SS:ドンドンハーツ(後編)
ナレーション:今夜のドンハーは……。
人気アイドル『安珠薇』の意外な生態、後編!
チュドーン! チュドーンッ! チュドドーンッ!
「ぎゃあああああーっ!」
女子中高生のカリスマが、爆破アクションに挑戦!?
「お、オシッコが漏れた……」
あの傍若無人なアンジュラに、いったい何が!?
ジングル:ドンドンハーツ!
*
マツシ「こんばんわ、ドンドンブーツ3号4号のマツシです。今回も前回に引き続き『安珠薇』の検証を行っていきたいと思います」
ザラキヤマ(以下、ザラキ)「ザラキヤマがー、あ、今週もー、くる~っ!」
ナレーション:前回のO.A.(オンエアー)。
「アンジュラが出たいって言ってた吾妻監督の映画『復讐令嬢フランソワの逃亡』。フランソワ役で主演が決まったぞ」
「おー、マジで! やるじゃん!」
女子中高生のカリスマ、人気アイドル『安珠薇』に映画の主演のオファーが。
しかし、実はこれはドンハーが仕組んだドッキリ!
「ちょっと! この役は私がやるんじゃなかったの!? このブスどこのどいつよ!」
「分っかんないかなぁー? かーえーれって言ってんの。頭大丈夫? 顔は手遅れみたいだけど」
アイドルにあるまじき、暴言を連発!
「じゃあね、二度と僕に話しかけないでね」
「そ、そんな、ゆいが君……」
お気に入りの若手俳優にフラれ、怒りのアンジュラは映画の撮影に挑む!
検証ドッキリその3『もしも、人気アイドルが爆破スタントに挑戦したら?』
映画のストーリーはとある女の復讐劇。アンジュラが演じるのは、過去を捨てて復讐のみに生きる女。
今回の撮影は罠にかけられ、危険な場所へと追い込まれた女が最後の力を振り絞って逃げるシーン。
「あれは私の役じゃねーのかよ! 私にヤらせろよ!」
人気アイドルの生態⑬:世界的な映画監督が相手だろうと、お構いナッシング。
アンジュラは監督に食ってかかり、そのシーンを自分が演じる事に。
彼女には、入り組んだ狭い通路を走り抜けるだけと伝えてあるが……。
ザラキ「当然、ただ走るだけじゃ終わらないんでしょ?」
マツシ「スタジオには数々の罠。そしてゴールには、ドンハー名物『落とし穴』が待ち受けております」
ザラキ「いやあ、実に楽しみですねえ」
その後、撮影は順調に進み、ついに問題のシーンの撮影に。
マツシ「監督、アンジュラに一発勝負だから絶対カットしないって言っといて」
「撮り直し無しの一発勝負だから絶対カットしないからな。分かってるな?」
「わーかってるって。ただ走るだけでしょ? 楽勝じゃん」
余裕をぶっこきまくるアンジュラ。その殴りたい笑顔がひきつるまで、あと3、2、1……。
「アクション!」
アンジュラはてれてれ走り始める。すると。
チュドーン!
「えっ!? 何!? なになにっ!?」
チュドーン、チュドーンッ!
立て続けに上がる火柱、そして。
チュドドドドドーンッ!
西◯警察も、昭和の仮面ラ◯ダーもかくやと思わせる大爆発!
黒煙とともに、天井近くまで打ち上げられたアンジュラはそのまま床に叩きつけられる!
「ぎゃあああああーーーっ!!」
人気アイドルの生態⑭:悲鳴が可愛くない。
「立て! 一発撮りだから、止まるな! 走れっ!」
ヘロヘロになりながら、前に進むアンジュラ。そこへ、倉庫に積み上げられた木箱が降り注ぐ!
「うぎゃあああああーーーっ!?」
さながら、ナイアガラの大瀑布。直撃かと思いきや、居場所が良かったせいか間一髪で難を避ける!
マツシ「そこ、当たんねーのかよ!」
ザラキ「いや、逆に運が悪くないですか? 逆にね?」
人気アイドルの生態⑮:直撃すればおいしいのに、空気が読めない。
壁から竹槍! 正面から弓矢!
「ひいっ!?」
矢が耳元をかすめ、ヘナヘナとへたり込むアンジュラ。足元には謎の水たまりが!?
「お、オシッコが漏れた……」
人気アイドルの生態⑯:『おしっ娘』属性を手に入れた!
おしっこを漏らしたアンジュラに、監督の檄が飛ぶ!
「漏れてねえっ! それは心の汗だ!」
マツシ・ザラキ「だははははは!」
「まだカメラは回ってるぞ! 諦めちゃだめだ! できるできる! もっと熱くなれ!」
マツシ「吾妻監督、ノリノリじゃないですか」
松岡◯造かビリーズ・ブ◯トキャンプのようなハッパをかけられ、アンジュラは前に進む!
チュドーン! チュドーンッ! チュドドーンッ!
「ぎゃあああああーっ!」
本物の発破もかけられ、またしても天高く吹き飛ぶアンジュラ!
テロップ:アンジュラは特殊な訓練を受けています。良い子の皆さんはマネしないでください。
「頑張れっ! ゴールはもうすぐだっ!」
「がんばれー!」
総動員で応援を始めるスタッフ。BGMに『サ◯イ』が流れ、場内に拍手の渦が巻き起こる。
ザラキ「いやー、なかなかドッキリだって気付かれないもんですね」
マツシ「監督とか完全に見切れちゃってるんですけどね」
フラフラになりながら、ついにアンジュラが感動のゴール!
ズボーッ!
「ぎゃあああああっ!?」
最後はドンハー名物、落とし穴! アンジュラが消えたーっ!?
マツシ・ザラキ「だはははははっ!!」
ザラキ「アンジュラちゃん、いなくなっちゃいましたね!」
マツシ「それでは、撮影現場の方に行ってみましょう」
「……えっ? なになになに!?」
スポンジまみれの穴の中で、何が起こったのか分からず混乱するアンジュラ。そこへ。
「どうもー初めまして、ドンドンハーツでーす!」
「えっ? マツシさん? ザラキヤマさん? ええっ!?」
スタッフの助けを借りて、アンジュラは地上に戻って来る。マツシとザラキヤマに不審な目を向けながら。
「えっ? どういう事?」
「えーと、ドンハーの『ドッキリ』企画です」
「え゛っ……、ドンハー? じゃあ、映画の撮影は……」
「全部ドッキリです」
「マジでっ!?」
「ちなみに、吾妻監督もゆいが君もスタッフ全員が仕掛け人です」
「えええーーーっ!?」
アンジュラはギロリとマネージャーの顔を見るが、福原さんは「知らない知らない」とばかりに首を振る。
「映画撮影前から、あなたの生態を一部始終モニタリングしておりましたが、なかなかヒドかったですよ」
「え、何が?」
「まず、マネージャーさんを蹴ってましたけど、あれはどういう事ですか?」
「げっ、それ知ってんの? あれは、ジャーマネがそうして欲しいって言うから……」
うんうん、とうなずく福原マネージャー。
「あと、ADさんやエキストラさんの扱いが酷すぎないですか?」
「そ、それは……。そ、そう、若い人たちを指導してたんですよぉ」
人気アイドルの生態⑰:言い訳と口だけは達者。
「でも、ハ◯ゲンダッツを買って来させておいて、文句ばっか言ってたじゃん。ダメだよそんな事したら」
「じゃあ、次から『パピ◯』を買って来させます」
「そういう事をすんなっつってんの」
人気アイドルの生態⑱:意外と天然?
「あと、エキストラの娘をブスブス言ってたね」
「いや、マジで目が潰れるぐらいブスなんだって!」
「あんた、また姉さんの事を侮辱するのか?」
「ゆ、ゆいが君……」
そこに現れたのは、仕掛人の浜ゆいが君。
「言っとくけど、今のあんたは相当ブスだからな! 鏡見てみろよ!」
「えっ……?」
スタッフが持って来た鏡を見ると、爆破アクションの影響で、アンジュラの頭がアフロヘアに!
「げえっ! 何よこれぇ!」
『だはははははっ!』
お腹を抱えて笑うマツシたち。
「いや、良く似合ってるよ。具◯堅用高さんみたいで」
「誰よ? その『何とかようこ』って。オノ◯ヨーコの親戚?」
人気アイドルの生態⑲:おバカキャラの才能アリ?
「あと、おしっこ漏らしたでしょ?」
「いえ、漏らしてません。これは、そのっ、水攻めに遭いまして……」
『わはははははっ!』
「そんなトラップ無かったでしょ。撮影の前にそんなアイスとか、冷たいもの食べ過ぎちゃダメだって」
「ちっ……」
「芸能界は人気商売だからね、ADさんやスタッフにちゃんと謝んなさい」
「……どうも、すんませんっした」
先輩の忠告に、一応素直に謝るアンジュラ。
「あと、ゆいが君のお姉さんはここにはいないけど、ブスって言った事を謝っときなさい」
「ブスって言って、ごめんなさい」
「ゆいが君の事が好きなら告白しといたら? ワンチャンあるかもよ?」
「好きです、付き合ってください」
「御免こうむるっ!」
『だはははははっ!』
人気アイドルの生態⑳:ゆいが君に全力でフラレる。
「もう! いったい何なのよっ!」
「吾妻監督、今日のアンジュラの爆破アクションは映画に使えますかね?」
「いや、もう全く使えないですね」
『ぎゃはははははっ!!』
こちらも、全否定ーっ!
「じゃあ、映画撮影はこれで終了ということで、皆さん撤収してください。撤収!」
『おつかれさまでしたー!』
「えっ、ちょっと待って? これで終わり? ええっ!?」
風のようにスタッフが去り、ぽつんと取り残されるアンジュラ。
「えっ……、本当に終わりなの!? マジでぇーっ!? ねえっ!!」
*
ナレーション:次回のドンハーは、人気アイドル『安珠薇』の意外な生態、完結編!
「何よ、あのドンブーのマツシって奴! メチャクチャやりやがって! ジャーマネ! 事務所の力でなんとかなんねーの!?」
マツシとアンジュラとの間で戦争が勃発!?
「水本グループを敵に回して、お前らただで済むと思うなよ!」
「いや、ちょっと何言ってるか分からない」
「サンドウィ◯チマンのギャグをパクってんじゃねーよ!」
売れっ子で事務所も大きいからって勘違いしたバカ女に、最後はきつーいお仕置きが!?
次回もお楽しみに!
作者:マックロウXK氏
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