリストのように張り付けにされるほどめり込んでいたりと若干違いがある。

 死体をドアに挟めるほど長いロープはどうしても足が地面についてしまうし、かと言って首吊りの支点をドアに近づけたらなんかダサいので涙を飲んで今のものにしたが、今でも心残りではある。


・この作品に込めた想いは、後書きで触れたものに加え、「人外が出てくる作品で最後に人間になってハッピーエンドの流れ」へのアンチテーゼでもある。この作品に於いて、「人になる」、つまり「感情を持つこと」は何一つハッピーエンドに繋がっていない。最後に感情らしきものが芽生えたハル、しかしその時既にナイはいない。(ボツエンドはこれを強調したかったもの)

 ロボットが感情を持たなければこの事件は起きず、イドは発狂せず、ハルもあのような結末にはならずに何も知らず、わからずに消滅していた。感情が芽生え、行動してしまったからこそ破滅したとも言える。そのため、初期に書いたものは、感情に振り回されたハルがビルの屋上から身を投げ、それがプロローグにつながる……など、もっと悲惨な終わり方をしていた。「感情が芽生えたからこそ、人になろうとしたからこそ起きた事件」というテーマは、三章にて1人のナイの前に現れたロボット(ソロ)との問答などに今も節々に残っている。

 「『人になること』、『感情を持つこと』がハッピーの条件であってはならない」と思い書き進めたものの、流石に可哀想すぎたのでイドやハルの救済を仄めかす描写を差し込んだ。そのせいで若干テーマがブレた気がするのは、少し心残りではある。


・初期は賞に投稿する気がなかったので、自分が過去に開催したTwitter企画のストーリーがもっと複雑に絡んでいた。

 過去に開催した企画のストーリーとは、「ロボットと人間が共に生活する未来の工務店が舞台であり、そこに新しい監督官がやってくる。彼は一年で新しい電波塔を作れと彼らに命令するのだが、それは恐ろしい計画のためだった」というもの。その電波塔というのが作中でも語られた、ロボットを破壊する電波を放出する、戦争の引き金となり、のちに「そして人類はいなくなった」に続くものである。企画ストーリーでは、その電波塔は結局参加者たちに最後に破壊されて平和が保たれるという内容を予定していたため、これは電波塔が完成してしまったというバッドエンドから続く話であった。

 それがどう絡んだのかというと、「そして〜」に出てくるロボットの1人は企画の時にいたロボットの1人だったり(感情を消される前のジオがそれだったりした)、固有名詞が混ざっていたり、挿話にあたるものが工務店での話だったり、ターミナルこそが企画で作られた電波塔だったりと言ったもの。賞を意識した際にカキが語ったもの以外は消去した。


・ハイドの存在

 挿話にて主役を演じた元水文学者の人類、ハイドは初めは予定していませんでした。

 イドの過去を描く予定はあり、家族と認めた人類がいたことも予定していましたが、あそこまでの描写をする予定はありませんでした。

 しかし、途中から【物語を裏から見る人】の役が欲しくなったために性格や名前を設定したのがハイドです。

 私はportal2というゲームが好きで、そのゲームには外伝コミックがあり、それは「前作は実は裏で工作をしていたもう1人の人間がいた」という内容で、それを意識したものです。

 彼のシーンは無機質な語り部を意識したハルとは違い、粗野で妙な例えを使う語り部として書いていて楽しかったシーンです。


・過去の研究所の事件と今の事件のつながり

 作中では語られませんでしたが、作中の真犯人が首吊りや溺死をさせたのは、過去の人類の生き残りたちの死体を見ていたからです。

 だから本来の計画では水槽に落としたあと、マイコのように薬殺を……どうやろうとしてたんでしょうね?

 真の生き残りである機械工学者であるユイナのクローンがナイだったわけですが、このユイナは過去のTwitter企画に存在した【ユナ】というキャラクターと同一人物だという裏設定がありました。企画でも機械に強ければ気も女の子として生きていたので、彼女の口調などはそこから来ています。


・施設のダイヤルのナンバーの真相

 ダイヤルナンバーが26.63.32.74

 これで2632年7月4日を表している

 この日が最後の人類がポッドに入った日です

 本当はビデオメッセージで「施設を動かすのはこの動画ファイルの日付」って言わせるシーンがあったが、没にした時ここだけ残ってしまい、ヒントも答えもないのに質問していると言う酷いことになってしまっていた

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― 新着の感想 ―
[良い点] ・読みやすさ ・展開の速さ ・メインテーマとその掘り下げ方 ・無理やりハッピーエンドにしないこと [気になる点] ・序盤の本文と画像で何箇所か、【GEO】であるべき部分が【GIO】になって…
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