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第3話 盗賊やら古着やら聖縄やら

 敵意の方角は進行方向左手の草原の中。風切り音がした。


 危険はないと判断したが、あえて二、三歩移動して……。


 掴む。パシィッ!


 見た? 見た?


「と、盗賊か? どこだ、どこにいる!」


 さすがジョーンズさん。すぐに事態に気付いたようだ。俺は草原に向かって叫んだ。


「そこに隠れている奴、出て来い!」


 草原の藪からまとまって10人。それから、あちこちに2、3人ずつ全員で20人ほどいた。身なりは全員薄汚くて痩せている。


「小僧かと思ったら護衛だったか」


 汚い盗賊の中でも少し小綺麗な男が剣を構えて出てきた。


「盗賊の中でも最低の奴らだ。交渉できるだろうか?」


 ジョーンズさんが、ボソリと小声で呟きながら俺を制して一歩前に出た。


「逃がしてくれれば抵抗はしない。少ししかないが有り金は全部渡す。馬車は捨てていくから、中の商品は好きにしてくれ。ただし、物は古着だ。あんた達には余り役には立たんだろう」


「話の分かる奴で助かるぜ。有り金は貰う」


 盗賊共が俺達を囲む。


「お前ら馬車の中を調べろ。金目の物があるかもしれねぇ。ちゃんと出すんだぞ。グズグズするな!」


 グズグズするな! と言われたとたんグズグズする奴がいる。組織としては最低だろう。頭らしき男の舌打ちが聞こえた。


「多少、まともな男がいて助かった。あいつがいなければ遊び半分で殺されていたかもしれんぞ」


 ジョーンズさんが恐ろしい事を言う。


「カシラー、本当に古着ばっかですぜー。馬車も車軸が壊れて使い物にならねー。高そうなのは馬だけだ!」


「本当かよ。お前、一緒に来て高そうな古着を選べ! 馬に乗せられるだけ乗せるぞ」


「こんな状況で嘘は言わんさ。それより、あんた達が選んだ後にワシ達も担いで行きたいが、かまわんだろう……」


「俺達も全部は持てないから良いが、ちゃんと金になりそうなのを先に選べよ!」


「古着と言ってもウチの商品は……」


 なんだか盗賊と被害者というより、商人同士の会話の様になっている。


     *     *


 ジョーンズさんが馬に古着をまとめてくくり付け、手下共の着衣のコーディネートをしてやり、自分達の荷物をまとめて最後は笑顔で別れを告げている。


「もし、ワシの店に来たらサービスするぞ!」


 ワハハハハハハ。


 なんだこいつら!


「さあ、ショキと坊主達。出発するぞ!」


「待て! そのガキどもは行かせねぇ!」


 ジョーンズさんの顔色が変わった。


「何?どういう事だ?!」

 

 ふん、そうくるか。


「どうもこうもねぇ! その腕の立つガキが一番金になりそうだからよ。おい、てめぇら。そいつを縛り上げろ!」


「頭。約束が違うじゃないか! 抵抗しなかったら逃がしてくれると!」


「約束は守ってるぜ。あいつらは護衛じゃねぇ。たまたま、知り合った赤の他人だってな。さっき言ってただろ、ジョーンズのダ、ン、ナ!」


「うっ?!」


 盗賊の頭の方が一枚上だったって事ですね。


「ジョーンズさん、心配いりません。俺達は、こちらのお頭さんに付いて行きます」


 た(・)ま(・)た(・)ま(・)俺が持っていたロープを手下共に渡した。縛られながら2人に言う。


「パム、ミル。少しの間お世話になるんだ。お頭さんに挨拶しろ」


「パムです」


「ミルでち」


「おっ? おお。えらく素直じゃねぇか」


「命あっての物種ですから。ねぇジョーンズさん」


「す、すまん」


「お、親父。お頭さんの気が変わらないうちに早く行こう!」


 スマンスマンと何度も言いながら、振り返りながら去って行った。


 余り気にしないで下さい。馬車と荷物を持って直ぐに追いつきますよ!


     *     *


 だって俺を縛っているこのロープ、『聖縄』ですから。

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