14-3
破裂音。爆発音。破壊音。
全てが、響く部屋で私は呆然と眺めていることしかできない。人間の私が止めたら、致命傷はさけられないだろう。
「レノンちゃんのあなたに対する好感度はマイナスよ。マイナス。本当に好かれていると思っているの? あんなことをしておいて……」
「僕の手助けをしてくれると言っていた人が、急に立場を変えるとはどういうことですか!? この裏切り者!! レノンを義娘にしたいと言っていたでしょう!?」
「お母様に裏切り者というとは、なんて子なの? 私は可愛い子の味方なのよ。だから、私はレノンちゃんの味方なのよ!!」
私は部屋の隅に座っていた。耳を塞いで、事の成り行きを見ている。不思議な力と不思議な力のぶつかり合い。これは初めて見るものだ。私は人間だもの。彼らは魔女らしいから、特別珍しいものではないと思う。だが、私は普通の人だ。魔女と関わりがなかったら、見なかったものだろう。
「あなたが私に叶うと思っているの?」
「お母様が強いとしても、僕はここで止まるわけにはいかないんですよ。レノンを手に入れる邪魔をしないでください」
「あらあらあらあら、では、私を退けて見なさいな」
光と光がぶつかり合っている。目がチカチカするほどの光が部屋中を飛び交っていた。光が当たったものは、割れて床に砕け落ちている。それだけでなく、部屋にある物が浮かび上がっていた。
アディクとアイリスちゃん。彼らの親子喧嘩はバイオレンスすぎる。だが、部屋の隅にいる私に被害は及んでいない。彼らが配慮してくれているのだろうか。
「お母様のそういう自分勝手なところが僕は嫌いなんですよ。自分の思う通りにならなかったら、すぐに実力行使をしようとしてきます。そこは直した方がいいですよ。手に負えませんから」
「あなたに言われる必要はないのよ。それより、私に本当に勝てると思ってるの? 無駄なことはしない方がいいわよ」
二人の対戦はまだまだ続きそうだ。待っているのも暇なので、寝ようかな。アイリスちゃんが作ってくれた薬がある。それは水がなくても飲めるもの。
飴タイプで、舐めればいつのまにか寝てるらしい。「おやすみドロップ(仮)」とアイリスちゃんは名付けたらしい。
ベッドはないけれど、これって寝れるチャンスだよね? うん、寝よう。物とか飛んでこないし、寝てしまおう。私は、懐から「おやすみドロップ(仮)」を取り出した。アイリスちゃんが入れた袋から丸いものを取り出す。私は手に乗せて、口に含んだ。
「二人の大喧嘩が起きた頃には終わってますように……」
まさか、あの薬で一週間も眠る羽目になるとは、思っていない。
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