第1話 パーティー
ゴルテさんの遺体と『魔ざり物』の討伐証明の牙を村に届けた後、俺はパムとミルを引き取って村を出る事にした。
面倒を見る人がいなくなった2人を孤児院に入れると聞いたからだ。村自体あまり裕福でないのと、やはり獣人には差別があるようだ。
それでも、俺の若さに心配したのか村人が口々に言ってきた。
「これをミルにやってちょうだい。前から欲しがってたから……」
いや、さすがにオシャブリはいらんでしょ。
「よそ者のあんたに頼む事になって、ゴルテやガウルに申し訳ない……」
俺の方こそゴルテさんに申し訳ないと思っているので……。
「旅の途中なのに、幼い子供たちを2人も引き取って危険はありませんか?」
なんだか2人を子供扱いしすぎると思うのだが。
「幼いといってもパムは、しっかりしてますけぇ。問題ねぇですよ!」
「そうですか、2才と5才だから旅の邪魔にならないかと心配したが……。若いといってもウルゾン殿の様な凄腕の猟師ならお任せしても大丈夫か! どうか2人を宜しく頼みます」
………………。
「……えっ。に、2才?!」
どうやら獣人は成長が早いらしい。それでミルの言葉が見かけより幼かったのか!
「パム、ミル。ウルゾン殿の言うことを良く聞いて立派な猟師になるんだぞ」
「はい! 村長さん」「ウン、ソンチョサン」
2才と5才かぁ……。
* *
村を出て見送りの人影が見えなくなるのを確認して、俺は大きく道を外した。
「ウルゾン兄ちゃん、どこへ行くの?」「どこ行くの?」
ここで、エクストラスキル『嘘八百』を解除した。『嘘八百』には相手に嘘を信じさせる効果もあるのだ。だが俺は2人には嘘はつきたくなかった。
「実は……俺の名前はウルゾンじゃない」
「「えっ?」」
「猟師でもないんだ」
「「ええー?」」
「俺の正体は、王都の聖女の命を受けた隠密なのだ。その密命とは隣国ランゴドルバに秘密結社『セイトカイ48』の新たな拠点を築くことだ。偶々その道中で、お前達の村に立ち寄り、こんな事になってしまった。俺が最初に『魔ざり物』を始末しておけばゴルテさんも死ぬ事もなかったはずだ。後回しにしたせいで、お前達の大事な人を死なせてしまった……」
言葉が続かなくなって俺は2人に頭を下げた。
……………。
「…………クー」
おい、寝るなミル!
「ウルゾン兄ちゃん、良く分かんないんだけど!?」
パムもか。さすが2才と5才児だ。もう少し大きくなったら改めて詳しく説明しよう!
* *
俺はもう一度、今度は分かりやすく2人に話した。かなり端折った説明がこんな感じだ。
「俺はショキだ。『セイトカイ48』のショキだ。分かるか?」
嘘じゃないですよ。
「「うん」」
「王都の偉い聖女様に頼まれて、隣の国に行くぞ。分かるな!」
「「うん」」
「俺は猟師じゃない。だけど2人に戦いを教えられる。習いたいか?」
「「うん」」
「俺たちは、これから家族になる。パーティーを組むぞ。良いな!」
「「うん」」
これなら分かったよね?
* *
パーティーを組むには、ギルドや神官に登録する必要があるが、俺にはセルフでパーティーを組めるスキルを獲得している。
エクストラスキル『友達百人(0/100)』
これだ! 早速、使ってみよう。
ピロリン。
『友達百人(0/100)』を発動します。パムとミルを友達登録しますか?
「はい」
ピロリン。パムとミルが友達登録されました。
『友達百人(2/100)』
* *
「ちょっと試してみよう。2人ともここに居ろよ」
俺は10メートルほど離れて2人に『通話』を試した。
『聞こえるか?』
『あっ?! 兄ちゃんの声が聞こえる!』
徐々に距離を離して試してみた。『通話』は100メートルくらいまで使用可能だった。
次は『メール』機能だ。
『2人とも自分の名前を書いて返事を返してくれ』
という文面を送ったが返事がない。俺は2人の所に戻って聞いた。
2人とも字が書けないし、読めない。そりゃそうだ!
戦いを教えると同時に勉強も教えよう。
* *
クールタイム後、次の職業は『教師』に決めた。




