北条 雅子は手を下す
城にはもういつでもブス香を捨てていいと指示を出した。ここからが見ものね。あのドブスがどんな顔をするのか楽しみだわ。ふふ。
それなのに……
「雅子、俺はもうお前らには付き合いきれん。静香には全部ぶちまける。」
「そう。好きにしたら? ブス香がどんな顔するか楽しみね。」
ぷぷっ、城のやつ何マジになってるのかしら。あんなドブス相手に本気になったとでも言うつもりかしら?
城が何を言おうがどうでもいいけど、私に逆らう気なのは問題ね。何か理由でもあるのか……
調べてみたところ、城のやつバスケで実業団からスカウトが来たらしい。地元の中堅チーム『肘川エクストリーム』から。それで強気になって水本グループの庇護下から抜け出したってところかしら。馬鹿なやつ。少し佐朝に尻尾を振れば実業団バスケ界の雄『鎌倉ウェアハウゼン』に入ることだってできたでしょうに。
でも、残念ね。私と佐朝に逆らって無事でいられると思ってるなんて。せっかく恵まれた顔と体を持ってるのに頭までは恵まれてないのね。可哀想に。
それから数日後。城は引っ越した家にブス香を呼ぶらしい。ふふっ、あんなウサギ小屋に住むなんて気が知れないわね。まあ馬鹿な男とブス香にはお似合いね。せっかく切り開いた進路、手に入れた就職先が一夜にして消えてしまうのはどんな気持ちかしらね。
平民のくせに愚かな夢を見た自分を恨むことね。あんな暗がりじゃあ犯人の顔なんて見えないし、救急車を呼んでくれる奴さえいないかもね。ふふ、城の顔を見るのが楽しみだわ。




