15-2
「ふわぁ〜、おはよう……ござい……ますぅ」
しょぼしょぼとした目をこする。頭がぼやっとしていた。眩しい光が差し込んきて、ギュッと目を瞑る。恐る恐る瞼を開くと、ある二人がいた。アディクとアイリスちゃんである。
アディクはほっとしたように、息を吐いていた。表情が歪んで見えたのは気のせいだったのだろうか。アイリスちゃんは、泣いたのかな。目が赤くなっているように思う。はて? 彼らはなぜ、私の身体をペタペタと触ってくるのだろうか。まるで、何かを確認しているみたいだ。
「二人とも何してるの? 身動き取れないよ」
「身体に異常はない!? レノンちゃんは一週間も寝続けていたのよ。心配したわ……、目覚めてよかった!」
「本当ですよ。心配しました。呼びかけても起きなくて、やっと目覚めたのが、一週間後だなんて……。僕はこのまま起きないのではないのかと思いました。目を覚まして、良かったです」
安心しているのはいいのだが、びよーんと両頬を引っ張ってくるのはなんでだろう。自分たちの頬を引っ張ればいいのに、左頰をアディクが、右頬をアイリスちゃんが伸ばしてくる。痛いよ。
「いらい。なんれ、ひっぱりゅのでしゅ?」
「現実か確かめるためよ」
「現実か確かめるためです」
それこそ自分たちの頰でやってよ。痛いから。ギュって摘んで、引っ張らないで! きっと頰から手が離れた頃には、ほっぺが赤くなってるだろうな〜。ジンジンとした痛みもありそう。
「そりょそりょ、手を離してくりゃさい」
「私たちを心配させた罰よ。もう少し、我慢なさいな」
「そうですよ。心配させられたので、これくらいは許してください」
理不尽だ。どうやって寝たのか忘れたけど、起きて早々、これはない。この二人、本当に心配してくれてたのだろうか。引っ張られてる頰が悲鳴をあげている。早く終わって〜!! こんなところで、親子揃って、息ピッタリでなくていいから。内心、泣き言を叫んでいても、二人には届かない。しばらく私の頬は引っ張られ続けていた。
ああ、ヒリヒリする。鏡が欲しい。きっと、リンゴのように真っ赤になっているんだろうな。
両手で自分の頰をかばうように覆ってみるも、痛みは消えない。冷たくないから、痛みが緩和されることもない。
「はぁ、手で触れただけで痛みは消えるわけもないか」
「それはそうですよ。それに、すぐに消えたら困ります。僕たちによる愛のプレゼントですからね」
「うふふふふふふ」
ニッコリと笑みを浮かべている二人が怖い。さっきまで心配していたと言っていたのはなんだったのか。私の聞き間違いか。それとも、素直に喜ぶのが恥ずかしくなって、私をいじめたのか。
彼らの心境はともかく、私はどういう経緯で、どうやって寝たのかを知りたい。確か、……だめだ。いまだにぼんやりしている頭では、時間が経たないと思い出せそうもないようだ。
二人とも、満足そうに笑ってないで、どうか私に教えてください。
あれ? サラッと頭に浮かんできた「おやすみドロップ(仮)」ってなんだろう?
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