念いのかけら
中学三年の瀬川清良は、翻訳家の母と、二人暮らし。五歳のときに離婚した父とは、ずっと会っていない。離婚した理由は知らされていないが、なぜか、母は父が帰ってくるのを待っているようだった。
母の仕事柄、家の本棚には本がいっぱいで、母が訳した本もすべて、本棚に並んでいる。清良はそれらの本を、小さい頃から自由に読んで育ってきた。名作といわれる児童文学はほとんど読んで知っている。
しかし、本棚になく、一度も読む機会がなかった本があった。『赤毛のアン』である。ある日、クラスメイトが『赤毛のアン』を持っているのを目にした清良は、目を疑った。訳者の名前に、清良の母の名前があったからだった。母の訳した本はすべて読み、知っているはず。訳したのなら本棚にないのはおかしい…。隠し事のない母子関係だと信じていたのに、清良はそこに、母の秘密を感じずにはいられなかった。
問いただしてみようとした矢先、カナダから手紙が届く。母が昔、お世話になった女性が危篤だというのだ。急ぎの仕事を落とせない母は、代わりに清良に見舞いを頼む。母がいつになく取り乱し、泣いて頼む姿に、清良は嫌と言えず、母の代理で臨終の女性のもとへ旅立つ。場所は、『赤毛のアン』の舞台になったプリンス・エドワード島だった!
清良は行きの飛行機の中で、母が訳した『赤毛のアン』を読み、物語の魅力に引き込まれた。舞台になった島に行けるのはわくわくしたが、遊びに行くのではない。
清良は母の恩人の臨終に立ち会い、死を初めて体験した。死ぬとはどういうことかを思い悩み、そして、母と『赤毛のアン』の関係、自分が知らなかった母と父の過去、離婚の真実も、知ることになる。
母の仕事柄、家の本棚には本がいっぱいで、母が訳した本もすべて、本棚に並んでいる。清良はそれらの本を、小さい頃から自由に読んで育ってきた。名作といわれる児童文学はほとんど読んで知っている。
しかし、本棚になく、一度も読む機会がなかった本があった。『赤毛のアン』である。ある日、クラスメイトが『赤毛のアン』を持っているのを目にした清良は、目を疑った。訳者の名前に、清良の母の名前があったからだった。母の訳した本はすべて読み、知っているはず。訳したのなら本棚にないのはおかしい…。隠し事のない母子関係だと信じていたのに、清良はそこに、母の秘密を感じずにはいられなかった。
問いただしてみようとした矢先、カナダから手紙が届く。母が昔、お世話になった女性が危篤だというのだ。急ぎの仕事を落とせない母は、代わりに清良に見舞いを頼む。母がいつになく取り乱し、泣いて頼む姿に、清良は嫌と言えず、母の代理で臨終の女性のもとへ旅立つ。場所は、『赤毛のアン』の舞台になったプリンス・エドワード島だった!
清良は行きの飛行機の中で、母が訳した『赤毛のアン』を読み、物語の魅力に引き込まれた。舞台になった島に行けるのはわくわくしたが、遊びに行くのではない。
清良は母の恩人の臨終に立ち会い、死を初めて体験した。死ぬとはどういうことかを思い悩み、そして、母と『赤毛のアン』の関係、自分が知らなかった母と父の過去、離婚の真実も、知ることになる。
1 『赤毛のアン』を知らない私
2020/03/28 14:34
2 母が訳した?
2020/03/28 14:36
3 訳者が違うと…
2020/03/28 14:37
4 最後の文化祭
2020/03/28 14:38
5 プリンス・エドワード島
2020/03/28 14:38
6 初めての海外
2020/03/28 14:39
7 赤毛のアン!
2020/03/28 14:40
8 アンの島
2020/03/28 14:41
9 どうして父の写真が?
2020/03/28 14:42
10 風に吹かれて
2020/03/28 14:43
11 アップルズ・ドリーム
2020/03/28 14:43
12 ミリーの死
2020/03/28 14:44
13 谷崎尚吾
2020/03/28 14:45
14 気を失う
2020/03/28 14:46
15 人の痛み
2020/03/28 14:46
16 念いのかけら
2020/03/28 14:47
17 母の告白
2020/03/28 14:48
18 自分を信じる
2020/03/28 14:48
19 文化祭の絵
2020/03/28 14:49
20 弟の好きだった人
2020/03/28 14:50
21 あれは父?
2020/03/28 14:50
22 父、帰る
2020/03/28 14:51
23 悲しみを受け止める
2020/03/28 14:51
24 進路
2020/03/28 14:52
25 恋心
2020/03/28 14:52
26 失恋
2020/03/28 14:54