表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/85

元ドブスはイケメンを家に連れ込む

さすがにこのドレスでは歩きにくいのでタクシーを使ってしまった。わざわざタクシーで、おまけにドレスで駅前のドナ。やっぱり変だよね。城君だって硬派な格好してるし。でもまだ着替えたくない。あの楽しかった時間が終わってしまうような気がするから。


私と城君以外にも仮装っぽい服装の子は何人もいるし、たぶんそこまで目立ってないよね。はあ、すごくお腹が空いてたから何を食べても美味しいな。

私が食べているのは『パーフェクトペキンダムバーガー』略してパーペキ? 変な味だけど美味しい。

城君のは『ハナキンアベックヒューヒューバーガー』もう味の想像すらつかない。


「なあ静香、いきなりだけど今から静香んちに行ってもいいか?」


「いいよ。たぶん母がいると思うし。」


「悪いな。だいぶ歩けるようになったことだし、早く挨拶に行きたくてさ。」


「うん、ありがとう。嬉しいよ。」


本当はカラオケにも行きたかったけど。せっかく城君がこう言ってくれてるんだし、またでいいよね。ママと結牙はお寿司を食べてから帰るはずだがらちょうど同じぐらいになるかな。


私は自転車だし、駅から2人で歩くにはちょっと遠い。やっぱりタクシーかな。




「毎度どうもー」


「ありがとうございました。」

「ども……」




「おい……ここが静香んち?」


「そうだよ。ようこそ。」


「すごいな……要塞かよ……」


「そう? 警備には気を使ってるみたいだけど。」


「静香が品のいいお嬢様ってことは分かってたけどさ、まさかここまでのレベルとは思わなかったよ。」


「大袈裟だよ。さあ、入って。」


「お、おお、おじゃまします……」


あ、車がない。ママ達まだ帰ってきてないんだ。ラインだけしておこう。城君が来てるよ、と。


学校では紅茶を飲んだことだし、今度は……


「城君、コーヒー飲まない?」


「お、おお、いただくよ……」


「適当に座ってて。テレビのリモコンはあそこね。」


あ、絨毯の上に正座してる。城君って日本男児なんだなぁ。カッコいい。

どうせすぐ帰ってくるだろうからママと結牙の分も用意しておこう。今日は本当に疲れたなぁ。でもやり遂げた感はあるよね。結牙と城君のおかげだな。


「お待たせ。そっちじゃ飲みにくいよ。こっちに座ろう。」


「お、おお……」


正座はお茶の時だけで十分だよね。


「うおっ、うめっ、これがコーヒー……」


「うん、美味しいよね。この豆は母が好きなんだよね。私も気に入ってるよ。」


気に入ってくれたようでよかった。


「ね、城君。今日はありがとう。本当に助かったし、ダンスも楽しかったよ。」


「おう、俺もおもしろかったぜ。そうだ! 何か音楽かけて続きをしないか!?」


「すごい! それいいね! ちょっと待っててね!」


さすが城君。いいアイデアだな。よーし、何にしようかな。しっとりゆったりしたのがいいな。



「お待たせ。踊ろう。」


「おう。さあ静香お嬢様、お手を拝借。」


「うん。」




楽しいな。ダンスが楽しいのか城君と一緒だから楽しいのか。両方かな。そうだ、ゲームも一緒にするんだった。うちでは誰もやらないから全然イメージが湧かないんだよね。楽しみがどんどん増えていく。生きててよかったなあ。



「East of Edenね。仲良くていいわね。」


「あっ、ママおかえり。コーヒーが……冷めちゃったね。」


「お邪魔しております! 九狼 城と申します! いきなりお邪魔してごめんなさい!」


わっ、また正座した。城君は正座が好きなんだね。


「あっ! 狼野郎! こんな所にも出やがった!」


「やあ弟君! お邪魔してるぜ!」


「弟って言うな!」


結牙を殴っておいた。


「いらっしゃい。そこではなくあっちに座りましょう。あぁコーヒーは飲むわよ。」


「いえ、この度はお嬢さんに大変失礼なことをして申し訳ありませんでした!」


「ちょ、城君! そんな、やめてよ!」


絨毯に額を擦り付けている……


「その件だったら謝罪の必要はないわ。いつの話をしてるんだか。だから頭を上げなさい。」


それでも頭を上げない城君……


「私が頭を上げろと言ったのよ? 聴こえないのかしら?」


ガバッと頭を上げる城君。体幹が強そうな動きだな。


「あのね? あなたが謝るのは勝手だけれど、うちの静香はあの程度で傷付くような子じゃないの。甘く見ないことね。それより、静香と付き合ってくれてありがとう。あなたのような男の子を彼氏にできて、静香は幸せよ。さあ、立ちなさい。あっちに座るわよ。」


「は、はい!」


ほっ、よかった。でも今のタイミングで罰ゲームって言われたら傷つきまくりだけど……



「それにしても城君、あなたすごい格好してるのね。今何世紀だと思ってるのよ。私の父が若い頃の服装よ?」


「いやー黒で笑いがとれそうな仮装ってことで。それに黒なら静香さんが引き立つんじゃないかと思いまして。」


「ふふ、いい心がけね。男の価値はいかに女の魅力を引き出すか。分かってるじゃない。」


「姉さんの魅力なんて引き出す必要ないじゃないか! ただでさえ溢れまくってるんだから!」


楽しいなぁ。城君が来てくれて。結牙もどこかはしゃいでるように見えるし。ママだっていつの間にか普段の顔に戻ってるし。楽しいなぁ。今日パパは帰ってくるのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
普段はこんなのを書いてます。
i00000
― 新着の感想 ―
[一言] 少しなろうに来ていない間に、三話も進んでいてビックリしました! 水本と北条は、盛大に最後にやらかしてくる感じになるかな?と思っていたら、あぁいう感じになりましたか。 絶対に大人しく負けを…
[良い点] ハンバーガーの名前(笑) この店はやばいですね。 そして静香ちゃんが九狼くんの格好を硬派と表現して、ブホッとなりました。 お似合いの二人ですね!
2020/06/21 14:36 退会済み
管理
[一言] やはり、お母さん、大物ですねえ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ